「はぁ、なんやねん…」
丸い夕陽の縁が欠けるまでいつもの川の土手に座っていた。
いつもなら隣にあいつがいて笑ってくれているのに今日は一人で…
自分の胸に穴が空いて風が吹いている。
「ずっと山田の事好きやってん。俺と付き合ってほしい」
『ごめん。彩のこと好きやねんけどそうゆう好きじゃなくて…だから友達でいてくれへん?』
「あ、あぁそうやんな…
そうや俺学校に忘れ物したから取ってくるし先帰っとって、」
『彩…』
いつも通りの帰り道
幼なじみでずっと好きやった山田にやっと思いを伝えられた。けど山田から言われた
『友達でいて』
その言葉がなぜか切なくて…
苦し紛れの嘘をついてその場から離れた。
夕陽も沈んで夜になり空には星が綺麗に光っている。まるで今の自分とは正反対。
山田に恋した日も今日みたいに星が綺麗な日で
幼なじみで小さい頃からずっと一緒にいる山田を好きになるなんか思ってもなかったのに
『星、綺麗やな』
なんて言いながら微笑む山田は星よりも何よりも美しくて胸がどきどきと騒いだ。
そろそろ帰らないとな…
そう思って携帯を見ると山田からメッセージが届いていた
『彩、告白してくれたのにごめんな?
でも彩とはずっと今のままの関係でいたいから
これからも私と仲良くしてな?』
俺を傷つけない為なのかのやさしい理由。
今はその優しさが余計に傷つく。
そのくせに
「大丈夫やで!全然気にしてへんし!」
いい人でいようとして強がってそんな返事を返す
自分で言うのもあれやけど結構モテてきて告白されたことも何度もある。その度に振ってたけど今日初めて自分から告白してわかった。
振られるのって結構キツイんやなって
瞼から流れる熱いもの
この涙を最後にして俺達はこれからも冗談を言いって笑い合おう
友達として…
辛い時はこの土手に来て何度も何度も立ち上がる練習をした。いつもすぐに立ち上がれるのに今日は油断したら涙が出てきそうになる。
だからお腹の辺に力を入れて負けないように立ち上がろう。
「っし!行くか」
今まですぐに立ち上がれてたのは山田が隣に居てくれていたから。
そう思うと勝手に山田の家へと走り出していた
「山田!」
『え、彩?どうしたん?こんな時間に』
名前を呼ぶと部屋の窓から顔を出してくれた山田に奥歯噛み締めながら微笑んで言おう
「ずっと友達やぞ!」