続き




4月15日


引き続き模型作成。


武田くんが前に来て、見てたら目が合って、笑いあって模型造りに戻って、を繰り返す。


お昼には模試の結果が貼り出されて、全体の結果が悪すぎてお説教。


武田くんはめっちゃ上位。


私は上位っちゃ上位だけど、赤点。


めっちゃヘコんで、研修終わりに自習室で勉強しようと決意プンプン


武田くんも誘ったら来てくれるって爆笑


ご飯を食べに行く前に部屋に帰り、純麗ちゃんとお話した。


「挨拶するのにさ、男子みんな声低いから合わせて低い声出しちゃうよね」


「わかるー!はい!とかさ、高い声恥ずかしいから、うい!みたいな低い声出しちゃうよねー!」


なんてお話をして、2人の間で、うい!が大流行。


ちょっと話したことがある程度の、すれ違う同じ職の男の子にうい!と言って遊んでたほんわか


皆同じように返してくれて楽しいほんわか


そして食堂に行って夜ご飯を食べる。


ご飯を食べていると、市村くんが食べ終わって私の席の後ろの方に行く。

そこはBグループの食卓。


「武ちゃーん。土曜日スカイスリー行ったんでしょー?楽しかったー?えー


びっくりして純麗ちゃんと顔を見合わせる。


「え?なんで知ってんの?驚き


原因を考えてみる。


みっちーと明は席が隣だから、模型造り中もたくさんお話したはず。


その内に、当然、土日何してたー?という話になるわけで。


別に口止めとかしてないし、するもんじゃないし。

みっちーも事情とか知らないし。

明と市村くんは仲良しだから、情報筒抜けだったわけだ。


「そりゃ言うよねーーー赤ちゃんぴえん


そして、再び朝礼当番やりなよいじり。


「最初めっちゃ小さい声でいってさ、大丈夫かー?って思わせてからめっちゃ大声だすの!」


切建くんめちゃめちゃ楽しそう。


「俺まじでやるってなったらスピーチの内容考えるわ!」


こんなことまで言ってくれる。


(ならやってみようかな…)


いやでもやっぱりこわーい!!大泣き


やったら周りの皆はどう思うだろうか。

武田くんはどう思うだろうか。


嫌われない?幻滅されない?


色々考えたら、気軽に、やろうかな!なんて言えず。


部屋でうだうだした後すみれちゃんと自習室に行くと、一番後ろの席にひなたちゃんとみっちー。

その前には市村くんと明が。


すみれちゃんは尾瀬くんに誘われていて、自習でも同じ席にお隣同士で座るらしい。


「え、どういう関係?笑」


「相棒だよ!」


なるほど。隣の席だもんね。

相棒のキズナってやつかな。


「俺らちょっと出てくるわー!」


市村くんがそう言って、荷物を置いて明と部屋を出て行く。


その後、みっちーが部屋に帰ったので、空いたひなたちゃんの隣に座ろうとした。


「武田くん来るの?」


「ん?来るよ!」


「じゃあ隣開けなきゃ!そっち座りな?」


ひなたちゃんがそう言ってくれて、一番後ろでひなたちゃんの隣の机に座る。


“何か欲しい食べ物とか飲み物とかあるー?”


武田くんからLINEが来てて、チョコレートが欲しいと返す。


勉強しながら来るのを待つ。


「隣座ってもいい?」


「あ、どうぞ」


初めて見る顔の男の子。


(お前誰だよ!!)


武田くんが来るのが楽しみで、つい心の中で強くツッコんじゃった。ごめんね。


その直後くらいに武田くんが到着赤ちゃん泣き


カバンからチョコとメロンソーダを取り出して机に置いてくれる。


「メロンソーダあったから買ってみた!飲む?」


「えー!飲む!ありがとー!!」


「ファンタのメロンソーダと迷ったんだけど、こっちでよかった?」


「そんなのあるの!?でもこっちも美味しそう!」


ちょっとお話して、私の通路を挟んで隣、ひなたちゃんの横の席に武田くんが座る。


“席変わろうか?”


ひなたちゃんからLINEが来てたけど、断る。


ありがとうひなたちゃん。

でもいきなり席変わったらあからさますぎて恥ずかしいよーえーん


私の隣の人は特に勉強するでもなく、スマホをいじったり寝たり。


(何しに来たんだよこいつゥ…赤ちゃん泣き)


「これいる?美味いよ」


食べてたお菓子を私に差し出してくる。


「…いる。ありがとー」


うん、悪い子ではない。

ただタイミングが悪いよおえーん


あとからひなたちゃんに聞いた彼の名前は、愛梨ちゃんと険悪と噂の宮本くん。同じ職の子で、みっちー、笠原くんと同じ18歳。


この子だったか宮本くん…!


