母が、以前私に言った言葉。
あなたにはたくさんの愛情を与えた。
大事に大事に育てたから
あなたへの愛には自信がある。
あなたの心が真っ直ぐなのは私達の愛がきちんと届いているからだ。
でもお兄ちゃんにはそれができなかった。
だからお兄ちゃんには申し訳なく思っている
昔からちょこちょこ言われてきた言葉だけど
改めて言われてピンときた。
なんとなく、
これが違和感のもとな気がする。
だって私は、愛されるべくして愛されてきたわけじゃないから。
愛されたくて必死に頑張ってきた。
親に嫌われないように
家事を優先して、勉強もバイトも頑張った。
高校は公立の商業高校行って
大学の推薦の話なんて秒速で蹴った。
後になって
あんないい大学の推薦なんで断ったの
なんて母に言われて
全部自分の選択が間違った気がして
吐き気がした。
愛が欲し過ぎて、反抗期なんて縁がなかった。
病気になっても甘えなかった。
自分の稼いだバイト代で通院したし、
通院が気持ち悪いと母に言われてからは
通院の気配もなるべく消すようにした。
それに比べて兄は
昔から頑張った事なんて一つもない。
中学から暴れ回って、
みんなに迷惑かけて
両親には他人に何度も頭を下げさせて
高校は私立。
大学も私立。
その大学だって、
「一刻も早く働きたい」
という理由で退学したのに
仕事なんて続かない。
私からすれば兄は
親の寄生虫でしかない。
でもそんな兄を母は突き放すことができず、
最終的にいつもかばう。
面倒で大事な物事には目を離してきたくせに
どうでもいいところで手を貸すから
人をダメにする。
どうしてわからないのか謎過ぎたんだけど
やっと最近理解した。
彼女にとっての一番は
所詮、彼女の気持ちなんだと。
放つ言葉も行動も
表面的によく見せているだけ。
よく見せるのが上手な人だから
周りは同情してくれるし
親しんでくれるし、
どうしてもっと母を大切にしてあげないのと
反対に私は責められる。
私の前では、
母は兄の文句も言うけど
兄は母から無条件で愛されてきた。
最初からずっとずっと愛されているのに
奴はそれに全く気が付かない。
お前ばっかり可愛がられて、
俺は辛かった、って
バカじゃないの？
あ、バカだから仕方ないか。
母よ、奴は大丈夫なんだよ。
本当の愛をもらってきたのは兄だから。
私はいつも愛という対価をもらってきただけ。
私の働きが大きくてその対価が多く見えるかもしれないが
それはどこまでいっても所詮
「対価」でしかない。
親への感謝は莫大にあるけれど、
恨みもあるし
それになんとなく、
その愛情は消費物に感じる。
今まで貯めてきた
「対価」という名の「母への愛」
が無くなったら
どうなるんだろうって
不安に感じる事が多い。
母の愛情を反面教師にして
私は今日も
本当の愛情を探している。
我が子には絶対に
こんな思いをさせたくないから
いつもひたすら正解の愛情を探しながら
過ごしている。
それにしても偏っている。
全然まともな母になれない。
あの子達だけは
幸せにしたい。