気温が上昇傾向となるゴールデンウイーク(GW)中の熱中症について、医師たちが注意を呼び掛けている。例年、全国で300人以上が熱中症の疑いで救急搬送されるというGW期間。「熱中症の救急搬送が、コロナ対応に追われる医療現場を圧迫する恐れがある」と警鐘を鳴らす。

朝来市の和田山では最高気温が31・1度。路面に「逃げ水」が現れた=3日午後、朝来市和田山町和田山

 大阪府の医師らでつくる「熱中症予防啓発ネットワーク」代表で堺市立総合医療センターの犬飼公一医師(33)によると、熱中症は例年、梅雨入り前の5月から発生し始める。その後、7月下旬から8月上旬に多発する傾向がある。

 神戸市消防局の2018年のデータでも、5月に熱中症による救急搬送が15人出た後、搬送人数は上昇。7月の628人をピークに、9月までの5カ月間で計975人が搬送された。

 消防庁によると、19年のGW期間(4月29日~5月5日)、全国で熱中症により搬送されたのは計342人(当時の速報値)で、兵庫県は全国で6番目に多い13人だった。

 犬飼医師は「新型コロナの影響で自宅にこもっている人が多い。熱さに対応する体の機能が弱くなっており、熱中症の影響を非常に受けやすくなっている」と分析する。その上で「熱中症で搬送される患者は体温が高い傾向があり、新型コロナと見分けがつきにくく、医療機関に警戒感と負担をもたらす。例年以上にこまめな水分補給と部屋の冷房を心掛けてほしい」と呼び掛けている。