上申 | 妄想じゃないブログ

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今から随分前に…

私は医学部を卒業して医師国家試験に合格して医師となり

母校の精神神経科教室に入局しました。

新入局員の歓迎会で自己紹介をさせられ、その時

“どんな医師になりたいか?”と先輩医局員から聞かれました。

同僚の研修医たちは

“クランケの気持ちに立った”とか

“1人でも多くの人を救える”とか

まあそんな感じの、お決まりの表現をしていたと思います。

私は

”威張らないお医者さん”

って答えました。

一同、「ええー?」って反応でした。

もっとちゃんとしたこと言えよ!…的な視線を感じました。

でもね…

クランケの気持ちに共感したり、使命感をもってクランケを救うなんて、当たり前のことだから。


そんな訳で

初っ端からちょっと変わり者のレッテルを貼られた私でした。


いや、でも威張ったお医者さんって多いんですよ。

そういう人を目の当たりにして

同業者として恥ずかしく思うこともしばしばです。

クランケに対してだけではなく、コメディカルに対しても威張るドクター…いますね。


医師同士でもありますよ。

根拠のない上下関係っていうのかな?

そういうのを振りかざして威圧してくる…

ちょっと名の知れた某大学病院の整形外科のドクター(複数)…

クランケの転入院のお願いをする時…
通常はPSW(精神科ソーシャルワーカー)が交渉するのですが

「そんな下っ端とじゃ話にならん。医者を出せ!」と必ずおっしゃいます。

で、私が電話で対応するのですが、電話だから顔は見えません。

私の可愛らしい声を聞いて(笑)、整形外科のドクターは言います。

「君は何年目?どこの大学出てるの?」


クランケの転院の話をしたいのに、そういうしょーもないことを、開口一番聞いてきます。

「30年目のおばさんですよ。声は若いって言われますけど。出身は東京大学ですけど何か?」

当然ウソです。

すると整形外科医の口調が変わります。

「あ、これはどうも。失礼いたしました」と。

アホですよ、この医者!

腕はいいそうですが…


そんな威張った医者がいる職場は大変だと思います。

“お医者さんは偉いもの!”という幻想を捨てていただきたい。

医師という職業は特別ではなくて、ホント普通のお仕事なんです。

私は威張ったりしません。

けれどもコメディカルは私に、私以外の医師にもとても気を遣います。

で、ブログタイトルなのですが…


「上申」…“じょうしん”と読みます。

文字通り、“意見を上の者に申し述べる”という意味です。

日常会話ではあまり使わないですよね。

政治家や国会などの場面で聞いたことがあると思いますが

この言葉…医療現場でもよく使います。

クランケの対応や処置に関してナースが困った時、医師に指示を尋ねる際に使います。

ナースカルテを見るとこんな記載があります。


主治医指示の頓服薬を投与するも不穏治まらず。当直医に上申する


…と。

この言葉、あまり好きじゃありません。

医師はナースから見て上じゃないから。

医療現場というのは、上も下もなくて、

みんながそれぞれの役割分担でチームを組んで医療を行なう場所だから。

いわゆる“チーム医療”です。

私が医長になって

この“上申”という言葉を使わないように取り決めをしました。


縦の繋がりではなくて

同じ並びで、お互いに連携を取り合いながら

和気藹藹とお仕事をしていきたいと

私は思っています。



オマケ


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