『悪魔はいつもそこに』



今回のおうち映画は、Netflixオリジナルのスリラー映画、『悪魔はいつもそこに』です。
原作はドナルド・レイ・ポロックの『The Devil All the Time』。







登場人物とキャスト


アーヴィン(トム・ホランド)

この物語の主人公です。幼い頃両親を亡くし、おなじく両親を亡くしたレノーラと本当の兄妹のように育てられました。

演じているのは、トム・ホランドさん。


イギリスの俳優さんで、スパイダーマン役を演じたことでも有名ですね。


ウィラード(ビル・スカルスガルド)

アーヴィンの父。帰還兵で、戦争によるトラウマを抱えています。強い信仰心を持っており、毎朝毎晩家の裏の十字架にお祈りをしています。

演じているのは、ビル・スカルスガルドさん。

スウェーデンの俳優さんで、他には『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』にて、ペニーワーイズ役を演じています。


シャーロット(ヘイリー・ベネット)

アーヴィンの母。カフェでウェイトレスをしていたところ、ウィラードと出会って結婚します。

演じているのは、ヘイリー・ベネットさん。
アメリカの女優さんで、他にもNetflixのオリジナル作品『紅海リゾート-奇跡の救出計画-』に出演されています。



レノーラ(エリザ・スカンレン)

ヘレンとロイの娘。赤ん坊の頃に起きた事件により両親はおらず、アーヴィンの義理の妹としてエマに引き取られます。

演じているのは、エリザ・スカンレンさん。
オーストラリアの女優さんで、他には『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』などに出演されています。


ティーガーディン牧師(ロバート・パティンソン)

町の教会に新しくやってきた牧師。

演じているのは、ロバート・パティンソンさん。
イギリスの俳優さんで、『トワイライト』シリーズで有名ですね。
次のバットマンを演じられるそうなので、それも楽しみです!


ボーデッカー保安官(セバスチャン・スタン)

汚職保安官。サンディの兄です。

演じているのは、セバスチャン・スタンさん。
アメリカの俳優さんで、『キャプテン・アメリカ』や『アベンジャーズ』シリーズにてウィンター・ソルジャーを演じたことでも有名です。



サンディ(ライリー・キーオ)

シャーロットと同じカフェで働いていたウェイトレスで、ボーデッカー保安官の妹。
カールと出会い、結婚します。

演じているのは、ライリー・キーオさん。
アメリカの女優さんで、モデルのお仕事もされています。
他には、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』にて妻のひとりケイパブルを演じられています。



カール(ジェイソン・クラーク)

シャーロットの夫でカメラマン。

演じているのは、ジェイソン・クラークさん。
オーストラリアの俳優さんで、『華麗なるギャツビー』や『ホワイトハウス・ダウン』にも出演されています。




あらすじ

1957年、ノッケンスティフの町。
この町は人口が少なくほとんどが血縁関係で、ウィラードの一家はよそ者扱いを受けていました。

ウィラードは家の裏手の倒木の上に十字架をたて、朝と晩にかかさずそこでお祈りをしていました。
息子のアーヴィンにとっては、父がいつもそこで悪魔と戦っているように見えていました。
ウィラードはアーヴィンにも祈るように言い、自身は太平洋戦争で起きたトラウマ…十字架に磔にされたミラー軍曹を思い出していました。

時は少しさかのぼり、場所はオハイオ州、ミード。
戦争から帰還したばかりのウィラードはカフェに訪れ、そこで心優しいウェイトレスのシャーロットと出会います。
そこではちょうど、カメラマンのカールとウェイトレスのサンディも運命の出会いをはたしていました。

その後、家に帰ったウィラードは母に恋をしたことを話します。
しかし、母には教会に行き会ってほしい女性がいると言われ、そこでヘレンを紹介されます。
信仰心の強いウィラードの母エマは、彼を哀れな境遇にいるヘレンと結婚させることを勝手に神に誓っており、どうしても二人をくっつけたがっていました。
そこに、若い牧師のロイとその従兄弟のセオドアが現れ、礼拝を進めます。

ヘレンはロイと恋に落ち、ウィラードはシャーロットのことを忘れられず再びカフェに訪れました。
やがてウィラードとシャーロットは結婚し、息子のアーヴィンを授かり、ノッケンスティフに移り住んだのでした。

ウィラードは戦争によって信仰心を忘れかけていたのですが、家族のために再び十字架に祈るようになっていました。

一方、ヘレンはロイとの間にレノーラという女の子を授かっていました。
少し遠出するため、ヘレンは娘をエマに預けます。ですが、それが永遠の別れとなってしまいました。
彼女の遺体は7年後、森の中で発見されることとなり、夫のロイは行方不明となります。

