体温計の品切れを知らせるドラッグストアの店内の掲示(18日、大阪市中央区で)

 新型コロナウイルスの影響で体温計が品薄になっている。起床後や出社前に検温するため、需要が高まり、各地の薬局などでは品切れが続く。体温計は、マスクと異なり、高額転売が法律で禁止されておらず、フリマアプリでは、定価の数倍で出品されるケースも目立っている。

 「本日、体温計の入荷予定はありません」



大阪市中央区の大手ドラッグストアの店内には、体温計が完売状態で次回の入荷日が未定であることを知らせる案内板を掲示した。

 大手ドラッグストアによると、3月頃からほとんどの店舗で体温計の入荷が全くない状況といい、同店は「マスクよりも品薄の状態が続いている」と困惑する。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で国民生活安定緊急措置法の政令を改正し、3月15日からマスクを取得価格よりも高値で転売する行為を禁止。体温計は現時点で対象になっておらず、フリマアプリやインターネット通販サイトには、体温計が定価の数倍の価格で出品されており、転売目的での買い占めも懸念されている。

 勤務先から出勤前の検温を求められている大阪市の男性会社員(42)は3月下旬、ネットの販売サイトで定価約3000円の体温計を約1万円で購入。男性は「勤務先の指示なので高額だと思ったが購入した。緊急事態宣言の発令中は、感染予防につながる商品をすべて転売禁止にすべきだ」と話した。

 フリマアプリ「メルカリ」の担当者は「今後の状況を見て対応を検討していく」としている。

 メーカー各社は、体温計の増産を進めており、オムロンヘルスケアは、3月の中国の工場での生産量を1・5倍に増やした。テルモも今後増産する方針。テルモの広報担当者は「必要とする方々に早く行き渡るよう、急ぎ増産体制を整えている」としている。