京友禅といっても、色々。

このような模様はよく見かけますが、

私の等身大の暮らしに、豪華な柄はもう必要ないかも...。

「今の20代のうちに着ておかないと...明るい色はすぐ着られなくなっちゃうのよ。」

母が私によく言っていた言葉を思い浮かべ、

(ああ、そういうことだったのか)

と過ぎる年月の速さに納得するこの頃。

 

 

 

そして何度か訪れる機会が増えた京都で、

地味に品よく着物を着る、

年配の女性の着こなしの美しさに胸を打たれ、

何度、「ガン見」してきたことか(笑)

ああっ、

地味って素敵。

お上品。

 

 

これから先、

ちっとしたお食事やパーティーや、

歌舞伎やお芝居に、

お茶会や

アフタヌーンティーに着ていきたいなと思うのは色無地。

帯で遊べる色無地こそ、

究極。

 

 

 

そしてお伺いすることになった工房で、

私は衝撃を受けました。

 

 

 

 

 

これは昔の見本帳です。

昔はクルマも電車もなく、歩いてしか御用聞きに行かれなかった。

ですから見本帳は軽くて小さくなければいけなかったそう。

「将軍様、今度のお着物の柄はこちらでいかがでございましょう。」

「せやな、ほなこれにしまひょか。」

と、幕末の天保3年(1832年)に、そんな会話がされたとか。

鼠小僧が小塚原で処刑された年でございます。

そして天保年間といえば五代目・松本幸四郎の時代だそう。

歌舞伎役者さん達も、

こんな見本帳で着物をオーダーされていたのでしょう。

いやー。

歴史って、史料って、すごい。

 

 

 

それから見せていただいたのが、

紅葉の柄の型でしたが、

いちばん衝撃を受けたのが、

この京小紋(江戸小紋にもある柄ですね)の、

この小さなポチポチひとつずつが、

手作業で型抜きされて、

ポチひとつを、ひとつの小さな型で抜いて連続柄にしていたという事実。

つまり、ポチひとつにかかる時間が一秒だとすると、

これだけのポチを開けるのに、

何万秒がかかるということ。

 

ポチポチと、ミクロほどの大きさの型貫きを

和紙に正確に並べて打っていく作業...

気が遠くなります。

だから伝統工芸士や人間国宝に...

と納得しすぎて...涙がでそうになりました。

「もし、途中でくしゃみとかして、アッとずれてしまったらどうするのですか」

とおバカな質問を。

「はい、最初からやり直しです」

 

 

信じられない。

この下絵を正確に、小刀で切っていくときも、

くしゃみもできないワケでございます。

    日本刀と同じ刃先を、常に研いで使い、和紙を切る作業を淡々と続けるのだそうです。

 

 

 

 

ぜえぜえ。

今日はここまでにいたします。