模試でトップだった木村くんが、自習室の色んな人に話しかけて、勉強を教えてあげてた。


私も少し教えて貰って、ひなたちゃんと武田くんの席にも行ってた。


少ししてひなたちゃんが帰って、宮本くんも帰って。


トイレに行った帰りに、これまた初めて見る顔の男の子と話す。


座学の席が、ひなたちゃんと通路を挟んで隣の吉澤くん。


「木村くんさぁ、大丈夫?」


「ん?勉強教えてくれたよ?」


「いや、言い方きついからさ、さっき女子が泣いて帰っちゃって」


ひなたちゃんのことらしい。


え、泣いてたの?

気付いてあげられなかったな。


引き続き勉強していると、分からないところが。


武田くんに聞くと、隣に座って教えてくれる。


そのまま隣の席で勉強して、部屋まで一緒に帰った爆笑


お風呂からあがると、市村くんから鬼電が来てたびっくり


LINEで聞いてみると、荷物を自習室に置きっぱなしにしたまま遊びに出ていて帰れないらしい。


荷物預かっとくよーという話になり、純麗ちゃんと2人で自習室に。


朝ご飯の時に渡すことになった。




4月16日


久しぶりに、純麗ちゃんと朝ご飯爆笑


2人で食卓に荷物を置いて、市村くんにお届け。


「うい」


「うい!」


毎日のご飯のイツメン達に挨拶。


私、純麗ちゃん、木村くん、切建くん、砂子くんで、夜ご飯の時はいつも居残ってお話してる。


朝は純麗ちゃんは居ないことが多いけど、どんなボケも拾ってくれるし、脳死で会話できるし、かなり居心地のいいメンバーだった。


この日はホテルの前で実習研修。


座席の島ごとに3つの班に分けられる。


私の班は初めに、更に少人数に分けられて研修。


岡崎くん、木村くん、ひなたちゃん。


(…大丈夫かこれぇ…驚き)


ひなたちゃんって、木村くんに泣かされたんだよね…?


一生懸命お話して、盛り上げようとする。


木村くんもひなたちゃんも普通にお話してる。


けど、やっぱりどこか険悪だ…無気力


お昼前には、配属先の人へ電話する時間があった。


前田くんと交代ごうたいで色んな人に電話した。


次は2人ペアで実習。


私は菊池くんと。

ひなたちゃんは木村くんと。


(ひいぃ…えーん)


普通におしゃべりしてるけど、明らかにひなたちゃんの元気がない…ガーン


後半の方は、班なんて関係なくごちゃごちゃで実習してた。


座学の部屋に戻って、明日の朝礼当番やりたい人で、武田くんが手を挙げたらしい。


「明日の朝礼当番は武田さんです。」


(えー!するの?すごー!)


この日も研修後に自習することにした。


一番後ろに座ろうと思ったけど空いてなくて、困った挙句一番前の自分の席に。


一番後ろには市村くんと明も座ってた。


持ってきてたコーラを机に置いて自習。


トイレに行って帰ってくると、武田くんが後ろから3番目くらいの席に座って自習してた。


「じゃーん。買ってみた」


話しかけると、ファンタのメロンソーダがカバンから出てくる。


「え!買ってきたの?」


「これは俺の〜」


「う!私のかと思ったーおねだり


「だってコーラあるもーん」


「絶対ファンタの方がおいしいー!赤ちゃんぴえん


「ほんとー?じゃあ、はい。実はもう一本ありまーす」


カバンからファンタがもう一本出てくる。


「やった!爆笑ありがとー!…隣誰もいないの?」


「うん。座る?」


「座る!」


(わーい!爆笑)


席に戻ってスマホを見ると、市村くんからLINE。


“めっちゃ甘党なんだね”


コーラを見てそういったのかな?


市村くんの方を見ると、めっちゃ勉強に集中してる。


“めっちゃ甘党だよー!”


と返して、武田くんの隣に行こうとする。


でも市村くんからも見えるし、隣なんてちょっと恥ずかしいかなー、なんて思って、いったん純麗ちゃんの席に。


純麗ちゃんはいつもの自分の席の一つ後ろで勉強してた。


いつもの席は、河合くんという、尾瀬くんと仲良しの男の子が座ってた。


隣には尾瀬くんがいて、


「純麗ちゃん俺らの間座るー?」


なんて言ってる。


いやいやー、と思ってたら、純麗ちゃんは本当に間に座ったびっくり


(えー!どんだけ仲良いのー!)


