2020年 摂食障害治療ため専門病院に入院した時の娘の記録です

専門病院へ移って数週間、経管栄養で命を繋いでいた娘。

栄養が体に入ってくる罪悪感、恐怖感と毎日闘ってました。

 

最初はベットで寝たきりでしたが、経管栄養のおかげで

徐々に体を起こせるようになり、部屋の中を歩けるようになった頃の事です。

 

娘は行動制限があったため、個室から出ることが出来ませんでした。

しかし栄養剤が入った後は不安になり個室の中を歩き回っていたようです。

 

転院の際、病院の中はスリッパやサンダルではなく運動靴を用意するよう

言われました。娘を連れて買いに行くことは出来なかったし、

私も一緒に病院で寝泊まりしてたので、ネットでスニーカーを購入し、

病院の上履きにしました。

 

娘は足の甲の幅が狭く、普段もなかなか自分の足にあったスニーカーに

出会えず苦労してました。今回もネットで購入したのでもちろん試着も出来ず・・・

でもスポーツするわけじゃないからと、かなり適当に選んでしまいました。

 

それがいけなかったのか、

必要以上に歩き回る娘もいけなかったと思いますが、

靴擦れが出来てしまいました。

 

通常、靴擦れなんて絆創膏を貼っておけば2,3日で治りますよね・・・

 

この時の娘の身体は靴擦れを治す力もありませんでした。

靴擦れが酷くなり、緑色の膿がでるまでになってしまいました。

洗濯物の中に血のついた靴下が何足か混ざってました。

 

病院から連絡がきて抗生剤の点滴をすると言われ驚きました。

たかが靴擦れだと思っていたのに・・・

このことには娘も驚いたようで、自分の足の傷が酷い状態になっていて

見るのも怖かったそうです。

こんな小さな傷も治せなくなっている自分の身体に危機感を感じたようです。

せっかく動けるようになったのに、今度は足のケガでまた動けなくなった娘。

この時、自分の中で何かが動いたのだと思います。

 

担当看護師さんに

「口から食事したいです・・・」と申し出たそうです。

 

しかしすぐには食事開始となりませんでした。

(主治医のじらす作戦?だったのかな・・・?)

 

 

 

部屋から出れない娘が、唯一、シーツの交換時間だけはホールに出れました。

娘が入院していたのは中学生以下の子ども専用の病棟でした。

小学生、中学生の男女30名ほどが入院生活を送っていました。

 

ある日、ホールでシーツ交換が終わるのを待っていると、

その日の昼食の匂いがしてきたそうです。

 

その日のメニューは牛丼。

甘辛い匂いを嗅いで、娘は「食べたい・・・」と思ったそうです。

 

そして、ホールで食事をしている子ども達の会話が聞こえてきたようです。

「ここのご飯も美味しいけど、やっぱお母さんのご飯が一番だよね」

「早くお母さんのご飯が食べたいなー」

「僕はマックが食べたい!ビックマックとポテト食べたい!」

「私、マックシェイクがいい!バニラのマックシェイク!」

 

娘もマックシェイクが大好きでした。

この会話を聞いて、泣き出したそうです。

 

「私も食べたい・・・ママのご飯が食べたい」

「マックシェイク飲みたい。管じゃなくて口から食べたい」

そう看護師に訴えたそうです。

 

実は経管栄養は鼻から管を通して栄養剤を入れますが、ほのかに栄養剤の味が

わかるそうです。

娘はメイバランスのバニラ味をよく注入していたようで、それがマックシェイク

のバニラ味に似ていたようです。

その感覚もあって、病気になる前に大好きで飲んでいた味を思い出したのかも

しれません。

 

「口から食べたいです」と再度要望を出してから3日後、食事が用意されました。

白いご飯とお味噌汁、卵焼き、ハム、酢の物、キウイフルーツ、ヤクルト

久しぶりに口から食べたメニューでした。

 

「美味しかった」

と手紙に書いてあったのを見た時、初めて嬉し涙が出ました。

今まで入院しても悪い方へ悪い方へ進んでいる気がして、

不安や心配で泣いてばかりでしたが、この時は要約、安堵の涙が出ました。

 

最初は1日800カロリーからスタートした食事。

1週間ごと摂取カロリーの設定が上がります。(完食しないと上がりません)

この日から「家に電話ができる」1200カロリーを目標に娘は食べ始めました。