その空気の違いを痛感した。
蒸し返すような、湿度の高さ。南国の島特有の匂い。
そして、長旅に疲れを隠せない人々が、
空港の長い廊下を黙々と歩いている。
しかし気怠さの中にある、この高揚した気分。
この旅における期待と不安がせめぎあっている証拠であろう。

長い検閲を抜け、時刻はすでに昼近く。
行き交う人々に、私と妻は目をせわしなく動かすばかりである。

「そうか、もう昼の時間なんだな」
やや時差ボケを感じつつ、ワイキキの散策をほどほどに、
昼食を摂ることにする。
私たちが向った先。それは。
「赤いバックに、黄色いM」
これだけでも分かるだろう。日本でも有名な、ハンバーガーチェーン。
そう、我々はどこか安心を求めていたのかもしれない。
異国の地に降り立ち、右も左も分からない。この土地で。
我々が普段よく目にする、あの看板に。
吸い寄せられるように入ってしまったのは、
旅行者としてやや問題かもしれない。
日本でも食べれるだろう、・・・そう言わないでくれ。
むしろ、到着そうそう「ジャパニーズ・スシ」を食べなかった、
私たち夫婦の意志の強さを褒めてほしい。
安心を心ゆくまで頂いた、私たちはホテルへ。

このホテルで、私は最大の敵と戦うこととなる。
そうここは異国の地。
我々の言語は通じないのだ。
コミュニケーション方法を奪われた我々は、何をするにも戦いなのである。
最初の敵が、そう。
ホテルのフロントである。
「チェ、チェックイン・・・プ、プリーズ」
「ア、アイム、いや、マイネーム、イズ・・・」
何たる不覚!!
私の過去勉学に勤しんできた、数年はなんだったのであろう・・・
こんなときに、会話ができないのでは、英語など授業で必要ないわ!!
「あ、〇〇様ですね。長旅お疲れさまでした。
こちらでチェックインさせて頂きます~」
「では、当ホテルの説明ですが~ペラペラ・・・」
ほ、ほう。
しゃべれるではないか。日本語。
やはり、このようなリゾートホテルともなると、
日本からの旅行者も多かろう。
当然であろう。
私の「英検準2級」の腕前を発揮することができず、誠に残念であるな。
へらへらと愛想笑いをしながら、私たち二人は部屋に向うことにした。
部屋に置かれたシャンパン。
バルコニーからは、定番のオーシャンビュー・・・ということはなく、
山がよく見える。
外から部屋に吹き込む風は、まさに南国の風であった。
バルコニーに置かれたテーブルセットに腰掛け、
結婚式の疲れと長いフライトの疲れを癒すため、
乾杯をする。
夜は早く訪れ、外は闇に包まれる。
異国の地で迎える夜は、こんなにも美しいものなのか。

日本の蛍光灯の明かりとは異なり、柔らかな黄色い明かりがとても美しい。

明日からの旅行を充実させるためにも、
今夜は早く眠りにつくことにする。
~②に続く~