トミー・ジョン手術がもたらしたもの | ミヤーンのブログ

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トミー・ジョン手術の最初の成功者は言うまでもなくトミー・ジョンです。ロサンゼルス・ドジャースやニューヨーク・ヤンキースなどで活躍したサウスポーで、メジャー通算288勝。私が最初に目にしたころは既に制球力のいい軟投派というイメージでした。1974年7月に左ひじの腱断裂という大けがを負い、当時チームドクターだったフランク・ジョーブの提案で損傷した靭帯を摘出し、健康な腱の一部を移植するという手術を受けました。しかし、こんな手術は前例がなく、ジョーブ博士も成功率は1%と言ったそうです。ただ同時に、手術をしなければ復帰の可能性は0%とも言われたことでジョンは手術を決断。1976年の4月にメジャー復帰を果たし、手術後に稼いだ勝ち星は164勝と、結構息の長い投手になりました。
日本ではロッテの村田兆次さんがこの手術を受け、見事に復活を遂げています。それ以降、荒木大輔桑田真澄といった選手たちもこの手術によって復活していますね。
現在、トミー・ジョン手術の成功率は85~90%と言われています。何より大事なのは手術後のリハビリと言われており、いかに復帰を焦る気持ちを抑えるかがポイントなのかもしれません。ただ、この手術には一種の都市伝説的なものがあり、それは「トミー・ジョン手術により球速がアップする」というものです。現実にそうした例はあるのですが、個人的にはそうした一部の例は、故障前にははっきりと気付かなかった、わずかに痛めていた肘が回復したことで腕をスムースに触れるようになったことと、何より暗示的なものではないかと思っているのですが、真相は不明です。しかし困ったことにこうした噂は独り歩きをするもので、それを真に受けた親が「自分の子供にトミー・ジョン手術をしてくれ」と医者に迫るという笑えない話もあるそうです。その子供は肘の異常を全く訴えてないにもかかわらず、です。
かつては、肘を故障した選手が最後の手段としてこの手術を受けていたものですが、昨今は成功率の高さも相まって気軽にこの手術を受ける選手が多くなっているそうです。まあ、悲壮感しか浮かんでいない顔で来られては医者もたまったものではないでしょうが、この手術がプチ整形のごとくなってしまうのも個人的にはどうかと思います。
アマチュア選手でもこの手術を受ける選手は多く、以前はドラフト直前に手術をした選手などどの球団も敬遠しまくっていたものですが、昨今は、当然指名順位は下がりますが、1巡目でも指名されるようになってきました。これは「投手は怪我をするもの」ということを前提にした指名なのかもしれません。まだ怪我をしていない、これからいつ怪我をするかわからない投手と、既に怪我を負い、そのケアも終えている投手を同等に扱っているのだとすれば、丈夫さという点は才能として評価されなくなっているのでしょうか。
ダルビッシュ有選手は登板間隔を中四日から中六日にした方がいいと言いましたが、中には中四日にこだわる投手もいたりして、意見の一致を見るのはなかなか大変かもしれません。しかし、プロで何年も投げた中堅ベテランだけでなく、最近は若手が手術を受けるようになっているのは事実です。やはり一度、冷静に考える時期に来ているのではないでしょうか。
かつては、ドラフトで指名された選手の契約金は日本よりも安いくらいでしたが、代理人の活躍もあって(笑)新人の契約金は高騰の一途です。以前紹介した契約金プール制度はこうした契約金の高騰に歯止めをかけるために考え出されました。もし高校大学の投手たちが
『アマチュアで活躍した方が契約金もアップするから少々無茶をしてもいいだろう。いざとなったら手術を受ければいいんだから』
と軽く考えていたとしたら大問題だと思います。さすがにそんなのはいないと思いますが・・・わかんないぞ、あの国も・・・