アン、ドゥ、トロワ -2ページ目

なんて遠いんだろう、東京、日本って文字が、私を離さない

それだけでわたしは

とたんにバラバラになってしまう
深い深い アンドロメダ銀河
もう届かない、君の手をさがして
私はおちてゆく


世界は綺麗だなんてね、大切なものを見つけたなんてね、
本当はわからない
考えて考えて、疲れただけなのさ


わたしはいつでも弱虫で
君が守ると言ってくれた
その言葉の意味を、ぜんぜん理解できてなかった


ふかく ふかく
君と一緒にいたかったよ
わたしはどこへゆくの


考えたってしょうがない、だけれど足が竦んで、こわくて、
ひどく、ひとりぼっちなんだ


ときどき、
この世界にはわたししかいない

ねえ
あれは小さな電球と、フィルムなのだよ
ほんとうは、ここにはないのだよ 今、存在するかもわからない
何億年も、気が遠くなるくらい昔の、記録
そんなの最初から知っていたよ
知っていたよ


だけど 私が心を惹かれたのは紛れもない事実で
どうしようもなく胸が締め付けられて懐かしくて泣いたのは事実で


ほら また 浮遊してる
宛のない、広くて、何もない、どこかへ向かう

夜があけるまで

星に恋をした少女がいました


ふたりはとても仲良しでした

少女は毎晩空を見上げ
何時間でも星とおしゃべりをしました

晴れた日は星がとても澄み渡って見えました
そんな日は、
やさしい夢をみるのでした

曇りの日はひとりぼっち
星のことを考え空をみあげます


いちど星の魔法を使って
ふたりは夜空をお散歩しました
少女は星にしっかりとつかまり、
星は自由に飛び回ります

家が、街が、小さく、
遠くなっていきます
少女の心はどうしようもなく高鳴ります

どんなことも
二人が一緒なら楽しいのでした

次へ

星はいろんな話をしてくれました

宇宙を旅したことや
少女の知らないたくさんの綺麗な場所があること

少女もいろんな話をしました
何度も読んだお気に入りの絵本の言葉や
お母さんに誉められたこと
学校のこと

少女は
こんなに素敵な気持ちを教えてくれた星に
幸せになって欲しいと願いました
彼女がそうしてもらったように

「なにかできることはないかしら」
少女が言うと星は微笑みました

「きみがそうやって笑っていてくれるだけで
僕はしあわせなんだ」


ある日
いつものように星と話していると
少女は心なしか悲しそうでした
そしてついに泣きだしてしまいました

一粒の涙がでたら、もうつぎつぎと止まりません

「近くに居るのに、さみしいわ。私はどうして人間なの?」

突然の涙に、星は困ってしまいました


次へ

日に日に心の穴は増して
少女は前のように笑わなくなってしまいました


こんな気持ち知りたくなかった
そう思いました

少女はある晩決心して、内緒で神様に頼みにいきました

「もう、私の心は張り裂けそうです。
星と出会った記憶をなくしてください」

神様は戸惑いましたが、静かに言いました
「わかりました。
ただし、うれしかったことも、すきという感情も全て消えてしまうよ」

星も同じく内緒でお月様のところに頼みにいっていました

「おねがいします、ぼくを人間にしてください」

お月様は戸惑いましたが、静かに言いました
「わかりました。」



それから何日か経ち
何かたいせつなことを忘れてるような気がしてなりませんでしたが
少女には笑顔が戻りました