ユニコーンは、今回一番キツい場所にいる。
見てのとおり、今回一番人気のホルモン裏、
さらに同じく一番人気のB'z待ちが大量発生する時間帯である。
どう考えてもB'z裏の岡崎体育よりも条件は悪い。
また2年前の川西さん脳梗塞によるユニコーン自体のキャンセルのペナルティ的意味もあろう、
さらにひどい事実として、ユニコーンはほぼ最終にて出演発表が行われ、
固定ファンがチケットを手に入れにくい状況であった。
ただそれ以上に、ロッキンの捉える時代の象徴としてのフェスに、
ユニコーンはもはや対応できない存在である、と、
ロッキン側が認識していることが、待遇の劇的悪化の主な要因かもしれない。
音楽ではなく『現代版盆踊り大会』として、祭りを楽しみたい若者のための場として、
仲間と同じ行為をすること、同じ世界観を共有することによって精神の高揚を図る儀式として、
そして音楽というコンテンツがインスタ用のオブジェと同列になった現状に対して柔軟に対応した、
悪く言えばチャラい、良く言えば時代の変化・ニーズをとらえたイベントとしてのロッキン、
いやロッキン以外の多くのフェスも変質しているのは語らなくとも皆わかっている。
その現代のフェス文化にある意味ユニコーンは取り残されているのは事実である。
勢いと新奇性に満ちたロッキンに、ユニコーンはもはや効かない古い薬なのだ。
間違いなくロッキンは、あと数年、いやもしかすると今年、ユニコーンを切るつもりかもしれない。
だからこそ行っておこう。今年が最後かもしれぬなら、全力で応援しに行く。
ということで久々にひたちなか!久々に野外フェス!
ZEPPも石川もJ-WAVEも屋外だったので灼熱の空気に耐えられるだろうか・・・
横浜よりバスに揺られて4時間、想像より涼しいもやはり蒸し暑い、というか生ぬるいひたちなか。
前日からの仕事疲れもあって肉体はすでに限界。
だがしかし夏は野外でユニコーンを見なければならないのだ!
もう体力ないので他のアーティストのレポートは適当です。すいません。
とりあえずはグラスステージに金爆を見る。
毎回おもろいが、とにかく今回どのアーティストも気になっているのがB'zの出演。
で金爆は「B'zのカバーをやるなんてそんな失礼なことできないが・・・
でもB'zはまだ会場に入ってないはずだ!」とウルトラソウルのオープニングが流れてきたw
え?声が稲葉さん?まさか?と思ったらモノマネ芸人だったwルックスw
朝っぱらから音楽を交えた演劇性に大笑いできました。
情報過多が通常の若者にとって、音楽に加えて更なる情報量があることが
どのイベントにおいても必須なんだろうなあ・・・
音楽+歌詞のドラマ性+MC+笑い+演劇+おしゃれ感+ビジュアル+ダンス+モッシュ+・・・
もちろんユニコーンは笑えるし演劇性もあるしかずしはビジュアル美しいが、
それを40分の短時間であちこちに詰め込めるほど器用じゃない。
色々なことを思いながらみなとやへ。
毎年恒例メロンジュース。めちゃうまい。
何かよくわからんが気になったエイのから揚げ。
コラーゲンたっぷりらしいがよくわからん。
そしてイチゴじゅーす。めちゃうまい。
ここでいつものユニコーン信者阿部マニア皆様と久々の再開。
いかに今日がアウェイかについてひたすら語り合う。
皆と別れてサチモスを寝ころびながら見る。
地方から都会へやってきた大学生が目いっぱいおしゃれしてやってきたインスタ映えするイベントで
必ずかかってる、現代の洗練された都会を象徴する世界観をJ-WAVEライブで見て
「うわあ、おしゃれすぎる・・・」と精神的ダメージを受けてきたんだが、
これまでフェスの主役として存在した、ホルモンやワンオク好きな暴れる若者と対極にある、
そしてサカナクションとかが好きな、悩める学生層や若手社会人とも違った、