2人用の机に、椅子を3つ並べてつめつめで座る。


それを見てたらなんか恥ずかしさとかなくなって。


(男女でも、友達なら気にせず隣同士で座るよね)


堂々と武田くんの隣に座れた照れ


勉強して、疲れたなーって頃に武田くんがお喋りをしてくれる。


マップを見て、お互いの家や近所を紹介したりして。


その時に、土日も一緒に遊びたいねーってお話。


映画見たい。

またカラオケ行きたい。


なんて言って。


それが楽しくて、気付いたらもう帰る時間になってたガーン


2人で帰ろうとなって、武田くんが友達と話してるのを置いて、先に自習室を出る。


そこには吉澤くんがいて、ニヤニヤしてた。


「彼氏なの?」


「いや、違うよ?」


「え?まじ?じゃあ好きなの?」


私はもう眠くて眠くて。


「うん。好きー」


「まーじで!?ちょっと言いふらしたろ!!」


「え!やめてやめて!大泣き


肯定した5秒前の私、バカー!大泣き


2人でコソコソしていると、後ろから武田くんが。


「言っていい?言っていい?」


「ダメ!」


「何?何の話?」


「っ!内緒!行こ!」


逃げるようにして退散っ怒り


エレベーターの前で武田くんに聞かれる。


「さっき何の話してたの?」


「っひみつ!」


「え、気になる。教えて?」


「…今度!」


2人でエレベーターに乗ると、ドアが閉まる直前で人が。


「あっっっぶね!乗ります!あっ!スミマセン…」


ユーロだった。


私たちが2人でいるのを見て、気まずそうに降りようとする。


「いや、いいよ」


武田くんが言って、私も頷く。


「ア、イイスカ…?スミマセン」


めっちゃ小さくなってる。

ユーロは、市村くんと明と仲良し。

情報筒抜けだもんな…。


3人でエレベーターに乗って、3階で2人を見送る。


うーん、気まずい…。




4月17日。


武田くんの朝礼当番の日。


スピーチを一番前の特等席で聞いて、すごく面白いスピーチで。


あー、やっぱりいいなー。って思ってみたり。


午前中はまた模型造り。


昨日までと同じように前に来る武田くんと目を合わせては笑っていたら、市村くんに見られてた…ガーン


お昼ご飯を食べた後は毎日、午後一で小テストをしている。


この日は吉澤くんと、小テストでどっちが良い点を取れるかの勝負をした。


私が勝ったらチョコレート10個、吉澤くんが勝ったらタバコを2箱。


結果は私の勝ち爆笑


研修の最後に、ペアで造った模型のどれが一番綺麗かの投票があった。


「俺投票するね。どれ?」


武田くんに言われる。


私達の全然綺麗じゃないからいいのにえーん


結果は、尾瀬くんと純麗ちゃんのペアが1位びっくり


武田くんも、砂子くんとペアで2位だったびっくり


入賞したみんな感想どうぞ〜となって、それぞれスピーチ。


「1位取れたのも、純麗ちゃんの可愛さのおかげだと思います」


尾瀬くん。

…何言ってんだ?


「尾瀬くんとペアで模型造れて良かったです」


純麗ちゃん。

…イチャついてる?


なかなか変わった相棒のカタチだな〜。


あとから純麗ちゃんに、何言ってんのー!と茶化してみる。


「いや、尾瀬くんが変なこと言うからさあ。私も変なこと言っちゃった。皆絶対、は?って思ったよね!」


「いや思うわ!」


「あー!栗原くんどう思ったかなーー!!」


なんて言ってた。


夜ご飯のとき、デザートがでた。


甘いもの苦手な人が私にデザートをくれて。


「甘党だもんね」


って市村くんに言われた。


あれ?LINE返ってきてないのに把握してる?


スマホを見てみると、未読無視されてたガーン


(えー!なのに直接私に言ってくるのーー?)


この日は研修終わりに講義があった。


武田くんと隣で講義を受ける爆笑


その後一緒に自習。


吉澤くんはほんとにチョコレートを10個買ってきてくれたおねがい


そのチョコレートは自習中に全て美味しくいただきました照れ


部屋への帰り道、切建くんと一緒になって3人で帰る。


「ちょっとさ、まじで明日の朝礼当番立候補してよ」


切建くんに言われる。


「え?朝礼当番やるの?いいじゃん」


武田くんも肯定してくれて。


「めっちゃ自信なさそうに手挙げてさ、最初もめっちゃ小さい声で挨拶するの。で、スピーチになったらいきなり大きい声出すの。面白いかな?」


「えー!超いいじゃん!めっちゃ面白いよ!」


武田くんが肯定してくれる。


それだけで、やってみようかなって思える。


「ほんとにやるなら俺らめっちゃスピーチ考えるよね」


「うん、めっちゃ考えるわー!」


切建くんだけじゃなく武田くんも言ってくれる。


「ならやってみようかなー!」


もう宣言したからには絶対手を挙げる!


