乳児揺さぶり殺害、孤立した育児「ひとごととは」
3月24日18時41分配信 読売新聞

読売新聞
 生後2か月の長女を揺さぶって脳に損傷を与えて殺害したとして武中明日香容疑者(24)(堺市中区)が殺人容疑で大阪府警に逮捕された事件では、背景に出産直後の母親の孤独感と疎外感が浮かんでいる。

 昨年8月に開かれた出産準備のためのマタニティー教室で一緒だったという20歳代女性は、読売新聞に寄せたメールで、おなかの赤ちゃんを気遣っていた武中容疑者の当時の様子と事件の落差に驚く一方、孤独な育児に不安を募らせる母親たちの現状を訴えた。

 ◆叫び◆

 女性によると、武中容疑者は人に積極的に話しかけるタイプではなかったが、声を掛けると、愛想良く言葉を返した。「頻繁におなかが張るけど(赤ちゃんは)大丈夫やろか」と気にかけ、親子のきずなの大切さを訴える講師の話を涙して聞いていたという。

 それだけに事件を知って、女性は<なんで連絡先を交換しなかったんやろう?><救える命があったかも>と後悔をつづった。

 さらに〈私も初めての子育てでくたくたの毎日〉〈トイレにも行けない。30分でいいから一息つける時間が持てたら……。そんな母親はいっぱいいます〉と記し、〈母親の人間的な未熟さも原因の一つでしょう。でも、妊娠・出産でホルモンバランスは崩れ、精神的にもろくなっているのを忘れないで〉と訴えた。

 「ひとごととは思えない」。事件を受け、堺市内の子育てサークルに参加している複数の母親は読売新聞の取材にそう答えた。1歳の長女を持つ同市南区の女性(32)は友人との雑談で発散しているが、「話し相手がいなければ、すべてを抱え込み、ノイローゼになっていてもおかしくない」と打ち明けた。

 ◆ストレス◆

 育児ストレスの要因について、2003年度版の厚生労働白書は、▽少子化による育児経験の不足▽出産に伴う仕事や体調など生活の変化▽夫の育児不参加▽近隣との関係の希薄化――などを挙げ、出産後の母親について「産後うつ病が発症しやすい時期で、体の変化がもたらすストレスにも留意が必要」とし、「強い育児不安は児童虐待発生のリスクを高める」と注意を呼びかけている。国は昨年4月、生後4か月までの乳児がいる家庭に保健師らが訪問する事業を法制化し、市町村に努力義務を課した。

 武中容疑者も出産直後の昨年12月に堺市の訪問を受けていた。問題なし、とされたが、約1か月後の今年1月22日、自ら市中保健センターを訪れ「娘をたたいてしまう」と訴えた。「(親などは)遠くて頼りにくい」と話し、孤立した育児環境をにじませていたという。長女はその3日後に揺さぶられて死亡。武中容疑者は今月16日に逮捕された。

 府警の調べに「夜も眠れないほど子育てに疲れていた」「夫が育児を手伝ってくれない」などと供述した。 最終更新:3月24日18時41分



乳幼児揺さぶられ症候群
世の中に「虐待を予防する」という認識が高まってきているけど、実は日本ではまだ日が浅い。

乳幼児揺さぶられ症候群だけでなく、今の世の中の子ども虐待の多くは、育児疲れや、夫婦間の問題のもつれからきているものだったりする。要は、育児を手伝ってくれる人の存在や、疲れきって、自分のために時間をつくることもできないくらいのママの話を聞いてくれるだけでもいい、そんな人の存在が、ないってこと。核家族で、じいちゃんばあちゃんが遠方で、近くにはママ友もいなかったり。ママさんたちは、ほんと、頑張ってる。それを、認めてくれる人の存在が必要なんだと、思うんだよね。

小児科にいても、やっぱり、たくさんいるよ。SOS発している家族。
虐待対策の基本は、誰がやったかを問い詰めるのではなく、そうなる前に、救うこと。って勉強してきた。
地域で、ママ友作ったり、公園デビューしたりできればいいんだろうけど、そうもいかなかったりするんだもんね。

「コト」が大きくなってしまってからでは、その家族の、誰もが悲しい思いをしなきゃならないし。何よりも子どもの命も左右されてしまう。とくに、事件的な取り上げられかたをすると、ほんとにもう、はたから見たら犯人扱いじゃない?そこに隠れていた、真の問題はなんだったの?育児を手伝ってくれる人がいなかった、話を聞いてくれる人がいなかった、そういう問題に誰かが、向かい合おうとしましたか?って、そこだと思うんだけど。
上の新聞記事がまさにそう。

病院では、「初めての育児で不安を抱えています」とか、「ママをサポートしてくれる人がいません」とか、産科から小児科に申し送りもあります。そんなママさんたちに声をかけて、別に大した話じゃなくても、「どう?」「元気?」「大きくなったね」「ママ、休めてる?」なんて、話しかけるようにしてるんだけど。そうするとさ、月に一度の受診だけでも、顔を見つけてくれると、うれしそうに挨拶してくれるようになるの。子ども抱っこして、子どもの成長発達を、一緒に喜んだり・・・。自分ではたいしたことしてないように思っていたんだけど、こういうかかわりがすごく大切なんだろうな、ってしみじみ感じた。

地域だと、範囲が広いし、難しいのかもしれない。実際、「退院後の地域のフォローお願いね」って、地域に頼んでも、そんなにまめに行けません、とか言われるもんね。子ども手当とか、いろいろ出てるけど、そういうところの人員も増やせばいいのに。あーだこーだとメディアで叩いている割に、この辺には動きがない・・・

なので。

せめて、病院では、「ここに来たら、話聞いたり、一緒に考えたりできるよ」っていう場所にしたいなぁって思っているんだ。目指すはママの気持ちに寄り添える看護、いや病院に。