時代を見事に切り取れるオサレな意識高い新規客を呼び込むために最も効果的なバンドだなあ、と。
普通に演奏うまいのでゆったり聴けるし、ヨンスの低音ボイスも非常にかっこ良いのだが、
高音部があまり出てないところはちょっともったいないなあと思った。
しばらく散歩とかしたりしてから真心をちょっとみる。
♪俺のチンポから石が出た!と、味わい深い歌詞を全力でかっこよく歌って、すげえなあ、とw
でフレデリックへ移動。
メンバーが二卵性双生児とのことで、コーラスワークが今の若いバンドの中でかなりうまいなあ、と
思ってたのだが、、まさに息ぴったり、とはこういうコーラスワークなんだろうなあ。
曲調も楽しいし客の乗せ方も本当にうまい。素直に楽しいバンドでありながら
今の若者をつかむためにバンドがどういう戦略をとるべきかを良くわかってて、
多分数年でフェスのもっと大きいステージに食い込んでくるかもしれない。
で途中で抜けてレイクにたどり着いた瞬間ナオトインティラミス終わってたw
次の次はユニコーンだが、まず次はオーラルシガレッツで何となく知っているので良かった。
J-POPとJ-ROCKの境目をバランスよく見極めながら時代に合わせて、
フェスにも大型ライブにもマッチする大きな楽曲、
そして楽曲を盛り上げるミュージカル調の身のこなし、(一瞬山崎育三郎の動きかと思った)
そしてほんわかしたMC(奈良弁)でとても良い。
彼らも数年以内にグラス行けそうだなあ、と思ったら、
そういえばフレデリックもオーラルもアミューズ所属なんだよね。
ワンオク、ベビメタが海外に時間を費やす間、国内の若手アーティスト育成はどうなるか、と
この前の株主総会で質問したかったが、実際に目にして耳にして、
アミューズの株はしばらく保有!と決意できた。
さあユニコーンですよユニコーン!ホルモン真裏だけど僕らは全力で応援する!
皆さんと合流しオサーンの登場を待っていると、あ!レイクステージのカメラマンが橋本塁!
やった!まじでうれしい!
塁さんといえばユニコーンにおける三浦さん的にワンオクのライブに欠かせないカメラマンだが、
なんつったって塁さんのライブ写真のかっこよさはまじでヤバい。
僕の中でこれまでのロッキン最高傑作写真は2011年掲載のユニコーン探検隊。
阿部と民生を前面に押し出した、ものすごい写真の臨場感は芸術なので
ロッキン2011特集号を古本屋で見つけた人はまじで購入をすすめる。
そしてオサーンたちが登場!ああかわいい!ああかわいい!
この日は川西さんを目視できる位置に来れたんだが、
最初のスティックにチュッとする儀式てやられてしまい黄ばんだ声出たw
ああかっこいい!ああかっこいい!
セトリはJ-WAVEにやや近い内容。
「服部」から曲の切れ目なしで「ひまわり」につなげる入り方が今までになくてかっこよかった。
個人的にEBI曲に加えテッシー曲もセトリに入れるのは『いちげんさん』にはどうなんだろう、
実際のところユニコーンファンにも「?」と思われていると思うのだ。
認知度の高い「WAO!」を入れるか、民生曲を入れた方がフェス戦略として正しいと思うが、
民生はおそらく、40分間で「ユニコーンとは何か」を伝えることを重視して決めたのだろう、と。
*フェスの曲目は民生中心に、というか民生が決めている光景はMade in Japan参照。
君臨する天人としての『奥田民生』像と、『』のない奥田民生については前にツイッターで書いたが、
(*その内容については一度まとめて考えなければ、と思う。)
『奥田民生』像が蓮の葉の上にギリギリのバランスで平然と冷静にふるまわねばならないのに対し、
ユニコーンの一員としての民生は地上にいて泥まみれで遊ぶことが許されている。
邪気も無邪気もごった煮にしてめちゃくちゃになることを恐れる必要もなく、
ユニコーンにある無敵の至福を楽しんでいるなのだなあ、と。
自分がすべての責任を負うことはなく、全員主役の社会で、更に自分の新しい魅力を見せられる。
ユニコーンという場の無限の可能性、実際の社会では不可能な共産主義的理想社会を、
永遠に子どものように、喜びだけを享受できる世界の実現を楽しんでいるのだ。
ユニコーンとは『民生とゆかいな仲間たち』などではない。
誰一人が欠けても成り立たぬ理想郷としてのバンドなのだ、と訴えるセトリなのだと・・・
いや、ちょっと待て、むしろそういう高尚な内容ではない。
阿部が横に来た瞬間の破顔の民生を見て確信した。
単にテッシー曲にある阿部が前に出てくるシーンで
一緒にギター弾きながらニヤニヤしたいだけじゃねえかwwwwwwww
うん、民生はものすごく素直な人だw
で、我らが阿部大先生がSAMURAI5~かきまZで登場されたわけだが、
阿部がケーブルを抜いて「不思議だね~刺さってないのに音が出るんだねえ~」とか言いながら
ケーブルの先っぽで民生のあちこちをつついてた。
ああ茶番かわいい・・・茶番はプライスレス・・・
感想でブンブンケーブルを回すんだけど、あぶねえwwwwwww
あと、単なるマイクにつながってるだけのケーブルをなぜかマイクスタンドに刺したまんま動くんで
スタンド倒れかけるのをスタッフさん見事に支えるw
でこの前のJ-WAVEではなぜか笑い声と戸惑いであふれた「大迷惑」だが
今回は観客の一気に対応できて奥田さん嬉しそうw
やはり現代のフェスに必須の爆発力は「大迷惑」の力が強力だなあ、としみじみ思う。
本人たちもそれは認識しているからこれは外したくても外せないのかもしれぬ。
ラストになるにつれ間違いなく体力を使う曲でありながら、奥田さんの歌唱力はゆるぎなかった。
そして「最後の曲と大迷惑を入れ替えたかったのですが、この曲で終わる方が味わい深い、
とのことで、この曲で終わります」と始まったのが、「開店休業」・・・
既にZeppとJ-WAVEで聴いてはいるものの、曲のシチュエーションと同じ、屋外で聴くのは初めてだ。
青空から夕焼け、遠くに月が出て、何とも美しい世界がステージから会場に広がっていった・・・
民生に「暗い!」と言われて消去された「開店休業」がセトリに入ったのは、
かつては「誘惑に負け、雲や虫と同様、いつか終わってしまう愛」を暗示する曲であったものが
今や「雲や虫の諸行無常と違って、永遠を約束された確固たる愛」を意味する曲となったことに
民生が自信を持ってふるまえるようになったからではなかろうか。
たとえ強い愛があろうとも、人間国宝レベルの職人技で曲げたり隠したりしてしまう愛を、
完全なる直球表現で歌うことになる「開店休業」。
この曲はハモりはないのになぜかどの曲よりもハモりがあるように感じるのは、
再始動から8年を経て、更に近付いてゆく精神的な距離のせいかもしれない。
静かに歌われる曲なのに、世界の中心で叫ばれる愛よりも大きな愛を感じたのだ。
多分だが今回のセトリ、「ユニコーンとは何か」という命題の回答以上に、
奥田さんの精神安定に最も良い選曲を考えた部分もあるのかもしれぬ。
とにもかくにも素晴らしかった・・・
そしてユニコーンインスタの写真とコメントに涙する。
本当に5人で来てくれてありがとう!
で、一応今回の目玉であるB'zも見に行く。
一言で言えば外タレ!もうダイナミック!凄いよ凄いよ稲葉さん!
一瞬で場を掌握するロックスター感マジハンパネー!
とりあえず死ぬ前に一回くらいB'z見ておこうかなあ、という人は必ず見ておいた方がいいよ!
でおなかが空いたのでハム焼き。
やっぱこれを食べてこそロッキンだね。
なんだかんだで今年も安全に終了。
今後ユニコーンが出るかどうかわからないが、間違いなくユニコーンはいいぞ!