沖縄の「集団自決」に関して、
日本軍の強制をなかったことにしようとした教科書検定。
9月29日に開かれた沖縄県民大会が
11万人という参加者を得て成功したことなどを受け、
見直しの気運が高まってきている。
さて、何社くらいの教科書会社が「訂正」を申請するのか、
どんな表現になるのか、
申請したら、本当に「訂正」が行われるのか、と、
注視していたところ、
10月28日の読売新聞に、東京書籍の文章の変遷が具体的に書かれているので
抜き出して比べてみよう。
A)検定前の文章
↓
「日本軍がスパイ容疑で虐殺した一般住民や、集団で『自決』を強いられたものもあった」
B)検定後の文章
↓
「『集団自決』においこまれたり、日本軍がスパイ容疑で虐殺した一般住民もあった」
C)訂正申請する文章
↓
「日本軍によって『集団自決』においこまれたり、スパイ容疑で虐殺された一般住民もあった」
厳密に言えば、A)は、読点の前後で主語が違う。
読点の後ろの主語も「日本軍が」であるとするには、「強いられた」ではなく「強いた」と、
能動態でなければならない。
すでに、この時点で、誰が集団自決を強いたのかはぼかされているのだ。
で、検定意見を受けて修正されたB)では、語順を入れ替えて
さらに主語をぼかしている。
(主語を書かなくても文法的に成立する日本語の特性を巧妙に利用している)
そして、沖縄の怒りを受けて、訂正申請するという文章がC)だ。
これはもう、読点の前も後ろも、主語は間違いなく「日本軍」である。
つまり、実のところ「集団自決」を日本軍が強いたものだといっているのは、
C)だけなんですね。
しかも、A)では「集団で『自決』」と、薄いオブラートに包んだものを
「『集団自決』」と明確に示している。
これをヤブヘビといわずしてなんという?
文科省は、きちんとこの訂正を受け入れてほしいものだ。