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レポート

1. はじめに

このテーマを選んだ理由は被服の色彩が着用者にどのような影響を及ぼすのか、科学的実験を用いて考察できると思ったため。

2. 実験方法とその結果及び考察

(1)心理的解析・SD

・実験方法

被服の心理的感情を表すと思われる15形容詞対(:好きな⇔嫌いな、快適な⇔不快な)を用いて5段階評価を行い,SD法により実験を行う。[日本家政学会誌 Vol.55 No.7(2004) P532より引用]

・結果及び考察

各色のワンピースドレスを着装し、15形容詞対を用いて5段階評定を行った。鏡なし及び鏡ありについて被験者15名の評定平均値より、鏡あり、なしにおいては概略同様の傾向を示していた。

黒、白、青は「好きな」「快適な」「親しみやすい」「落ち着いた」「くつろぐ」の値が高く、赤、黄、緑、紫では値が低い。「活動的な」「派手な」では赤、黄、緑、紫の値が高く、黒、白、青では低い値を示している。[日本家政学会誌 Vol.55 No.7(2004) P533より引用]

よってこの結果より快適性の値においては黒、白、青が高く、紫、黄、赤は低い。解放性の値においては白、黄、赤、緑の値が高く、黒、紫は低い。活動性の値においては赤、黄、緑、紫が高く、白、黒、青は低い。

(2)被服の色の生理学的解析

1)脳波、α波含有率

・実験方法

各色のワンピースドレスを着用した状態と鏡に自身の姿を写して見た状態のα波含有率を測定した。

・結果及び考察

鏡がある場合もない場合も共に前頭部から後頭部にかけてα波含有率は増加の傾向にある。

 鏡のない状態は鏡に自身の姿を映し見た場合に比してα波含有率が各測定部位共に高値を示す。鏡を見ている状態ではストレスが加わりα波の生起が抑制されることを示唆している。[日本家政学会誌 Vol.55 No.7(2004) P535より引用]

  黒、黄、緑は他の色との有意差が多いものと推測される。

2)α波含有率と各因子との関係

・実験方法

8測定部位におけるα波含有率の各因子への関わりを調べるために、被験者個人のα波含有率を独立変数とし、第1~第3因子の得点を従属変数として重回分析を行う。[日本家政学会誌 Vol.55 No.7(2004) P536より引用]

・結果及び考察

鏡のない場合には8測定部位すべて第1因子「快適性」の因子に5%の有意性が認められ、統計的にα波含有率の増加が快適性をもたらすことを示している。

鏡を見た場合には自己評価判断などが加わり、複雑な感情がストレスとして作用したものと思われる。

3)1/fゆらぎ

・実験方法

 感情と情操に関わりの深い前頭部位での鏡の有無がα波成分のα波サイクル周期に及ぼす影響について検討を行った。[日本家政学会誌 Vol.55 No.7(2004) P537より引用]

・結果及び考察

鏡のない状態では黄、白、赤、紫の色の順に1/fゆらぎが多く認められ、黒、青は少数である。鏡で見た場合は緑、赤、青、白、黄の順に多数認められ、黒、紫は少数である。

1/fゆらぎは快適性を表すものとされているが衣服には明るさや若々しさの必要性があることを示唆している。これより1/fゆらぎは解放性の因子と関係があるものと推察した。

4)

心電・HF成分・LF/HF成分

・実験方法

心電を測定し、心拍変動スペクトル解析の結果より得られた、被験者15名の心拍数、HF成分、LF/HF成分の平均値を出す。[日本家政学会誌 Vol.55 No.7(2004) P538より引用]

・結果及び考察

鏡のない状態は、鏡のある状態に比してHF成分が高く、精神負荷が少ない。HF成分を高値の順に見ると、鏡のない状態では、黒、黄、紫、赤、白、青、緑の順で、鏡のある状態では、白、黄、緑、赤、紫、青、黒の順である。黒の順位が著しく変化している。

5)心電と各因子との関係

・実験方法

衣服を着用した状態と鏡に姿を映してみた状態のHF成分と因子得点を用いて重回分析を試みた。[日本家政学会誌 Vol.55 No.7(2004) P539より引用]

・結果及び考察

HF成分は値が高いほど精神的負荷が減少するものと理解されている。しかし、鏡の有無に関わらず共に、HF成分には有意性が認められなかった。[日本家政学会誌 Vol.55 No.7(2004) P539より引用]

よって鏡のない場合は鏡のある状態に比べて各色共に低値示し、精神的負荷が緩和されている。鏡のない状態で低値順に紫、白、黒、青、緑、黄、赤、の順であり、鏡のある状態では紫、青、緑、白、赤、黄、黒、の順である。

よってLF/HF成分の値が低いほど快適性が増大すると考えられる。

3. 結論

脳波におけるα含有率は衣服を着装して鏡を見ない状態と鏡を見て姿を確認した場合では鏡を見ない場合にα波含有率は高値をしめしたことから、黄や黒はリラクゼーション効果が高く、鏡で姿を確認した場合においては緑が高い。

心電の測定においても鏡で姿を確認しない方が精神的負荷が少なかった。

SD法を用いた心理的評定の結果では、鏡に自身の姿を映して見た場合、見ない場合共に「快適性」因子、「解放性」因子、「活動性」因子の3因子で構築されていた。

 生理的な実験と心理的な実験を対応させることによって、α波含有率は快適性の因子に関与し、α波含有率の増加は快適性をもたらす。

 衣服の持つ色彩効果を生理的・心理的側面から検討し、その結果を確立することは、今後のカラーセラピーやカラーフィーリングと言った色彩療法などの基礎になるものと考える。