私は何回か、細かい引っ越しはしているものの、利用している最寄駅は7歳のときからずっと変わらず、JRのH駅です。在住の市も三回変わっているのですが、駅が変わらないということは、現在も含め、常に市の外れに住んでいるということになります。つまり、行動範囲はかなりだぶっているわけです。よく、結婚して地方からお嫁にきた…というような方の気持ちが想像できません。自分の慣れ親しんだ場所から、はるか遠くへ移り住むということは、もう私には無理でしょう。そんなわけで、幼いころによく歩いた道などを、車で通ることは常にあります。大型スーパーに行くまでの道…かつては住宅などは、ほとんどなかったのですが、なぜか一軒だけ「パン屋」があったのです。
それはまだ私が、小学生だったときでした。店の看板は「ちよだ」か「チヨダ」だったと記憶しています。徒歩で小銭を握りしめて弟と、よくパンを買いに行きました。マヨネーズパンや、あまりおいしくないハンバーガーなどが売っていました。おまけをしてくれるのが、楽しみでした。パンを買った帰り道、行きには気がつかなかったというのに、水がほとんどない溝の中に、三匹の仔猫が捨てられていたのです。白黒、ぶち、三毛、みんな毛色が違っていました。このまま見捨てるわけにはいきません。弟を先に家に帰し、飼っていいか聞いてくるように言いました。弟はしばらくして戻ってきました。
「一匹だけ連れてきていいって。あとはそのまま捨ててくるようにって」 ここが猫たちの運命の分かれ道です。きょうだいでしょうか。本当は三匹全部、飼ってあげたかった。でも、一匹だけを選ばなければならないのです。直感でぶち(♂)を選んで連れて帰りました。
その猫は「ゴローくん」と名付けられました。ゴローくんは貫録のあるオス猫になりましたが、ある日ふらりといなくなり、それっきり帰ってこなかったと思います。きょうだいたちはどうなったのでしょう。いい人に拾われていることを祈らずにはいられませんでした。今でも実家には我々姉弟がゴローくんを抱っこした写真が飾ってあります。
もうとっくに、その道にパン屋はありません。いつ店じまいしたか、どこにあったのかも分かりません。ゴローくんたちが捨てられていた溝にはコンクリートのふたが閉められてしまいました。それでも、その道を通るたびにパン屋に行ったことや、猫を拾ったことが鮮やかに思い出されるのでした。
最近、うちのまわりに人なつっこい猫が、いるようになりました。飼われているのかノラ猫なのかも分かりませんが、ぶち模様で、しっぽが短くて、オスで、まるでゴローくんの生まれ変わりのようです。子どもたちは「ぶち」と呼んでいるようですが、私はこっそり「ゴローくん」と呼んでみました。ちゃんとニャーと、返事をしました。いつかはこの猫とも、お別れするときが来るのでしょうか。今まで出逢い、すごした何匹もの猫ちゃんたち。みんなのことを、私は忘れないよ。
それはまだ私が、小学生だったときでした。店の看板は「ちよだ」か「チヨダ」だったと記憶しています。徒歩で小銭を握りしめて弟と、よくパンを買いに行きました。マヨネーズパンや、あまりおいしくないハンバーガーなどが売っていました。おまけをしてくれるのが、楽しみでした。パンを買った帰り道、行きには気がつかなかったというのに、水がほとんどない溝の中に、三匹の仔猫が捨てられていたのです。白黒、ぶち、三毛、みんな毛色が違っていました。このまま見捨てるわけにはいきません。弟を先に家に帰し、飼っていいか聞いてくるように言いました。弟はしばらくして戻ってきました。
「一匹だけ連れてきていいって。あとはそのまま捨ててくるようにって」 ここが猫たちの運命の分かれ道です。きょうだいでしょうか。本当は三匹全部、飼ってあげたかった。でも、一匹だけを選ばなければならないのです。直感でぶち(♂)を選んで連れて帰りました。
その猫は「ゴローくん」と名付けられました。ゴローくんは貫録のあるオス猫になりましたが、ある日ふらりといなくなり、それっきり帰ってこなかったと思います。きょうだいたちはどうなったのでしょう。いい人に拾われていることを祈らずにはいられませんでした。今でも実家には我々姉弟がゴローくんを抱っこした写真が飾ってあります。
もうとっくに、その道にパン屋はありません。いつ店じまいしたか、どこにあったのかも分かりません。ゴローくんたちが捨てられていた溝にはコンクリートのふたが閉められてしまいました。それでも、その道を通るたびにパン屋に行ったことや、猫を拾ったことが鮮やかに思い出されるのでした。

最近、うちのまわりに人なつっこい猫が、いるようになりました。飼われているのかノラ猫なのかも分かりませんが、ぶち模様で、しっぽが短くて、オスで、まるでゴローくんの生まれ変わりのようです。子どもたちは「ぶち」と呼んでいるようですが、私はこっそり「ゴローくん」と呼んでみました。ちゃんとニャーと、返事をしました。いつかはこの猫とも、お別れするときが来るのでしょうか。今まで出逢い、すごした何匹もの猫ちゃんたち。みんなのことを、私は忘れないよ。