1957年。アーヴィンは9歳になっていました。
父のウィラードは、一家を馬鹿にした男たちを仕返しにボコボコに殴ります。
そしてアーヴィンに「仕返しをしろ、機を逃すな。世の中にはろくでもない奴がたくさんいる」と話します。
これはアーヴィンにとって、父との最良の思い出となりました。
しかしその日、家に帰るとシャーロットは倒れており、検査の結果ガンが発覚します。

愛する妻をどうしても失いたくないウィラードは、毎日毎日十字架に祈りました。
それをアーヴィンにも強要しますが、妻の病気は少しもよくなりません。
やがて信仰に溺れはじめた彼は、祈りだけでは足りないという考えにいたり、アーヴィンが大切にしていた犬のジャックを生贄に捧げます。

しかし、そこまでした祈りも神に通じることはなく、やがてシャーロットは死んでしまいました。
大切な犬を生贄にしたにもかかわらず母も失ってしまったアーヴィンは、父に冷たくあたります。
その夜、アーヴィンはジャックを埋葬しようと十字架の元へ。
そこにはウィラードがおり、アーヴィンは「もうお祈りはしないよ」と伝えます。
反応がない父を「聞いてるの?」と揺らすと、父は力なく倒れ、その手にはナイフが握られていました。
アーヴィンの通報により駆けつけた汚職保安官ボーデッカーは、ウィラードの死体と十字架に磔にされた犬を発見します。

そうやって互いに両親を失ったアーヴィンとレノーラは、エマに育てられます。

1965年、誕生日をむかえたアーヴィンは立派に成長していました。
祖父はウィラードから貰った拳銃をアーヴィンにプレゼントします。

アーヴィンはレノーラを実の妹のように大切に思い、レノーラもまた、アーヴィンを大切に思っていました。
いじめられているレノーラをいつもアーヴィンが守り、彼女を教会に連れていきました。
そこに、新米牧師のティーガーディンがやってきます。

過去の事件を乗り越えて幸せに暮らしていたアーヴィンに戦後の腐敗、暴力、狂気が迫り、最悪の連鎖がはじまります。




スカイの個人的感想


登場人物がかなり多めの作品ですが、ひとりひとりのキャラが濃いのと、キャストが超豪華なので問題なく観ることができました。

また、138分と割と長めの作品なのですが、視点がちょくちょく変わるので、単調ながらも飽きることはなかったです。

両親を失って出会ったアーヴィンとレノーラ、最低牧師、汚職保安官、変態カメラマンとセクシーなウェイトレス、何も接点のないこれらの人物たちがだんだん繋がっていくのが面白かったです。
アーヴィンの父ウィラードが、「世の中にはろくでもない奴がたくさんいる」と言っていましたが、結局は登場人物ほとんどそうでした。

良心のある人もない人も、道を踏み外していきます。
どんな人でも、きっかけさえあれば誰だって悪魔になってしまうんだ…と思いました。

この作品はタイトルからも宗教色が強いです。
宗教は人の心の拠り所として、昔から世界中に存在しています。
死と隣合わせの戦時中は特に、強い信仰心を持っていた方が多かったのではないでしょうか。
コロナウイルスが流行っている現在も、神様に祈るようになった、いつもより神様に祈る回数が増えた…という方がいるかもしれませんね。

この宗教、光の部分もあれば闇の部分もあります。少し解釈を変えただけで、残酷になってしまうことがありますよね。
日本にも生贄として誰かが捧げられたという伝説が残る場所がたくさんありますが、本当に生贄によって願いは叶えられたんでしょうか?
冷静に考えれば、誰かが生贄として命を落としたからといって、天災や病を抑えることはできません。
宗教は心の支えになりますが、強すぎる信仰心はどこかで歪んでしまうと、信仰を盾に、何もかもが正しいことと思ってしまう、どこまでも残酷になれてしまうので恐ろしいですね。

それから、暴力・復讐の連鎖。
人間はどんな人でも、合う合わないがあります。だから、どんな人でも誰かを傷つけてしまうことがあると思います。
復讐は復讐を生むだけ、とはよく言われることですが、なかなか難しいですよね。
小さなことでも大きなことでも、やるかやらないかは別として、何かやられたら何倍にしてでも仕返ししたい…と思ってしまうのが、人間なんじゃないでしょうか。

レノーラは信仰心から「父親を許す」と言っていましたが、母親が亡くなったのは彼女がまだ赤ん坊の頃です。
思い出も記憶も残っていないからこそ、せめてどんな人であっても父に会いたいと思えたのかもしれません。

“悪魔”はあなたのそばにいるかもしれないし、“悪魔”はあなた自身かもしれません。

万人受けする作品ではないのですが、私はかなり面白かったと思います。
好きな俳優さんがいるという方は、俳優さん目当てで観てみるのもいいかもしれません。