部屋に帰って、スピーチの内容を自分でも考えてお風呂に入る。


“ちょっとお話しよ”


武田くんからLINEが来てたけど、確認が遅れて、武田くんは寝落ちしたっぽいぐすん


…え?お話って、ロビーとかで直接?それとも電話?LINE?


スピーチのことかな?


それとも何か、話したいことがあるんだろうか…。


告白…とかじゃないかあー!まさかなー!




4月18日


また外で実習研修。


前回とは違って、座席の真ん中で半分に区切られて2班のみ。


初めて武田くんと同じグループになれた爆笑


市村くんとも同じグループ。


実習の途中で、武田くんと市村くんと私、3人きりになった時があった。


(…気まじぃー!!誰か助けてぇー!!)


1人で勝手にめちゃめちゃ気まずくなってる。


黙っていると、武田くんと市村くんが話し始めた。


聞いていると、なんだか同じ大学だったっぽい会話が。


え?2人って同じ大学だったの?


…って、気軽に聞けるような雰囲気ならよかった…無気力


でも、そっか。だから最初から仲良かったのか。


なんだか納得。


「明日の朝礼当番やりたい人!」


研修終わりに、いつも通り上司に言われる。


予定通り、自信なさそうにおずおずと手を挙げる。


と、上司の目に私は写らずミッキーが選ばれる。


(うはぁーー!!恥ずかしいーー!!えーん)


手を挙げただけでも恥ずかしいのに、気付いてもらえないとか…!!えーん


「手挙げてたのに気付いてもらえてなかったね」

「めっちゃ恥ずかしそうにしてたじゃん笑」

「ミッキーくらいに背伸ばさなきゃ!」


…いじらないでぇーえーん


でも、切建くんも武田くんも褒めて慰めてくれたおねがい


「ほんとに挙げると思わなかった!偉い!」

「明日はピンッて挙げよう!次はいける!」


…うん、明日こそ頑張ろう!


この日も自習室で自習。


武田くんがちょっと遅れるとの事で、隣を空けて席に座っておく。


前には切建くんと吉澤くん、後ろに純麗ちゃんが座ってて、疲れたら後ろを向いてちょっとお喋り。


眠くてちょっと伏せていると、横から声をかけられる。


「めっちゃ寝てんじゃん」


「うい!」


色んな人に言ってた癖で、つい低い声ででた。


顔を見ると、武田くん。


(ふあ!はっっず!寝てるとこ見られて低い声も出しちゃった!!大泣き)


武田くんは周りの目も気にせずスっと私の隣に座ってくれる。


途中、切建くんと吉澤くんの写真見せ大会みたいなのが始まった。


その時に、私も武田くんも机の上にファンタメロンをだしてて。


「え?この席メロンソーダないと座っちゃだめ?」


なんて言われた。


(ひー!恥ずかしいー!)


なんでだったかインスタで元カノの写真どうするかみたいな話になって。


「え?お前元カノの写真残したまんまなの?」


武田くんが言ってた。


(うわあー。今の言い方、武田くんも元カノとかいるんだなー)


考えたらちょっとヘコんだ。


いや、そりゃいるでしょ。


「彼氏のインスタに元カノの写真あったら嫌じゃない?」


切建くんが私に聞いてくる。


て言っても、私インスタしてないし彼氏もいたことないからよく分からない…。


でも、まあ想像はできるか。


「…うん、あー、あー!嫌だわ!」


4人でお話が盛り上がって、一段落したところでトイレへ。


帰ってきてからまた勉強して、2人でお喋り。


途中で武田くんがスマホをいじり出して。


そしてスマホ画面を見せてくる。


「どれにする?」


上映中の映画の一覧だった。


(うわー!こんなんもう完璧にデートの約束じゃーん爆笑)


見る映画を決めて、ちょっとお喋りして、また勉強。


部屋に帰ってから、武田くんとLINEでお話。


LINEを開いたままにして、くだらない会話を沢山する。


話が続いたあと、そういえばね、と。


“田中が、鬱陶しいって思われてるような気がするって言ってた。邪魔って思ってる?”


う……!


やっぱり伝わっちゃってるよね…えーん

ほんとごめんね田中くん…!


ただ、鬱陶しいとか邪魔とかは微塵も思ってない。

ちょーっとどう対応していいか分からなくて、気まずいだけ…真顔


“思ってないよ!”


