前回↓の、痴漢されたお話の続き。



要約すると、お尻を触られたかもしれない、というだけのお話。




数日考えて、やはりあれは触られていたんだろう、という結論に至りました。


後になって考えてみれば、初めて見かけた時笑顔で対応してくれたのは、コイツいいかもなあ、と、品定めをされていたのでしょう。


相談をした主婦さんは、大人しそうで何も言わなそうだから狙われたんじゃないか、と。



気に入ったから、とかじゃなくて、事件になりそうになかったからかあー



なんだかちょっと、ダブルで傷つきまし凝視



ともあれ、次来た時はちゃんと対処しよう。


触られたら、手を掴んで「やめてください」


そのまま事務所に引っ張っていこうか?


いや、そもそも日頃からちゃんとお客様の顔を確認して、来てたら事前に気付かなきゃ。


で、「痴漢が来ました」と社員さんに言おう。


…よし。



色んなパターンの脳内シュミレーションを何回もして、そのうちだんだん痴漢の記憶も薄れていきました。



そして、その1ヶ月ほど後。


再びその痴漢男は訪れました。


前回来た時は朝でしたが、この日は夕方でした。


もう期間も開いていたし、注意は朝にばかり向いていたし、警戒心はほぼゼロになっていました。



お仕事が重なって忙しく動き回っていると、なんだか遠目から顔を見てくるお客様が。


でも、呼び止めるでもない、手を挙げるでもない。


笑顔で会釈だけしておく。「いらっしゃいませー」



そしてお仕事を片付け終えた後は巡回。



あー忙しかった。



一息つきながら歩いていると、なんだかお客様が後ろからついて来てる気がする。


抜かすだけかと思い、気にせず景品の補充。


そこはすみっコぐらしの台。


なくなっていた景品を背面から取り出し、置こうとする。


「すみません、そこの景品取ったの僕なんですけど…」



ほお。凄い。



「新しい景品変えてもらってもいいですか?そこの、ぺんぎん?だっけ?あれにしてください」


「はい、ぺんぎんですねー」



ぺんぎん人気なんだなー


この人も今から取るってのに名前あやふやなんかい。


なんか前もあったよなこんなこ…と……ッッ!!



気付いた時にはもう遅い。


お尻にはすでにあの時と同じ感覚が。


ゾッ


前の時はなんとも思わなかったのに、今日は凄く気持ちが悪い。


振り返ると、前とは違う男…


いや、一緒だ。


前はキャップを被っていて前髪も普通くらいあったけど、今はオールバック。帽子もない。


でも、あの顔が一緒だ。


何種類もあった脳内シュミレーションが一瞬のうちに頭の中を何周もして、前の時のことも全て鮮明に思い出して、でも、頭は真っ白。


混乱状態でした。


なんで、どうしてという思いばかりが溢れて、どう動けばいいのか全く分からない。


一瞬、シュミレーションした通り手を掴もうかとも思いました。



…怖い…



どうにか逃れたくて体を横にずらして相手から遠ざかる。


でも、感触は全く変わらない。


ついてきてる。



キモいキモいキモいキモいキモい



ぺんぎんを初期位置に置いて、もともと置こうとしていたぬいぐるみを半ば放り投げるようにして鍵を閉める。


「ドウゾ」


多分凄く挙動不審で、声も震えていたと思います。


男から離れ、事務所に直行。


「痴漢野郎がでました」


放心状態のまま社員さんに言いました。




「警察には言いたくないんだっけ?」


前の時はいなかった店長さんからそう言われる。


「えぁーっと…」


別にそんなことはないけど、たかが私のお尻ごときでそんな…。


「警察に言うっていっても、直接注意するとか色々聞かれるとかじゃなくて、警備が厳しくなるだけだよ」


なるほど、それなら安心。


「オネガイシマス…」


社員さんはどんな人か確認したいみたいだけど、監視カメラには写っていないので、フロアに出て遠目から痴漢野郎をご紹介。


「あの人です」


その社員さんと店長さんは直ぐに動いてくれました。


私は怖くてバックヤードで右往左往。



皆さんも見たことがあるかもしれませんが、ゲームセンターの店員は全員インカムをつけています。


お客様からの、この景品今ありますか?という質問や、落し物が届いているかなどの確認を即座にするためだと思います。



で、そのインカムで「今あそこにいます」「あのオールバックの人です」「OK追い掛ける」などの会話。



とてもありがたいんですが、ちょっと…!!



何も知らないバイト仲間たちは、何があったんだ…!?とザワザワ。


当然、なんだか挙動不審な私に「何があったんですか?」と。


「いや、あの、ちょっと…。…はい。」


「……?」



聞かないでくれぇー!!!



しばらくしたら店長さんが帰ってきて、「もう来るなって、出禁にしたよ」と。


「ありがとうございます…!!」



…え!?


出禁!?


あの痴漢野郎に!?


直接、もう来るな!?


話が違う!!!



出禁になったのは、安心です。


でも、なんというか、私は気づいていないテイであって、直接言ったということは、私が痴漢に気付いてて社員さんに言ったということがあの痴漢野郎に伝わって………


……


ああー!もういいや!


解決!



私は無理やり自分を納得させて、仕事に戻りました。




あれからもう2ヶ月以上経ちますが、あの男は見かけていません。


でも、私はしばらくあの男の幻影(?)に囚われました。


トラウマとでも言うんでしょうか。


男性客というだけで肩に力が入るし、あの男と同じ長身であれば心臓がドクドク言い出すし、景品の手直し中に後ろに立たれると冷や汗が出て仕事を放棄したくなります。


今はもう随分薄れてきましたが、本当に大変でした。




とんでもない長文になりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございますにっこり