新・悪の帝国が本領発揮しましたが、他の四球団がどう対抗していくか、楽しみな地区であります。
1.ロサンゼルス・ドジャース
2.アリゾナ・ダイヤモンドバックス
3.サンフランシスコ・ジャイアンツ
4.コロラド・ロッキーズ
5.サンディエゴ・パドレス
やはり『新・悪の帝国』を襲名したロサンゼルス・ドジャースが圧倒的な戦力を有していると思います。
メジャー最高の左腕、クレイトン・カーショウと、サイ・ヤング賞の可能性もあるザック・グレインキーの左右のエースにヒョンジン・リュと三本柱は安泰でしょう。ここに、万全ならメジャー有数の実力者であるダン・ヘイレン、技巧派左腕のポール・マハーム、夏前には帰ってきそうなチャド・ビリングズリーに忘れ去られた感のあるジョシュ・ベケットと先発候補は豊富。ブルペンも、元捕手のクローザー、ケイシー・ジャンセンを筆頭に髭の怪人ブライアン・ウィルソン、問題児クリス・ペレス、復活期すブランドン・リーグというオールスターリリーフが揃い、さらには左腕JPハウエルなどもおり、質量ともにトップクラス。さすがは新・悪の帝国です。
打線もまさかの復活を遂げたハンリー・ラミレス、4年連続100打点のエイドリアン・ゴンザレス、怪我さえなければ一流のマット・ケンプがクリーンアップとなり、リードオフマンは野獣、ヤシエル・プイーグが務めることになりそうです。カール・クロフォードの完全復活は厳しそうですが、元キューバ代表のアレックス・ゲレーロがセカンド、捕手はリードのいいAJエリス。外野の控えに、左投手には弱いけど右投手にはめっぽう強いアンドレ・イーシアーもおり、層は厚いです。
戦力的には問題がないように見えますが、これだけ高額契約のベテランが揃うと将来が心配になります。財政的制約がないとはいえ、チーム作りそのものは一時代前の強豪の作り方。こういうチームが勝つのは個人的にはあまり面白くないのですが、それでも今季は押しきるだろうなあ。
金満ドジャースの対抗馬になり得るのがアリゾナ・ダイヤモンドバックスでしょう。今オフは若手有望株を放出してでも戦力充実を図りました。
リーグ屈指の左腕へと順調に成長しているパトリック・コービン、技巧派左腕のウェイド・マイリー、メジャーを代表するゴロ系投手のトレバー・ケイヒルの三本柱にメジャー有数のワークホース、ブロンソン・アローヨが加わりましたが、打者有利の球場だけに一発のリスクの大きいアローヨがどれだけの数字を残すか、少し不安もあります。五番手は故障の多いブランドン・マッカーシーでしょうが、将来のエースと言われるアーチー・ブラッドリーが夏前にはローテーションに加わっているかもしれません。ブルペンにはホワイトソックスのクローザー、アディソン・リードが加わりましたが、8度のセーブ失敗があるので不安は残ります。もし機能しない場合はベテランのJJプッツかサイドスローのブラッド・ジーグラーが穴を埋めるでしょう。
打線の中心はメジャー屈指の大砲に成長したポール・ゴールドシュミット。これだけの大器がドラフトでは8巡目指名だったというのは少し信じられません。ゴールドシュミットへのマークの集中を避けるためにエンゼルスから大砲、マーク・トランボを獲得しましたが、大砲の宿命で三振が多いことと不慣れな外野守備が不安です、特に後者。昨年は怪我がちながら強打の捕手、ミゲル・モンテロに同じく強打のセカンド、アーロン・ヒルなど脇を固める面々も、派手さはありませんが実力派揃い。メジャー屈指の守備範囲に強肩を兼ね備えたヘラルド・パーラの守備は超一流で、トランボのレフトを除いて平均以上の守備力はあります。
正直、ドジャースを追いかけるにはやや戦力不足の感は否めません。若手を放出して獲得したメンツも、果たして適性と言えるかどうかという声もあります。勝負の年は今年だったのかなあ……
2013年のワールドチャンピオン、サンフランシスコ・ジャイアンツですが、戦力的にはやや下降傾向にあると思います。
かつてのエース、ティム・リンスカムとは2年契約を結びましたが、契約内容には疑問が多いに残ります。負け越さない投手、ティム・ハドソンを獲得しましたが、もう38歳。ローテーションを劇的に変える起爆効果はないでしょう。ライアン・ボーグルソンは昨季は不幸な怪我で、復帰後の内容から見て一昨年並みは期待できます。マディソン・バンガーナーはリーグ有数の左腕に成長し、マット・ケインも後半戦は復調していますから今季は期待していいでしょう。ローテーションはきっちり組めますから、昨年のようなことはないでしょう。ブルペンはセルジオ・ロモを中心に安定しています。
