いきなり、ふっと思い出したトリマー時代の先輩、Sさん。
トリマーになって初めて就職したペットショップにいた
新潟出身、ひとつ年上の彼女。
私同様、社会人を経験した後、東京に来てトリマーになったと
いうことで、遊び半分趣味半分の専門学校の同級生たちとは
真剣さが違う。
セラピストの時もそうだったけど、スタートからレベルの高い
先輩を身近に観察(?)できるのは、すごくありがたいこと。
最近のペット業界は全く知らないので比べようもないが、
道を歩いているトリミング帰りのワンちゃん達を見ると
(流行りもあるんでしょうが)あまり高い技術を
必要とされないのかな~と思うことも多い。ゴメンナサイ
トリミング中はリードをしないとか、私達の時代では
考えられなかったことが今は常識になっているらしいし。
そんなことはさておき、私の頭の中をよぎったSさん。
技術的にはもちろんだけど、なによりスゴイと思ったのは
時間の短さ。
相手は動物だから長くかかると飽きてくるし、嫌がるのを
宥めたり抑え込んだりしてやらなきゃいけない場合もある。
そうするとトリミングが嫌いになって、次に来た時は
最初から抵抗され、もっと時間がかかる…という悪循環に
ハマっていく場合も多い。
しかしSさんは短時間で仕上げるので、みんな大人しく
されるがまま。
すごい集中力で一発で仕上げちゃうから、何度も同じところを
チビチビ切ったりしないのだ。
相手は物言えぬ動物達なので、仕上がりさえ良ければ
飼い主さんを喜ばせることができるけど、当事者のに
いかに負担をかけないか、それが当事者だけでなく
関わるすべての人にとって利益になるということが
わかっている人が周りにどれだけいただろう。
彼女の仕事に対する姿勢は、誰かにではなく
自分に対しての誠意だったのだろうと思うが、
残念ながら雇用主にはそれを評価する能力もなく
結局、彼女をこの業界から去らせてしまった。
私が彼女を思い出したのは、きっと
また彼女と仕事がしたいという願望の現れだと思う。
引っ越しを繰り返すうちに連絡がとれなくなってしまったが
ご縁があれば、きっとまたどこかでつながるんだろうな…と
信じつつ、密かに念を送るのであった