紀香編(第9章)最後の復讐(パンミレ) | ミレディ strange novel

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奇妙な小説を求めて・・・

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~パンドラプランナーのミレディです~
      
(パンミレ:榎本紀香編)

 

●小説詳細一覧●
https://ameblo.jp/milady20230910/entry-12815900767.html

 

 

Altern-ate-H-el-ical//(小説メイン曲)

 

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秀子の告別式会場火災で

死亡者はいなかった。

何故、会場が火災になったのか、

原因は不明のままだった。



紀香は、火災現場にいた。

(結局、今回の火災で

夏帆は死ななかった。

父順平も・・・。


夏帆にも順平にも

憎しみはない・・・。

どうぜ夏帆はもうピアノは


弾けないわ。

薬物の後遺症もあるし・・・、


何よりも最愛の母親秀子を

失ったんだから、

夏帆にはもはや生きる


希望すらない・・・。

だから夏帆には

憎しみなんてない・・・。

ただ哀れな妹・・・。


きっと、パパが

夏帆の世話をするでしょう・・・)




紀香は、火災現場から去った。







一方、榎本家では。

父順平が夏帆の部屋に

入っていた。

「夏帆?お前の辛い気持ちは

よくわかるよ。

お前は、今までずっと母さんと

暮らしてきたんだ。


誰よりも母さんを信頼して

いただろう。


その母さんが突然亡くなった。

しかも、もうピアノも弾けない。

これからどうするか、


父さんと一緒に考えよう。

お前が父さんの事


憎んでいるのはわかっている。

でも、父さんはそれでも夏帆の事が

大好きだ。


勿論紀香の事も好きだ。

紀香が実家に戻ってくれたらと

思っているが、

きっと戻って来ないだろう・・・」



「・・・」


夏帆は何も喋らず

父順平の話を聞いていた。

順平は、夏帆の頭を

優しく撫でた。

そのとき、夏帆が喋った。


「パパ・・・」

「ん?どうした?夏帆?」

「私・・・、死にたい・・・」

「何だって?死にたいって?


何を言っているんだ。

お前はまだ若い。

ピアノ以外でもきっと


生きていけるさ。

それまでは父さんが


お前の面倒を見るから。

ゆっくりでいい。

自立して欲しい・・・」



「パパって優しいね・・・」

「それは当然だろう。

夏帆の父親なんだから・・・」


「夏帆、もし将来結婚するとしたら、

パパみたいな男性と結婚したい・・・」


「夏帆・・・」

「パパ言ったよね、父親にとって

娘は最後の恋人だって・・・。


今ならよくわかる。

私、パパの最後の恋人に

なってもいいよ・・・」


「夏帆!」

順平は夏帆を抱き締め

涙を流した。

夏帆も順平を抱き締めた。






 

その頃、ウィーンでは。

土屋新太と東野冬美は

ウィーンの街を歩いていた。

「新太、ウィーンって本当に

綺麗な街だね」

「そうだな、最高だな」


「私、新太とウィーンに来れて

本当に良かった」


「俺もだよ、冬美。

俺冬美が好きだ」

「本当?新太?夏帆はどうするの?」


「夏帆?夏帆なんてもう

どうでもいいよ。


夏帆はピアノを辞めたらしい。

音大も退学したらしい。


コンクールであんな失態を

起こしてしまったんだ。

夏帆はもうおしまいだろう」


「そうね、夏帆はもうおしまいね。

新太は私のものよ」


「冬美・・・」

「新太・・・」


2人は抱き合いキスした。

「冬美、これからは俺達ずっと

一緒だからな」


「勿論よ、新太。

私達を引き離す事なんて

誰にも出来ないわ」


「そうだな・・・、冬美・・・」







「私なら出来るわよ。

貴方達を引き離す事・・・」



突然、新太と冬美の前に

若い女性が現れた。


「ああ~!お前は紀香!」

「久しぶりね、新太、冬美ちゃん・・・」

「紀香!お前ウィーンに来てたのか!?」


「ええ、来てたわ、新太。

貴方に会いにね」


「俺に何の用だ!紀香!」

「そんなに怒らなくてもいいでしょ?


せっかく日本から来たのに」

「何しに来た!?帰れ!紀香!


お前の顔なんか見たくない!

あと、お前の妹の夏帆も見たくない!


ピアノを辞め、音大も辞めたんだろう!

所詮お前たち姉妹は負け組なんだよ!

負け組に要は無い!帰れ帰れ!」



「日本に帰る前にやる事があるのよ・・・」

「なに!?」


「土屋新太・・・、貴方に復讐するの」

「復讐だと!?お前まだそんな事


言っているのか!?

頭おかしいんじゃないか!」


「そうかもね、でも復讐って

本当に面白いのよ、新太」



「ねえ?新太行こう、私この人嫌い」

「そうだな、行こう」

新太と冬美は去った。

紀香は2人の後ろ姿を

見ていた。




(土屋新太、やはり貴方も最低ね。

あんなに夏帆と仲が良かったのに・・・。

別の女と付き合っているなんて・・・。


元々新太はそういう男・・・。

新太には、どんな復讐をしたら

いいかしら・・・)





紀香は、ウィーンの街を歩いていた。

(かつて私が憧れていた音楽の街ウィーン。

この地でピアノを演奏するのが夢だった。

一度は諦めたけど、

もう諦める必要はないわ。


理想の世界では、

私に出来ない事なんてない・・・。


ピアニストになってもう一度、

再びこの地に来るわ。


その前に、あいつを始末しないとね・・・

土屋新太・・・)





