観測場所に着く頃には、あたりは暗くなっていた。
しかし、我々の期待とは裏腹に、
陽水の顔色は明るくない。
「天気が微妙ですね~」
空を覆いつつある雲を眺め、
やや難しい表情をした陽水はつぶやく。
観測場所は、本願寺というお寺であった。
陽水は倉庫から、観測用のチェアを引っ張りだし、
天体望遠鏡の準備をしていた。
私たち夫婦が空を見ても、
これは、
曇っているのではないか。
正直なところ、我々が住んでいるところの方が、
星はよく見えるのではないか・・・
そんなことを一瞬考えてしまったが、
陽水の為にも、ここは、
満天の夜空を見せてくれ、と願うのであった。
約1時間ほどであろうか。
レーザーポインターを手に、陽水は丁寧に説明してくれる。
星空の図をプリントし、各自に配り、今どの星が見えるのか、
詳しく教えてもらえた。
しかし、雲が多い。
肝心なところが見えないではないか・・・
雲の流れにモヤモヤしながらも、
一瞬見える星に一喜一憂し、
望遠鏡では木星を眺めることができた。
ただ、我々が気にしていたのは、
陽水は心から、我々に満天の星空を見せたかったのだろう、
少しでも見えるようにと苦心しており、
必死でトークで盛り上げようとしてくれていた。
その心意気に、我々はとても感動していた。
満天の星空より、
陽水、アンタの心の空の方が、広くて綺麗だよ・・・
ありがとう。
そんなこんなで、あっという間の星空観測であった。
首を上に向けていたため、少し痛みを覚えつつも、
正直、満天とまで言えなかった夜空ではあったが、
とても楽しめたではないか。
少し寂しげにチェアと天体望遠鏡を倉庫にしまう陽水の、
後ろ姿をみて、そんなことを思っていた。
ほんとに、我々らしいなあ・・・・
と、
そのとき、
我々は気づく。
さて車に戻ろうかと話していたその時、
突然、
風が吹き、
あろうことか、
今まで夜空を覆っていた雲を流していくではないか。
「見えた!」
我々は夜空を指差し、それぞれが空を眺める。
先ほどまで不機嫌だった夜空が、少しずつ機嫌を取り戻していく。
そこに広がるのは、日本では見られないほどの、無数の星々。
その輝きには、ため息しかでないようだ。
陽水は、「おお!」と声をあげ、
先ほど倉庫にしまったレーザーポインターを再び取り出し、
嬉しそうに説明してくれる。
そう、奇跡が起こったのだ。
こんな我々らしくないことがおきてもよいのだろうか・・・
そんな思いも飛んでしまうほど、息を飲む星空に感動してしまった。
帰り際に陽水は我々に笑いながら話す。
「これがハワイなんです」
その言葉の深さを身をもって感じることができた。
我々にとって、まさにハワイを感じたツアーであったと言える。
ありがとう、陽水。
最後に雲が晴れて星空が見えた時の、
陽水の喜びっぷりには、
我々夫婦の心も温かくなった。
ホノルルの夜景を、車内から眺め、
この旅行での出来事を、思い出していた。
式を終え、夫婦になっての初めての旅行。
どんな旅になるかも想像することもできない。
ただ、心から楽しもう、そう決めて日本を出た。
今、こうして、終盤を迎えるときに、
ああ、楽しかったなと思えることは、
とても幸せなのだと思う。
明日には日本に向けて出発しなければならない。
事実、今日がハワイでの最終日と言っても良いだろう。
この日本とは違う、温かい色をした夜景を見て、
一度訪れた人は、リピーターになるという話は、
確かに本当なのかもしれない。
最後に、
今、あの新婚旅行から1年を迎える自分が言えることは、
長期の旅行で、あんなにも笑って楽しめたっていう気持ちは、
今でも忘れないでおこうと思う。
そしてこれからも、共に笑っていこうと。
それが、
まさに
我々らしい、「人生」ではないか。
~波打つ音を、異国で聴いて~
「終」
「陽水より、マナを込めたブレスレットを貰いました」

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☆いやあー、皆さん、長期連載、お付き合いして下さり、
誠に有り難うございました!
自分で想像していたより、長くなってしまい、
しかも読み辛かったのではないでしょうかm(_ _ )m
自分にとっても、去年のことですが、
思い出す良いきっかけになったと思います☆
そんなこんなで(笑)次回からはオトメン日記の再会で~す☆
また、感想等ございましたら、どうぞご遠慮なく☆