夏の終わりに名残惜しく

眩しい日差しに目を細めた




ひんやり撫ぜる夕の風が

次の季節を知らせに来る

足早に

お別れの時間が今日も来る




見送ったあとの風に

あなたの残り香が

気がついたその瞬間にもう

するりと溶けて消えていた






最後の姿が笑顔ならばと願う

いつか来る

逃げられないその日がせめて

こんな風に眩しい日であってほしい






私たちの命と

今この瞬間の奇跡を

あなたの心臓が脈打つのを

あなたの香りを

覚えていたい




ありふれた新しい9月の風が

あなたの香りをさらっていった日を

その寂しさも愛しさも

ずっと覚えていたい