棺おけ型の
人口構成図でよいか?
若者に比べて高齢者が異常に多く、国が滅びる
 
  先日のNHK特集、縮小ニッポンの衝撃や昨日の朝日新聞「老いる国、縮む社会:2 出生率回復、実現遠く 来なかった第3次ベビーブーム」の記事などかなり深刻なことが言われています。
 若者に比べて高齢者が異常に多く、国が滅びるのでは、そして不吉な棺おけ型の人口構成図、どのように対策を考えて未来に備えていけば良いのでしょうか。
 昨日の朝日新聞の記事を紹介します。
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 日本の50年の人口ピラミッドの予測。若者に比べて高齢者が異常に多く、国が滅びる――そんな意味を込め「棺おけ型」と表現された。 「日本の無策は特殊で、回復不可能。政策決定者たちの近視眼的な対応が不思議だ」。15年、英サセックス大学で開かれたセミナーで出たロナルド・スケルドン名誉教授の言葉に、日本人の参加者は言葉を失った。

 日本の人口が08年の1億2808万人をピークに減少に転じた今、都市部にもその波は押し寄せ始めている。
 やはり深刻なのが、働き手の減少だ。17年の生産年齢人口(15~64歳)は、20年前よりも1100万人減った。人手が確保できない中小企業が倒産したり、宅配便が値上げに踏み切ったりして、都会の暮らしにも影を落とし始めている。

 日本の出生率は、終戦直後に4を超え、第1次ベビーブーム(1947~49年)が起きたが、その後は低下。61年には2を下回った。第1次ブームの世代が出産適齢期を迎えた71~74年には第2次ブームが来て、一時は2を上回るまで持ち直したが、再び低下に転じた。
 平成が始まった89年は「1・57ショック」と言われた。出生率がそれまでの最低だった66年(1・58)を下回ったからだ。厚生省児童家庭局長だった古川貞二郎氏は危機感を抱き、当時の海部俊樹首相の演説に「少子化対策」をねじ込み、検討を促した。

 育児休業や保育所の充実、児童手当の増額――。数値が発表された翌91年にまとめられた答申には、今も課題とされるほとんどが網羅されていたが、政府は本腰で実行しなかった。
 「局長さん、あまり心配しなさんな。また子どもは増えますから」
 古川氏は、女性運動を引っ張ってきた加藤シヅエさんに、こうたしなめられたことを覚えている。
 第2次ブーム世代が出産適齢期を迎えれば「第3次ベビーブームが来る」との楽観論がそこにはあった。

 ■就職氷河期、追い打ち
 しかし、出生率は91年以降もじわじわと下がり続け、第3次ブームが来ると予想されていた00年ごろになっても上向かなかった。
 「最悪のタイミングで『就職氷河期』が来てしまった」。大谷泰夫・元厚生労働審議官は悔しがる。
 平成になってからの長期不況に苦しむ企業は、規制が緩和された非正社員に飛びついた。新卒採用を凍結する企業も続出。正社員になれなかった多くの若者が、家庭を持つ余裕を持てなくなった。

 出生率が1・26にまで低下した05年、政府は少子化担当を初めて専任閣僚として置き、対策を加速させようとした。対策チームのまとめ役を担った増田雅暢・元内閣府参事官は、経済的な負担の軽減を考えた。その一つが、3歳未満の医療費の本人負担を2割から1割に下げることだった。
 折衝に入ると、財政再建を唱える財務省ばかりか、古巣の厚生労働省も反対に回った。

 小泉政権は財政再建のため、高齢化で膨らむ社会保障費の圧縮を進めた。「子育て予算を増やせば、年金や医療費をその分削減する必要があった」(厚労省OB)。06年にまとまった対策には盛り込めなかった。

 出生率が1・8を超えている先進国は、スウェーデンや仏など少なくない。これらの国の多くには、日本よりも税金が高く、児童手当などの子育て支援策も手厚いという共通項がある。国立社会保障・人口問題研究所の阿藤誠名誉所長は問いかける。「負担をせずに予算だけを求めることに、無理があるのではないか」

 01年、保育所の「待機児童ゼロ作戦」を始めた政府。予算の制約もあっていまだに実現できていない。