“J”#2

「なぁ、ファイブの恨みってのは、つまりのところ?」
「続きを話してやろう…」
「…で?…」
 少し不満だが、ユウはワンの語りに耳を傾けた。

 飲み込まれ、異空間を飛んでいる時に見た…確かに倒したはずの“アイツ”を…
 彼女は、笑っていた。「私を倒したと思ったら大間違いよ!!このままどこかに跳んでしまえ~!!」
 ワンは、あの空間の中で確かに彼女の声を聴いた。薄れゆく意識のなかで…

 頭が痛かった。あまりの痛さに目を開けてみた。
 眼前に見えた世界、そこは何かの実験施設のようだった。
 博士っぽい人がワンを調べている。
「博士、やっぱり見たことも触ったこともない素材ですね…」
 助手らしき人がファイルを見ながら言った。
「突如、この火球第一研究施設に空間をねじ曲げて降ってきたこの、衣服状の物はいったい?」
 衣服?布?素材?火球?
「…こいつらは何を?」 ふと、横にあるステンレスっぽい棚に自分の姿が映る。
「な、なんだこれは!」 そこには、衣服状になっていた自分の姿が映し出されていた。
 その衣服とは、ワンの世界、つまり地球のとある中学のジャー○そのものだった。
 なぜ、ジャー○に自分の意識が乗り移ったのか?すべてはあの空間を通ったのが原因だろう。
 元の姿、元の世界に戻るにはこの世界のどこかに潜んでいる、“ヤツ”を見つける以外にないだろう。
「…ここは、火球?…未来の火星だというのか!?」
 研究員達の会話から、ここが火星で地球は壊滅しこの地に新天地求め、移り住んだという事が解った。そして、いつしか地球は伝説の星“蒼球”と呼ばれるようになった。
 その後、ワンはだだの布を装い脱出の機会を待った。
「博士、どう見てもただの服ですね…」
 研究員の一人が博士に結果を報告した。
「う~ん、そのようだな。素材は不明だが…君、ちょっと着てみてくれないか?総督に報告しなければいけないし」
「私が?ですか?…」
「うん、夜露死苦」
 研究員はしぶしぶ、ワンを着る。
 ワンにとって、またとないチャンスが訪れたのだ。



つづく



すいません、まだ続きます。

では