うん、ほんとに思ってない。


正直に話そうかとも思ったけど…


ちょっと田中くんに好かれてるような気がして〜ウインク


なんて、言える訳がない!!


言ってた映画とカラオケ、どっちも土曜日でいい?

いいよー!

最後の休日だねー!日曜日は女の子と遊ぶ予定ないの?

今のとこない!

他の男の子と遊ぶ予定は?

ないよ!武田くんは?

俺もない!2人は確定だね!他の人は誘う?

誘わない!

じゃあ2人で遊ぼう!どこ行く?

メイドカフェ行ってみたい!


こんな会話。


2日連続遊べる〜爆笑


そのまま、呼び方の話になって。


“この間、名前で呼んでくれたの嬉しかったよ”


なんて送ってみたりして。


お互い、下の名前にちゃん付け、くん付けで呼ぶことになった照れ(ここでは変わらず武田くんと呼ばせてもらう…)




4月19日


朝起きたら、生理になってたガーン


えー、4月の頭に終わったばっかなのになんでーえーん


「女性ホルモンいっぱい出てるからじゃない?」


「なるほど!」


純麗ちゃんの言葉に、納得。


この日は席の近い人で6人グループになって機械の組み立て研修。


私の班は私、岡崎くん、菊池くん、木村くん、坂口くんと、ひょろっとした体型のなおちゃん。


一旦部屋で練習して、外へ。


女の子で固まってお話していると、愛梨ちゃんが唐突に私に言った。


「恋したいなあ〜」


「え、何!?いい人がいるのー!?」


「いや、いないけどー…。なんか恋したいなぁって思って!」


愛梨ちゃんにはユーロがいるだろうに。

みっちーにユーロをおすすめされたらしいけど、愛梨ちゃんにそんなつもりはないみたい。


「いい人いるの?」


愛梨ちゃんに言われる。


「……んふ。んへへへへデレデレ


「えー!?何!?その反応はいるの?いるんだな!?教えろー!」


「んふふ。あとで、あとでー!」


周りにいっぱい人がいたし、武田くんも近くにいたし、ここでは言えない!


外での実習が終わってお昼ご飯を食べて、午後からは部屋での研修。


小テストに向けて、武田くんとたまたま一緒になって。


「頑張ろうね」


って言って、私の名前を呼んでくれる。


私も、うん、頑張ろうねって言って名前を呼ぶ。


席に座って、にやにやが止まらない。


(あー、幸せ)


休憩になり席を立ち、廊下に出ると吉澤くんが手招きをしてくる。


「残念なお知らせがあります!」


にやにやしていて、武田くん絡みなんだな、と一瞬で勘づく。


でも、残念なお知らせ?

他に好きな人がいるとか?

彼女がいたとか?

いやいやまさか。


一瞬で色んな考えが頭をよぎる。


「え、なになにー?」


「武田くん、4年半付き合ってる彼女がいます!」


……


「え?」


「残念だったなー!」


「え?いやいや……。え?いやだって…」


頭が処理できず、混乱。


吉澤くんの嘘?

いや、そんな嘘ついてどうなる。

武田くんが吉澤くんに嘘言った?

いやいや、もっと意味無いよそんなの。

え?あんなに両想いっぽかったのに?

サイコパス?なんかそんな漫画あったよな。


ちょうどそこに純麗ちゃんがやってきて、ヘルプ。


「ねえちょっと、武田くん彼女いるんだって」


「……え!?」


吉澤くんは、にやにやしていて揶揄っているかのよう。

そういや私が好きってことしか言ってないもんね。


「だって、誘われて2人で遊びに行ったりしてたんだよ?彼女いたの?まじで?」


そこでようやく吉澤くんも真面目な顔になって話してくれる。


「え、まじで?それはやばくね?」


そこからはもう全然研修に身が入らない。


武田くんの顔も見れない。


いつも部屋の外に出る時、顔を見て笑い会うけどそれもできるわけが無い。


トイレで純麗ちゃんと話す。


「え、サイコパスなのかな?寒気止まんないんだけど」


「ね!私の常識がおかしいのかな?」


「いやおかしくないでしょ!彼女いてあの対応どういう意味!?1回ちゃんと話したいんだけど!!」


こんな話をして、また研修。


「明日の朝礼当番やりたい人!」


…忘れてた。


武田くんが言ってくれるからやろうって思ってたけど、今のこの状況を考えて…。


(…あーーー!)