打線にはマイケル・モースが加わりましたが、ここ2年は成績下降中。パブロ・サンドバルも期待通りには成長していませんし、バスター・ポージーもこの先は昨年よりややプラス程度の成績で終始するのではないでしょうか。捕手というのは、それだけ消耗の激しいポジションなのですから。ハンター・ペンスの5年契約も疑問視する人は少なくありません。レギュラー全員が健康で1年を過ごせばそこそこの打線ではありますが、控えの打力は低く、怪我人が2~3人出れば戦力は一気に落ちてしまいそうです。守備は平均よりやや下。特に外野の守備力に不安が残ります。
有望な若手が一通りメジャーに定着し、ここ2年ほどは目立った有望株が出てきそうもないことからベテラン偏重が余計に目立ちます。プレーオフはあり得るかもしれませんが、その先は厳しいと私は見ます。
一時は再建モードに突入すべきと言われたコロラド・ロッキーズですが、どうもチームフロントにその気はないようです。
先発はホルヘ・デラロサにヨーリス・チャシーンが左右の柱。故障さえなければ超一流のブレット・アンダーソンが加わり、若手のタイラー・チャトウッドも育っています。アストロズから加入のジョーダン・ライルズがホアン・ニカシオと先発五番手を争いますが、有望株のエデュ・バトラー、そして将来のエースと期待されるジョナサン・グレイもシーズン中にはデビューするでしょう。ブルペンには大ベテラン、ラトロイ・ホーキンスとブーン・ローガンが加わり、順調に育っているレックス・ブラザーズと層は厚くなりました。
打線の中心はやはりトロイ・トゥロウィツキとルイス・ゴンザレスの二人。昨年の首位打者、マイケル・カダイヤーはそれまで三割を一度も打ったことがありませんので、今年は割り引いて考える必要がありそうです。かつてツインズの主砲だったジャスティン・モアノーが加わりましたが、2010年の脳震とう以来、打撃成績が回復していません。コロラドの高地で気分良く打球が飛べばあの強打が戻るかもしれませんが、大きな期待はしないほうがいいでしょう。かつてレッズのプロスペクトだったドリュー・スタッブスも加入しましたが、昨季は自慢の足も大したことはなく、三振の多さは相変わらずで、こちらも起爆剤になりそうにありません。内野の守備はトゥロウィツキ、ノーラン・アレナードの三遊間にセカンドのDJラメイヒューと名手が揃い、かなりのレベルにあります。外野は、カダイヤーが穴な上にレフトのスタッブス、センターのゴンザレスがそれぞれ初挑戦となるので何とも言えないところではあります。
自慢の強打線を支えるこれといった若手が育っていない半面、投手陣には楽しみな選手が出てきました。とはいえ、総合力で上位球団に対抗できるレベルにはまだないと私は思います。
長期低迷の続くサンディエゴ・パドレスですが、今季も決して明るくはなさそうです。
アンドリュー・キャッシュナーがエース格となり、イアン・ケネディも投手有利の球場で輝きを取り戻すかもしれません。昨季、トロントで散々だったジョシュ・ジョンソンは故障も多く、フルシーズン働けるか疑問ですし、元広島カープのエリック・スタルツもローテーション投手としてはギリギリのところ。先発陣は贔屓目に見ても平均レベルに到達はしていません。ブルペンはヒューストン・ストリートがクローザーとなりますが、やや球威の衰えも見られることからホアキン・ベノワの獲得は意味があると思います。ブルペンは平均レベルを維持していると見ていいでしょう。
2012年の打点王、チェイス・ヘッドリーは今オフにFAとなりますが、それだけにいい成績を残したいでしょう。強打のセカンド、ジェド・ジョーコをはじめヨンダー・アロンゾ、ヤズマニ・グランダルと期待できる若手はいますが、世代交代が微妙にずれてしまっているのが痛いところ。ドラフト時には次代のケン・グリフィJrとも呼ばれたキャロン・メイビンは伸び悩んだまま。カルロス・クエンティンも故障が多く、確実に計算できる打者ではありません。守備は平均レベルにありますが、決していいとは言えない数字です。
守備面の評価が高いオースティン・ヘッジス捕手を筆頭にマイナーの層は厚いのですが、成長時期を考えると現在の主力とはタイミングよく噛み合わないように思います。何よりもまずここ10年で5人の球団社長、5年で3人のGMとフロントが安定しない点を改善しなければ話にならないでしょう。今季はよくて地区4位、個人的には最下位で終わると思います。
理想的な育成球団だったダイヤモンドバックスが勝ちに少し舵を切りましたが、総合力ではやはり金満ドジャースだと思います。あまり波乱はない地区になるんじゃないでしょうか。