夜8時、緊急入院患者。高齢者によくある大腿部頚部骨折。

ベッドから寝がえりで落ちたとのこと。

ストレッチャーで4階病棟まであがってきた。



娘さん夫婦の付き添いあり、娘さんは心配で泣いている。

娘さん必死で看護師にお願いをする「おばあちゃんを助けてください。」

骨折だから、そんな心配しなくてもと思ってしまったが、自分の家族がそうなると誰でも必死で心配をするのが当たり前。

わたし「大丈夫ですよ。先生にしっかり診てもらいますね。」と声掛ける。

きぬえさん、とても足痛そうだけど、ストレッチャーからベッドに移らないといけない。

なるべくきぬえさんに痛みをあたえないように一人は骨折した足を固定し、小さいおばあちゃんであったが、夜勤メンバー全員集合してくれてたので、両サイド二人ずつで、「1、2、3でいくね。」とメンバーに声かけ、きぬえさんを浮かした。

すると

かつら、、、

かつらだけが、、、

ショートカットのかつらが、、、

ストレッチャーに取り残された。

きぬえさんの髪が完全になくなってしまった。

きぬえさんは痛みでかつらどころではない。

きぬえさんの家族は心配でかつらどころではない。

わたしたちはかつらを見逃すことができない。

わたしたちは、決して笑ってはいけない状況。

信頼を失ってしまう。決して笑ってはいけない。

絶対笑ってはいけない。思えば思うほど、笑いの神が降りてくる。



誰かがあのかつらをベッドに乗せないといけない。

でもかつらに触れてしまうとどうしても笑ってしまいそうだ。

メンバーと目を合わせてしまうと、今にも噴き出してしまいそうだ。

こらえるのだ。こらえるしかない。笑ってはいけない。今は絶対に。



★笑かすの やめてください きぬえさん★