ピンッと手を挙げる。


「お、早いねー!」


…立候補してしまった。


だって、昨日も挙げたし。

武田くんだけじゃなくて切建くんとも言ってたことだし。

挙げるって決意してたし。


心がごちゃごちゃでもう意味わかんなくなってた。


ご飯に行く途中で武田くんに話を聞こうかと思ったけど、最後にグループミーティングがあって、私のグループは時間をすぎてもずーっと終わらず…。


やっと終わってそのまま食卓に行き、ご飯を食べる。


その時に、Aグループの数人が勝手にBグループの席に座っていたようで。


宮本くんがこっちに座ってた。


愛梨ちゃんが怖いみたいな話をしてた。

模型造りのとき怒られたんだもんね。


で、武田くんも席がなくてこっちに来た。


純麗ちゃんと顔を見合わせて、気まずすぎて何も言えない。


もう1つのテーブルの方に、私達に背を向けて座る。


「朝礼当番ほんとに立候補できたね!俺らでスピーチ考えなきゃ!ね、武ちゃん!」


切建くんの言葉に、武田くんがこっちを見る。


どんな顔をしたらいいか分からなくて、笑ったつもりではいたけど、ちゃんと笑えてたか分からない。


武田くんも、何かを察していたのか引きつった顔をしてたような気がする。


ご飯を食べ終えて、吉澤くんと純麗ちゃんと喫煙所で会議。


吉澤くんにも彼女がいるみたいで、彼女がいるなら距離感も考えなきゃだし2人で遊びに行くなんて論外だし…と。


喫煙所の前を色んな人か通り過ぎていって、砂子くんもきて、何かを察しているかのように立ち止まる。


これから皆でカラオケに行く、なんて言ってる。


砂子くん、田中くん、佐藤くん、菊池くん、切建くん、そして武田くんで。


あー、武田くん今から遊びに行くのかあー。


砂子くんは、皆で遊びに行った時にも着いてきてくれたし、2人でいるところも見てたし、話してもいいかもしれない。


「…分かってたよね?私と武田くんのこと」


「え?いや、まあ、うーん…」


「ほんとごめんね、付き合わせてしまって。感謝してる」


砂子くんはめちゃめちゃ歯切れが悪くて、ゴニョニョ。


吉澤くんに、女子は聞くなと追い払われて砂子くんが何かを吉澤くんに言っているのを、遠くで純麗ちゃんと抱き合いながら見守る。


と言っても、割とどこかで自分を客観視してて。


「まじで漫画みたいなんだけど。これってどういう展開?」


友達に話すほどの事情が何かあるんだろうなーって思った。


話が終わって、純麗ちゃんが色々聞きたそうにしてて。


「もともと彼女とは別れるつもりで、とかってこと?」


「いや、それもだいぶキモいな」


吉澤くんが言う。


え、そういうことでもないの?

ならどういうこと?


ちょっと何言ったらいいか分からなくて。


「まあでも、とりあえずお前は悪くないよ」


吉澤くんが言う。


…そうだよね。

色々考えちゃって、自分を責めた瞬間もあったけど、考えたら私は1ミリも悪くない。

武田くんを好きになったってだけだ。


「ほんと良い奴だな。誤解してたわごめん」


「うるせっ」


外泊して彼女との約束があるってのに、ギリギリまでお話にいてくれてた。


「なんかあったら話聞くから。LINEしろよ」


吉澤くんがかっこよく帰っていく。


「え、かっこよ」


「ね、かっこい」


純麗ちゃんと言い合いながら見送る。


「どうする?武田呼び出そうか?」


砂子くんが言うけど、私のことだし自分で呼び出したい。


でも、勇気が出ねぇーー!!


