キレイ好きの猫ちゃんは毎日頻繁に毛並みのお手入れをしています。(ちなみにウサちゃんもしますw)
猫が毛づくろいをするのには、清潔を保つ他に自分のニオイを消し、獲物に悟られないようにするためや、自分を落ち着かせるため、それから日光を浴びることで毛の間に生成されたビタミンCを摂取するためなど、様々な理由がある行動です。
さて、そのキレイ好きな猫ちゃん、そのまま好きなようにさせておくと大きな落とし穴にはまってしまいます。それは、グルーミングで飲み込んでしまった毛が、少しずつ消化管内にたまって絡み合い、毛の塊(毛球)を形成します。この時できた毛球を猫は吐いたり便と一緒に排泄するのですが、うまく体から出せない場合、毛球は消化管内でさらに大きくなり、さまざまな症状を引き起こします。これを毛球症と呼びます。
《原因》
猫の舌の表面には味覚を感じる味蕾(ミライ)と呼ばれる器官が突起のような形でたくさん存在してます。この突起がヘアブラシのような働きをし、抜けた毛を絡め取り、飲み込んでしまうことで毛球症が起こります。
そのため、アレルギー性疾患やノミなどの外部寄生虫が原因で皮膚や被毛の状態が悪い場合にも体を舐める回数が頻繁になるため、二次的に毛球症になりやすくなります。
また、被毛の量が多い長毛種の猫やストレスの多い猫、子猫を舐めることの多い授乳期中の猫、ブラッシング不足の猫、春と秋の換毛期の猫は毛球症になりやすい要因をもっていると言えます。
そのほか、食事中の繊維不足があると、消化管の規則正しい運動が妨げられ、その結果として消化管内に毛球が停滞する時間が長くなって毛球症になりやすいと言われています。
《症状》
胃の中の毛球を吐き出す行動そのものは、猫にとっては一般的な行為です。従って、毛球をうまく吐き出すことができない猫や消化管の蠕動運動(ゼンドウウンドウ)によって便と一緒に毛球を排泄できない猫では、胃の中の毛球が次第に大きくなってしまい、毛球による症状を示すようになります。
毛球症の主な症状としては、嘔吐や胃炎、便秘、下痢などの消化器症状が挙げられます。
胃の中にある毛球が、胃の出口(幽門=ユウモン)を塞いでしまった時に突然嘔吐するとも言われています。また、このような症状が続くことによって、体重の減少がみられる事もあります。
《診断》
嘔吐を示す猫の鑑別診断は複雑ですが、毛球症の確定診断は胃内の毛球の確認ということになります。触診や消化管造影検査で毛球の確認をすることは困難な場合が多いので、一般的には毛球症が疑われる症例には治療を適応します。
《治療》
症状に応じて、輸液を注入したり、制吐剤や鎮静剤を投与します。また、毛球の排泄が困難と思われる場合には、手術で毛球を摘出する場合もあります。
《予防》
予防方法としては毛球の原因となる被毛の管理が重要となります。特に換毛期のこまめなブラッシングや皮膚に関係する基礎疾患(ノミやダニなどの外部寄生虫疾患など)の予防やストレスの軽減、消化管内の毛球の排泄を助けるための潤滑剤としての製剤(ラキサトーンなど)の投与、食物繊維の適切な給与が大切になります。特に最近では、食物繊維含有量の高いサイエンスダイエット<ヘアーボールコントロール>などの毛球予防用の専用フードも発売されています。これは毛球症の予防はもちろん、毛球を吐き出す行動をやめさせたい場合にも有効とされています。
また、ペットショップやホームセンターなどで毛球症の予防用として《ネコ草》と呼ばれるものが売られています。猫がこの草をよく食べる理由はまだ明らかにはなっていないようです。食物繊維の摂取という意味で草が緩下剤として働き、胃や腸内で停滞している毛の排泄を助けるという説と、草が直接食道を刺激して胃の中の毛球を吐き出させるという説があります。また、消化管内の毛球とは関係なく、草に含まれる葉酸というビタミンを摂取するためという説もあり、現在のところ真相は不明のようですf^_^;