「ぼくは残業ばかりしているのに、どうして彼らは定時になるとすぐ帰れるのか。しかも、成果もきちんと上げている……」。そんな経験をしたことはないだろうか。それには、実は理由がある。最小限の時間できっちり成果を上げている彼らは、「先まわり」をしていたのだ!では、なぜ先まわりだけで、成果が上がるのか?どんな行動が効果的な先まわりになるのか?人事コンサルタントとして、国内外300社超の「できる人・できない人」を見てきた人事コンサルタント新井健一氏ができる人が必ずやっている「先まわり」の習慣をまとめた『先まわり仕事術』から、一部抜粋して紹介する。
● 外資系コンサルで働いてわかった本当に必要な仕事術
私は新卒で国内大手の精密機器メーカーに入社した。入社後は、同期のほとんどが地方に配属されるなか、唯一、本社勤務、人事部配属となった。だが、3年足らずで外資系コンサルティング会社に転職をした。
転職先のコンサルティング会社は、現在は存在しないが、当時は、得意分野は違えどマッキンゼーやボストン・コンサルティング・グループと並び称された世界トップクラスの企業の一つだった。毎年、MBAを取得したアメリカの大学生が、その門を叩いた。
私自身は、そんな外資系コンサルティング会社で、主に人事分野のコンサルティングを手掛けた。
ここまで聞くと、「なんだか、すごそうな人」「自分にはできそうもないことをやっている」と思うかもしれない。だが、私はすごい人というには程遠いし、当時は人事分野でいう「優秀な人材」とはとても言えない人間だった。むしろ、転職後しばらくは、クビを宣告され続けていた。
だから、こうした「圧倒的にすごそうな仕事」は、やり方次第で誰でもできる、と私は断定している。
その理由をお話しする。
外資系コンサルに入社した当時、私は「自分は外資系企業に選ばれた類まれなエリートだ」と考えていた。前職では、大した成果も残していないが、同期に比べ一目置かれていたことは分かっていたから、調子に乗っていた。
だが、現実は、ビジネスにおけるまったくのド素人。今思えば、どこからあの自信がわいてきたのか、疑問しかわかない。
● 外資系コンサルで、コテンパンにされた日々
たとえば、外資系コンサルに入社後、最初に配属されたプロジェクトはそれまでの仕事とはまったく肌色が違った。国内メーカー時代は、上司から振られた仕事をただ淡々とこなしていれば、それなりに成果を出すことができた。指示を待ち、「後追い」で仕事をしていればよかった。
ところが、外資系コンサルで任される仕事は、どれも初めての仕事ばかりで、とてもまともにこなすことができない。
これは大げさに言っているのではない。現に、入社2週間で上司は私にこう言ってきた。
「新井君、このままだと半年でクビだね」
今でも、この言葉が発せられた瞬間は鮮明に覚えている。顔面から血の気が引いて蒼白になり、それと合わせるように頭の中が真っ白になった。
だが、外資に入った以上は、泣き言は言っていられない。
だから、私は「仕事のやり方」を根本から変えることを決意した。● クビから一転、最高評価を獲得!
まず、国内メーカーでのそれまでの働き方をすべて捨てた。つまり、「上司から言われたことをそのままやるだけの仕事」、言うなれば「後追いの仕事」とは一切の縁切りをした。
代わりに、「クビにならないために特化した、上司の評価を上げるための仕事」、まさに「先まわりの仕事」を始めた。
そのために、先輩コンサルタントの仕事を徹底的に観察した。自分の仕事、国内メーカーの仕事とはどう違うのか。自分の仕事をどう変えれば、クビにならずに仕事を続けられるのか──。
分析の結果、こんな違いがあることがわかった。
・暇があれば、知識のインプットに努めている
・資料作りにムダがない
・次に何をするのか、明確なイメージがある
・ミーティングにムダがない
・上司やクライアントをうまくコントロールしている
・この会社で働くことにこだわっていない
これが、先輩たちの特徴だった。
そして、私はなぜ、彼らがそうした働き方をしているのか、「日々の過ごし方」「一つひとつの仕事の進め方」まで、さらに細く観察し、先輩コンサルタントの仕事を盗んだ。
そして、その結果、クビ宣告をされた最初のプロジェクトが終わったとき、最高評価を獲得することに成功した。
それを1つの仕事術として体系化したのか、「先まわり仕事術」だ。
このプロジェクトを通じて、コンサルタントとしての基礎体力を身に付けることができ、以後もコンサルタントとして活躍し続けることができている。
また余談だが、後にこの外資系コンサルティング会社の社内ビジネススクールの責任者を任せられるほどになった。
私は37歳のとき、この会社を去った。
退社後は、前職でのビジネススクールの経験を買われて、公共機関の仕事に携わることになり、仙台にある中小企業向けの経営者養成スクールの責任者を務めた。
その後、独立を果たし、全国の企業のコンサルティングを行う傍ら、セミナーや講演、執筆活動と、大忙しの日々を送っている。
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http://million339.blog.jp/archives/7077037.html
新井健一
