愛されたい
愛されたい ばかり
穴のあいたこの器では
すぐにこぼれてなくなってしまうから
誰かに埋めてもらうしか
術がないと思っていたから
ただただ
飢えた子猫みたいに
愛されたい
愛されたいと
鳴くばかり
時を経て
やっとやり直しを許せた私は
見よう見まねで
継いで接いで
ようやく
器のかたちを
思い出すことができて
雨垂れを丁寧に
一滴ずつ溜めるように
満ちることを知っていった
満たされた器は思う
触れてくれた君を想う
こんなにも
こんなにも
愛したくてたまらない
愛されたいばかり
そればかりだったのに
今 愛したくてたまらない
満ちて 溢れて
それでもなくならないのだと
思えるから
信じられるから
満たされた器は思う
ずっと側にいてくれた
もう一人の「わたし」を想う
諦めないでくれてありがとう
踏み出してくれてありがとう
私は
わたしで良かったよ
過去作品 2020/5/12