やさしい雨が降る

街を濡らし

それに気づいた花がひらく

水脈を繋ぐ境界は

ゆるやかに解け

空と 地とを混ぜ合わせてゆく



歌が聴こえる

揺れるビブラート

甘く囁くような

世界のはじまりと終わりのような響き





逆さまに登る白妙の月

やがて宇宙(そら)へ 解けて 融けて

ひとつだった場所を思い出す



降りやまぬ雨は

やさしく覆い隠すように時を撫でて

そっと

世界を切り離した