大海の一滴、ミルキーのささやき

大海の一滴、ミルキーのささやき

舞台・映画・小説の感想を自分勝手に書き綴る、きまぐれブログ。

 ※ネタバレしています

話の全容を知りたくない人は読まないでください

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キャスト

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エヴァン・ハンセン:柿澤勇人/吉沢 亮

ハイディ・ハンセン:安蘭けい/堀内敬子

ゾーイ・マーフィー:木下晴香/松岡茉優

コナー・マーフィー:立石俊樹/廣瀬友祐

ジャレッド:上口耕平/須賀健太

アラナ:高野菜々/宮澤佐江

シンシア・マーフィー:瀬奈じゅん/マルシア

ラリー・マーフィー:石井一孝/新納慎也

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あらすじ

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主人公のエヴァン・ハンセン(柿澤・吉沢)は

17歳の高校生。

他の人と話す時、声が震えてしまったり、

手に汗を握ってしまう苦しい悩みを抱えています。

「今日も素晴らしい一日になる」

という自分宛ての手紙を書くセラピーを受け、

いつもそれらを実行しています。

 

そんなある日、

学校で自分宛の手紙を見られてしまいます。

相手はコナー・マーフィー(立石・廣瀬)。

何かと素行が悪い、問題児です。

手紙には、エヴァンが密かに心を寄せるコナーの妹、

ゾーイ(木下・松岡)の名が記されていたから、

さあ、大変。

コナーはエヴァンの手紙を持ち去ってしまいました。

 

そして、その直後コナーは自死してしまいます。

理由はわかりません。

問題が多かった彼は友達も恋人もいなかったのです。

ただ、コナーが自死した際、

持っていた手紙がエヴァンの手紙であったことから、

エヴァンは

“実は死んだコナーの秘密の親友だった”

という嘘をつき始めてしまいます。

嘘に嘘を重ねて話は大きくなっていき、

ついにはSNSで有名になるほどに・・・

 

「ディア・エヴァン・ハンセン」は、

2015年初演で人気を博して以来、

オフ・ブロードウェイ、

ブロードウェイへと進出しました。

2021年には映画にもなっている話題作。

今回の舞台は、日本初演となります。

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大地の風とリンゴの香り

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いやぁ、よかった。良質な演者&舞台でしたよ。

物語にどっぷり浸れました。

物語の前半、エヴァンの嘘が膨らみ過ぎたため、

嫌な予感しか、しなかったんですよね。

“ああ、嘘が暴かれる、悲しい未来が待っている”

とヒヤヒヤし、

幕間はどんよりしちゃいましたよ。

 

けれど、大丈夫でした。

観終わった感想としては

“爽やか”

と形容するのがピッタリだと思います。

冗談抜きで、

大地の風とリンゴの香りを感じるほどでした。

ゾーイが語った、コナーの両親が

りんご園に毎週訪れているという

エピソードはとても素敵でしたね。

きっと、エヴァンのことを許すどころか、

応援しているのでしょう。

なんだか嬉しいです。

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“エヴァンは何故木から落ちたか”

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以下は私の個人の想像です。

 

エヴァンが木から落ちたのは、

消極的な自死だと思いました。

それは自殺未遂を繰り返したコナーと

同一のものです。

わざと手を離しました。

誰も自分に関心がない、自分はどうでもいい存在、

何者でもないことがたまらなく

辛くなったのではないでしょうか。

死ぬ気はなかった、でも、“死ぬ儀式”をした。

そして未遂で終わる“死の儀式”の本質は、

本当は生きたくて認められたくて

しょうがない証に思えてならないんです。

 

客観的にみれば、

エヴァンの母は盛大に彼を愛しているし、

コナーの両親もこれでもかと愛情を注いでいます。

彼らは親に恵まれ、関心をもたれているし、

決してどうでもいい存在ではありません。

なのに親の愛はなかったことにしてしまい、

うわべの注目を求めてしまうという、情けなさ。

甘ったれなんですよね。

けれど、それが思春期の成せる技なのでしょう。

そして親側も、愛には違わなくとも、

その伝え方は必ずしも

その子に合っていたとはいえない、とも。

 

だからこそエヴァンとコナーは、

同じ思いの2人にみえたのです。

もっと言えば、

コナーは死ぬつもりはなかったのでは?

と思っています。

 

コナーの死は、自殺未遂の失敗。

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影ダンサー

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エヴァン、コナー、ジャレッド、アラナには

彼らを模したモノクロ衣装のダンサーが寄り添います。

この演出には、少し疑問を感じましたね。

 

最初は2面性表現なのかな?と思いました。

エヴァンが取り繕った笑顔の時、

シャドウは泣いている的な。

違うんです。表情が同じなんです。

メイン役者が怒りの演技をしている時、

似た衣装&髪型の役者が隣りにいて怒りの表情をする

これは少し混乱します。

大舞台興行のための苦肉の策演出だとしたら、

エヴァンの影はコナーがいいのでは?と感じました。

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口ずさめない

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台詞と同化する歌詞は、スッと入ってくるのですが、

曲は難し過ぎやしませんか?

冒頭ハイディが歌うナンバーのややこしさといったら!

歌えるのは

「暗闇押し寄せても~助けが欲しい時は~♪」と

「タップタップ♪」くらい。

正直、もっと口ずさみたいのに

素人スキルでは到底ムリでした。

もう少しメロディにキャッチーさが欲しかったですね。

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エヴァン 吉沢 亮さん

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繊細で繊細で繊細なエヴァンでした。

キラキラしていて独特な存在感がありながら、

消え入りそうな雰囲気。

誰にも心を許していなさそうな、孤独な眼差し。

なのに、観劇している人が思わず味方になりたくなる

捨てられたワンコ感のある空気を醸し出しています。

そう、まさにエヴァン。

お客が主人公側に立って物語を観られるって、

とても大切なことだと思うんです。

それらを十分満たしていた演技でした。

 

涙が止まらない舞台上の吉沢亮さんを観ながら、

「こんなにしんどい役を

何十日もやり続けるなんてメンタルが心配」

と思ってしまいましたね。

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ハイディ 安蘭けいさん

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ロックなエヴァンのママを演じた安蘭さん。

マーフィー家でくらった

声に出し難い屈辱からのナンバーは

ギラッギラで素晴らしかった!

「よっ!」と声をかけたくなる大大大迫力でした。

もっと言えば、

声をかけた上でスタンディングしたくなりました。

でも後ろの方に迷惑なのでグッと堪えました。

堪えた私、エラい。

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ゾーイ 松岡茉優さん

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アンニュイな雰囲気を漂わせたら

天下一品の松岡茉優さん。

“好き”と“嫌い”がクッキリ分かれていて

中間のない芝居がゾーイの不安定さと相まって、

なんとも不思議な気分にさせてくれます。

舞台サイズではない芝居が功を奏している部分と

そうでない部分がありましたね。

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コナー 立石俊樹さん

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コナーってエヴァンのことが好きなんだ、

と匂わせる演技だった立石さんです。

好きは大袈裟かな?でも、仲間意識はあったはず。

乱暴感がなくどこか人懐っこそうなコナーになったのは

立石さんの人柄が滲み出ているのかもしれません。

エヴァンのやったことを

あの世で許しているんでしょうね。

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ジャレッド 須賀健太さん

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須賀健太さんのことは

テレビや映画では拝見していましたが、

舞台では初めてです。

スターオーラ全開でした。ピカピカです。

声のハリ、セリフの言い回し、

躍動する体幹はザ・プロ!

プロ中のプロ。

それにしても、ジャレッドがいつ嘘を暴露するのかと

ヒヤヒヤしていたので、よかった~

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アラナ 高野菜々さん

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自分の正義を信じて疑わないアラナを演じた高野さん、

ハツラツとした中に闇があってはまり役でしたよ。

結果だけみれば

彼女のやったことは間違ってはいなかったのですが

一緒に観劇した人は、

アラナのSNS手紙暴露に相当腹が立ったようで

「やめろ!!」と叫びそうになったそうです。

どんだけエヴァンに感情移入しとんねん

って話ですよね。

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シンシア 瀬奈じゅんさん

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所作が美しい上流階級のママ、

瀬奈さんにピッタリじゃないですか!

ともすればヒステリック寄りに

なってしまいがちな役ですが

包容力の方が優っていて、ナイスキャスティングでした。

兄を失ったゾーイに対する気遣いの演技が秀逸でしたね。

エヴァンには“隣の芝生”に見えてしまう、

優しくて悲しいママでした。

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ラリー 石井一孝さん

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石井さん演じるラリーの気持ち、よくわかるんですよね。

辛すぎる現実から目を逸らすことがそんなに悪いことなのかと、

考えさせられてしまいます。

現実を受け入れた時の涙が切な過ぎて

胸がギュッと締めつけられます。

そしてグローブのシーンは本当に素敵。

名シーンすぎる。

YouTubeでの解説ありがとうございました。

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最後に

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パンフレットに、全キャストが自分へのメッセージを

綴るページがあったのですが

柿澤勇人さんのコメントが一番よかったです。

序盤の固有名詞ゲッターズ飯田さんのインパクト、

占われたことのトリッキーさ、そしてオチ。

うまいっ!