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『聖なる鹿殺し』

アイルランド・イギリス/2018年/サスペンス映画

 

◼️introdiction

ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督が、幸せな家庭が1人の少年を迎え入れたことで崩壊していく様子を描き、第70回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したサスペンススリラー。

美しい妻と2人の子供に恵まれ郊外の豪邸に住む心臓外科医スティーブンが迫られた究極の選択とは。。。

 

◼️story

手術を終えた心臓外科医であるスティーブン(コリンファレル)は同僚の医師と腕時計について話している

ちょうど買い替えを考えていたというスティーブン。

スティーブンはとある小さなダイナーで誰かと待ち合わせをしている。

現れたのは少年。

彼の名前はマーティン(バリーコーガン)

一緒に食事をとりながらたわいのない会話をしている。

スティーブンはマーティンに何かをプレゼントだと言って渡した。

開けてみると時計だった。しかも高級時計。

この2人の関係は一体なんなのか?スティーブンがマーティンに随分気を遣っているようにみえる。

冒頭の時計も自分のではなく、マーティンへのプレゼントのようだし。。

何か弱みを握られているかのようなスティーブンの態度が少し気になる。

 

スティーブンは、郊外の豪邸で同じく医師である美しい妻アナ(ニコールキッドマン)と娘のキムと息子のボブの4人で暮らしている。

家族関係も夫婦関係も順調そうに見える。

学会でも多くの医師の前で堂々とスピーチするスティーブン。

成功した心臓外科医であるスティーブンを誇らしげな目で見るアナ。

まるで絵に描いたかのような完璧な家族である。

 

病院にいつものように出勤したスティーブンは突然の来訪してきたマーティンに驚く。

マーティンは時計のお礼を言いたかったと。

同僚の医師にはマーティンは娘の友達と嘘をつき紹介、医師を目指しているから見学をさせているのだと。

また別な日、2人で散歩をしながら話すスティーブンとマーティン。

スティーブンはマーティンを自宅に招待したいと申し出る。

 

家族へ気の利いたプレゼントを持参してスティーブンの豪邸に訪れたマーティン。

アナをはじめキムも好意的にマーティンを迎える。

特に娘のキムはマーティンに特別に好意を抱いているように思える。

ただ、ボブだけは少し距離を置いているように見える。

その夜マーティンから電話で明日自分の家に来て欲しいと。

今度は自分達がスティーブンを自宅でもてなしをしたいと。

 

マーティンの家。

マーティンと母親の2人暮らしの質素な家。

食後にみんなで映画を観ている。

マーティンが寝た後、マーティンの母親がスティーブンの手にキスをし、彼を誘おうとする。

慌てて家を後にするスティーブン。

 

翌日病院に急に訪れてきたマーティン。

胸が痛いから検査をして欲しいと。

亡くなった父親も心臓が悪かったから心配なのだと。

そして、やたらとスティーブンとの距離を縮めようとしてくるマーティン。

そして無理な事を言っても言いなりになるスティーブン。

もうこの辺りからマーティンがスティーブンを父親の医療ミスか何かでゆすろうとているように感じる。

しつこくつきまとって、スティーブンの生活を壊してやりたいというマーティンの意図を感じる。

 

同僚の医師からマーティンの病院内での目撃情報を聞いたり、

娘のキムに近づくマーティン。

次第に彼の異常な執着心に恐怖を感じるスティーブン。

 

子供達を朝のスクールバスに送り出す時間。

なかなか階下に降りてこないビル。

心配して部屋を見にいくと、ビルがベッドに座っている。

足に感覚がなく動かす事ができないと。

急いでビルを病院に連れて行くスティーブンとアナ。

たくさんの検査を受けるも特に異常はないと。

念の為その日は入院させる事となった。

一方キムとマーティンはバイクでデートをしている。

キムはすっかりマーティンに心を奪われているようだ。

 

ビルの病室にお見舞いにきていたマーティンに驚くスティーブン。

またしつこく2人になろうとするマーティン。

病院のカフェテリアで渋々マーティンと会うスティーブンだったが、

マーティンからプレゼントだと言ってアーミーナイフを渡される。

そしてマーティンから不気味な事を言われる。

「ボブは気の毒だった。これから最悪の瞬間がやってくる」と。

困惑するスティーブンにマーティンは続ける。

「先生は僕の家族を1人殺した。だから、先生は自分の家族を1人殺さなければならない。

そうしなければ全員死ぬ事になる。」

そしてこれから家族におこるであろう具体的内容を伝えてきたのだ。

1、手足の麻痺

2、食事の拒否

3、目から出血(出血したら数時間で死ぬ)

4、死

 