「えー!もう明日遊ぶ約束してるから、そんときに聞こうかなぁ〜口笛


「いやダメだよ!話すなら早い方がいい!今日話そ!」


純麗ちゃんが言ってくれる。


「でも、今からカラオケ行くんでしょ?」


「いや、そんなんいいよ」


結局砂子くんに呼び出してもらって、3人で外に出ようと歩く。


「覚悟してこいっつって呼び出したわ」


「…ほんとにありがとう」


道中で、愛梨ちゃんとみっちーとすれ違った。


「あ!ねぇ、今話聞かせてよ〜!誰なの?ニコニコ


…タイミング最悪だぞ…。


「……いや、まじで、今は、ちょっと……」


「え〜?教えてよぉ〜お願い


「ほんと……」


めちゃめちゃ避けて歩く。


愛梨ちゃんはちょっと怒ったようにどこかへ行ってしまった。


素っ気なくなって申し訳ないという気持ちもあったけど、今は気にしてる余裕なんてない。


3人で外に出ると、タバコを吸ってる男子達が。


その中に切建くんもいて、話しかけてくる。


「え、どこ行くん?」


「…ちょっと散歩!」


「楽しそうだな〜!俺も行こうかな!」


来んな!楽しくないよ!驚き


武田くんも出てきて、無言で宛もなく4人で歩く。


何を言われるのか不安で心細かったけど、純麗ちゃんがずっと抱きしめてくれてた。


大きい椅子がある公園を見つけて、武田くんと対面で座る。


そこでも純麗ちゃんは横にいてずっと抱きしめてくれてた。


無言の状態が続く。


私から聞いた方が良いのかもとも思ったけど、何も言葉が出てこなくて。


「…何か、言うことがあるんじゃないの?」


砂子くんが武田くんに言ってくれる。


「………。…その……。」


すごく言いにくそうにしてる武田くん。


どんな事情があるんだろうか。


武田くんをまっすぐ見つめて、ただ次の言葉を待つ。


「…その気もないのに…、思わせぶりなことして、本当にごめん……」


……


あーー。


その瞬間、なんかもう、言葉にできないほど色んな感情が湧き上がってきて、涙が出そうになった。


その気もなかったんだ。

思わせぶりだったの?

両想いかもとかって浮かれちゃってた。

勘違いだったんだ。

結局、彼女いるの?

どういう関係?

事情なんて何もないの?

なんにもわかんないよ。


ただ、今までのことは全部私の勘違いで、失恋したんだってことだけは明確で、泣きそうだった。


その後、また沈黙が続いて。


(…それで全部?)


聞こうと思ったけど、問い詰めてるような感じがして。


私が何か返答を言うべきだったんだろうけど、なんだか全然声が出なかった。


「……え、全然納得できないんだけど」


純麗ちゃんが小声で言う。


うん、納得できない。


一から全部説明して。


そう思ったけど、一から、なんて、彼女がいます、で終わりじゃんね。


想像してたような、別れるつもりだった、とか、何か重い事情がある、とかでもないのがさっきの言葉からもわかる。


聞いても、これ以上出てこないんじゃないか…?


1人で考える。


一旦帰って冷静に考えてから会おうとなって。


4人でまた、無言で帰る。


前を歩いてた砂子くんと武田くんがちょっと話して。


武田くんが、私の方にやってくる。


純麗ちゃんは前に行って砂子くんと話す。


「…もう、俺と話すのも嫌だと思うんだけど……。話せるって思ってくれるなら、1回ちゃんと話させて欲しい。」


「……うん。分かった」


「…話せるって思ったらLINEして」


「うん」


この日は武田くんと砂子くんはエレベーターに乗らず階段で帰っていった。


純麗ちゃんと2人で話して、部屋に帰る。


もともとコインランドリーに行きたいって話をしてたから、ホテル内のコインランドリーに行って、帰って、また行って帰って。


その間2人で色々話した。


でも分からないことが多すぎる。


吉澤くんともLINEして。


武田くんとのLINEを内緒で見せてくれた。


初めは友達として仲良くなりたいと思って近づいて、2人で遊びに行ったのも、ただ仲のいい人って感じでだったと。


そっかー友達かあー。


考えてみれば、あれも、これも、全部友達としての対応だったように思えてきた。


私が勝手に勘違いしてたんだ。


純麗ちゃんが砂子くんと電話して、また4人で待ち合わせる。


私からも武田くんにLINEを入れて。


ロビーの隅っこに4人で座る。


正直、この時の話はほとんど覚えてない。


「私は、そんなに深刻な感じじゃなくて明るくお話したい。…無理?」


「うん…。こっちはそんな立場じゃなから…。」


途中で2人が席を外してくれて、武田くんと2人でお話した。


「俺、距離近かったよね?」


「…うん。勘違いした」


「ごめんね」


あー。

ただ謝るんだ。

本当に勘違いだったんだなー…。


「…面白がってた?」


「ううん、それは絶対にない」


こんな話があったのは覚えてる。


ちょうど話に一区切りついたくらいで2人が戻ってきた。


私は、もう友達ってことで割り切ろうって思った。


「じゃあ、スピーチ期待してる!良いの考えてきてね!」


「わかった!罪滅ぼしのためにも、最高なの考えてきます」


部屋に帰る。


でも、改めて頭の中を整理して、色々邪推してしまって。


(あー、男性恐怖症になりそう。てか人間不信になりそう)