慌ててボブの様子を見に病室に向かうスティーブン。

食欲が一切ないボブに無理やりドーナツを食べさせようとする。

何をやってもボブの足の麻痺は良くならない事に焦りを感じるスティーブン。

 

一方でマーティンにすっかり心を奪われてしまったキム。

どうやらマーティンからマーティンの父の医療ミスについて聞いているようで、

自分の父親の過ちについてマーティンに謝罪する程である。

しかし程なくしてキムも、ボブと同じ症状で入院する事になってしまった。

 

マーティンが訪ねてきてからというもの、次々と起こる家族の不幸についてマーティンに疑いの目を向けるアナ。

スティーブンの同僚である麻酔医にこっそりマーティンの父親について尋ねてみたのだ。

どうやら手術中に亡くなってしまった事に対して罪悪感を感じたスティーブンが

マーティンに対して資金等の援助をしていたとのこと。

なぜそれについて黙っていたのかと責めるアナに、言い訳を並べるスティーブン。

キムがマーティンと親しげに連絡を取っているのを見たアナは、思わず怒りを爆発させキムの携帯を没収した。

キムはそれに対し冷静にアナにこう伝える。

「次はママの番よ。」

マーティンの家を訪れるアナ。

そこでマーティンからスティーブンとマーティンの母親との不貞行為について聞かされる。

これは作り話ではあるが、アナの心を揺さぶるには十分であった。

「なぜスティーブンの罪で、関係のない私や子供達まで罰を受けなれけばならないのか?」

アナの心をスティーブンから離すのは簡単だったようだ。

追い詰められたアナはスティーブンの同僚である麻酔医と良からぬ関係を持つ事を見返りに、マーティンの父親の手術についての真相を突き止めようとする。

なんと、スティーブンはマーティンの父親の手術を酒に酔った状態で執刀していたのだ。

 

特に治療方法もなく退院を余儀なくされたキムとボブが自宅に戻ってきた。

行き場のない怒りを互いにぶつけ合うスティーブンとアナ。

翌朝、スティーブンに起こされ地下室まで連れて行かれたアナ。

なんとそこには殴られて血だらけになり、椅子に縛られているマーティンの姿が。

スティーブンに銃で殺されそうになるマーティンがスティーブンに言い放つ。

「銃弾1発で4人死ぬ事になるが、それでいいのか?」

その言葉に思いとどまるスティーブン。

さあここから誰が生贄になるのか家族4人の心理戦の幕開けである。

マーティンと特別な関係にあるキムはボブより優位に立とうとする。

もちろんスティーブンにも必死に取り入ろうとする。

ボブは決定権を持っているスティーブンにのみ取り入ろうとし、

以前スティーブンに言われた事を率先してやってみせる。

究極の選択を迫られ苦悩するスティーブンだったが、

彼らの通う学校に成績について聞きに行き、どちらが優秀なのか見極めようする。

そして、マーティンにもスティーブンにも取り入ろうとするアナ。

アナは、スティーブンに子供ならまだ産めると伝え、

どちらかの子供を犠牲にする事を打診する。

そしてスティーブンに黙ってマーティンを逃したのだ。

 

殺伐とする一家。

遂にボブが目から血を流し始めた。

スティーブンに決断の時が迫っていた。

どうしても選択できないスティーブンは、リビングに3人を目隠しして座らせ、

自分も目隠しをして、まるでスイカ割りゲームのように誰かに命中するまで銃を撃ったのであった。

1発目2発目は外してしまうスティーブンであったが、遂に3発目は命中したのである。

 

ある日のダイナー。

スティーブンとアナとキムが3人で食事をしている。

そこにマーティンがやってくる。

お互い存在を確認しつつも、少し離れた席に座るマーティン。

マーティンの好物を食べながらマーティンを見つめるキム。

マーティンはいつもの無表情で家族を眺めながらジュースを飲んでいる。

 

程なくして席をたつ3人。

ーそこにはボブはいない。

そうこれが彼らが出した答えである。

 

 

 

◼️私見

マーティンに本当に超能力があるのかはわからないが、

周到に彼らに暗示をかけたのは間違いないであろう。

彼の何気ない行動、話し方、目線全てが、恐らく彼らへの深い暗示へと繋がっていたのではと感じる。

子供を犠牲にするくらいなら自分が犠牲になるのが親である。

でもこのストーリーは、人間の奥底にあるエゴを悲しいほど露わにしている。

果たして、死を目の前にして、人間というのは誰のためであれ、

自己を犠牲にするなどという崇高な事ができる生き物なのであろうか。

なんだかそんな事を突きつけられた映画でした。

 

ぜひこの映画を実際に楽しんでみてくださいね!