なんかもう、なんにも信じられないなって思った。


金曜日だし、パーッと誰かと遊んで忘れたいなあ…。


そう思っていた頃に、純麗ちゃんにLINEが。


「え!栗原くんに誘われたんだけど!今男子の3人部屋で飲んでるんだって!」


各階に一部屋、3人部屋があって。


3階の3人部屋は、吉澤くん、シンバ、ユーロらしい。


そこに栗原くんもいるらしくて。


「一緒に行っていいかなあー」


「いいって!愛梨ちゃんとか市村くんもいるらしいよ!」


2人でお邪魔する。


入ると、シンバ、ユーロ、愛梨ちゃん、市村くん、栗原くんがいた。


市村くんはベロベロに酔ってて。


「えー!来るんなら俺こんなに飲まなかったのにぃーえーん


なんて私に言ってくる。可愛いね。


次の日もこの部屋で飲むようで、私も来ることにした。


飲む前には愛梨ちゃんとみっちーがコストコに行くらしいので、ついて行くことに。


栗原くんがベットに寝転がってて、周りにはやし立てられて純麗ちゃんが横に座る。


すると、ギュッとベットに引きづり込まれていって。


(えー!!純麗ちゃんと栗原くんてそういう感じなのー!?)


かなりドキドキお願い


3人部屋の隣は栗原くんの部屋で、一人部屋らしい。


「純麗」


栗原くんが部屋に来いよって感じで言う。


(え、え、え、まじ!?)


純麗ちゃんはかなり迷いつつも3人部屋を出ていった。


市村くんは、彼女と別れたと思っていたけど違ったみたいで。


「すっげぇメンヘラでね?別れたいんだけど、別れたら死ぬって言うんだよ。俺もうやだあー怒り


なんて言ってた。そういう事か。


途中、ユーロに言われる。


「え、てかさ、武ちゃんとどうなん!?」


今、一番聞かれたくないことだ…。


でも、あんだけ一緒にいたんだし。


そりゃ聞いてくるよね…。


「失恋しましたー」


「え!?」


そりゃびっくりするよね…。


「え、どういうこと!?めっちゃいい感じだったじゃん!」


「いや、あのね。あのー……。彼女がいた」


「えー!!」


あんまり言っちゃいけないことだったんだと思うけど、ヘコみすぎてて大勢の前で言っちゃった。


そこからは飲んで、色んな人も部屋に来て。


胡中くんが来てうるさいってガチトーンで怒られたり。


笠原くんが来て、失恋したと聞いて頑張ったねと言ってくれたり。

別に告白したわけじゃないんですが。


久保くんという、元ホストらしい人が来てコールしまくってたり。


途中で眠くなって、愛梨ちゃんとベットで居眠り。


市村くんが、どうせ俺は当て馬ですよーなんて言ってるのが聞こえて。


(ごめんね市村くん)


そんなことを思いながら寝た。


起こされると、市村くん、ユーロ、シンバ、久保くんがいて。


「部屋に連れて帰ってあげなきゃー!誰が連れて帰る?」


「選んでもらおーよ!お願いします!」


4人で手を差し出してくる。


こんなんお遊びだし、誰も選ばずに笑ってればいい。


分かってはいたけど、私は市村くんの手を取った。


「えぇー!まじぃ?いいのぉ俺でぇ?」


ベロベロに酔ってずっと呂律がまわってない。可愛い。


手を繋いだまま部屋を出てエレベーターを待つ。


「あんなんねぇ、誰も選ばなくていいんだよ」


「…ごめんね、市村くん」


「えー?何がぁ?」


嘘をついて飲みを断ったのもそうだし

気持ちをなんとなく分かった上で知らないふりしてるのもそうだし

ヘコんでるからって遊びに来たのもそうだし

今だって、なんで手を取っちゃったんだろう。


「明日さぁ、ほんとに来てくれんのぉ?」


「うん、行くよ」


「まじぃ?やったぁニコニコ


お話しながら一緒に5階まで上がって、私の部屋の前まで着く。


「ありがとう。バイバイ」


「うん、また明日ー!」


ドアを開ける。


「え、俺らの部屋より汚い!」


恥ずかしっ凝視


「え!何?誰?」


ドアを閉めると純麗ちゃんがいるのが見えた。


「市村くんに送ってもらったー。栗原くんとどうだったのー?」


「何も無いよ!そのまま部屋に帰ってきた。インスタ交換してねー!日曜日遊びに行かないかってなってるー!」


「えー!いーじゃん行ってきなよー!爆笑


なんて話して、純麗ちゃんは寝た。


今までは辛いこととか悩みとかあったら、ひたすら考えて考えて、自分の納得出来る答えを出すって感じで生きてきた。


だから、飲んで忘れるとか初めてだった。


(何も考えなくていいって楽だなー)


でもやっぱり、お風呂に入ると色々考えてしまう。


もやもやした気持ちを抱えながら寝た。




続く