紀香が、ウィーンから帰国してから

数日後・・・。





「それでは次のニュースです。

全日空国際線223便が


日本時間の午前3時頃、

北極海上空を飛行していたところ

突然爆発したとの事です。


飛行機は、そのまま北極海に

墜落した模様です。


この飛行機には、300人近くの

乗客と乗務員が乗っていたとの事ですが、


未だ生死について明らかになっていません。

また、なぜ飛行機が爆発したのかに

ついてもまだ明らかになっていません。


このニュースは、新しい情報が入り次第

お伝えします。


それでは次のニュースです・・・」


紀香はテレビを消し

パンドラタブレットを見た。



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(タブレット画面)


全日空国際線223便

日本時間の午前3時、

北極海を飛行していたところ

突然爆発する。

乗客の土屋新太が死亡する。

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(ふふふ・・・、新太への復讐は終わりね。

4回目の復讐・・・。

これが最後の復讐・・・。

彼女の東野冬美は助けてあげましょう。


彼女に恨みはないわ。

でも、新太を失った苦しみには


耐えられないでしょうね・・・)





数日後、全日空国際線223便の

日本人生存者が帰国した。


「ママ~!パパ~!」

「冬美!」


東野冬美は助かっていた。

空港まで迎えに来た

両親と抱き合った。

「冬美!よく生きて帰ったわね!

ママ嬉しいわ!」

「私も嬉しいわ!またママとパパに


会えるなんて!

 

でもママ、ママから貰った

 

赤いスカーフ無くしちゃった・・・」

 

「また買ってあげるわ、冬美」



紀香は、遠くで冬美たち家族を

見ていた。

(感動のシーンね・・・。

貴方は生かしてあげるわ、冬美ちゃん。

でも、新太を失った苦しみからは


逃れられないわ・・・)



そのとき、パンドラスマホが鳴った。




●パンドラスマホの着信メロディ●

 




(え?ミレディさんから電話)

「もしもしミレディさんですか?」

「そうです、パンドラプランナーのミレディです。


紀香様お見事です。

最後に妹さんの夏帆さんに

復讐するなんて」


「え!?夏帆に復讐!?

どういう事ですか!?ミレディさん」


「え?だって紀香様は

夏帆さんにも復讐しましたよね?


パンドラタブレットに入力されていますよ」

「そんな!私夏帆に復讐なんて・・・」


紀香は、慌てて鞄からパンドラタブレットを

取り出した。




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(タブレット画面)


夏帆、指名手配犯の関口一樹に

殺害される。

秀子と同じ様に、背中と胸を

ナイフで刺される。

関口一樹、その場で現行犯逮捕される。



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(やだ!私ったら!消すのを忘れてしまったわ!)


紀香は唖然とした。


「紀香様?どうかされましたか?」

「いえ、何でもありません、ミレディさん・・・」


「そうですか、これからも理想の世界で

楽しんでください、紀香様」


「はい・・・」

紀香はスマホを切った。

そして、その場に座り込んだ。


(一度は、夏帆にも復讐しようと考え、

タブレットに入力したけど・・・、

完全にデータを消すのを

忘れてしまった・・・。




結局、最後の復讐は、

夏帆殺害・・・)



「アハハハ!アハハハ!」


 

 

紀香は空港内で

大声で笑った。

笑いながら涙を流していた。


(夏帆・・・)







紀香は、実家を訪れていた。

「紀香、夏帆の告別式も終わった・・・。

まさか一度に秀子と夏帆を


失うなんて・・・」

父順平は涙を流した。

「しかも、秀子も夏帆も同じ男に

殺されるなんて・・・。

犯人は指名手配犯の


関口一樹と言うらしい。

あんな最低な男を今まで


捕まえられなかった警察が悪い!」

「・・・」


紀香は黙って順平の話を聞いていた。

「紀香頼む、父さんと一緒に

暮らしてくれないか。

母さんを失い、娘夏帆も失い、

お前まで失うなんて


父さん耐えられない・・・」


「いいわよ、パパ、私パパと暮らすわ」

「本当か?パパと一緒暮らして

くれるのか?紀香」


「ええ、このままじゃパパが可哀そうだわ。

別にパパに恨みはないから


復讐もないわ」

「復讐?」

「ううん、何でもないわ・・・」



紀香は笑顔になった。

「父親にとって娘は最後の恋人でしょ。

私がパパの最後の恋人に

なってあげるわ・・・、パパ」


「紀香・・・」

紀香は順平を抱き締めた。


(パパに恨みは無いけど、

愛情も無いわ・・・。

ただ、利用価値があるから

一緒に暮らすだけ・・・。


パパは、大手レコード会社の社長・・・。

私はこれからピアニストを目指すわ。

今から音大に入学して、


数々のコンクールに出場して、

必ずウィーンに行くわ。


そして、世界的なピアニストになる。

秀子を超える程のピアニストに・・・。


その為にパパ、榎本順平を

利用するわ・・・)





紀香は、実家のピアノで

演奏していた。





♪別れの曲♪(効果音)

 





(夏帆、さよなら・・・。

夏帆は殺すつもりはなかったけど・・・。

夏帆もピアニストを目指していたわ・・・。


夏帆、貴方の夢を私が・・・、

お姉ちゃんが叶えてあげるわ。


夏帆が行けなかったウィーンに行って、

世界中の人に私のピアノを

聞かせるわ・・・。


お姉ちゃんを見ててね、夏帆・・・。

この曲を夏帆に捧げるわ・・・)

 

 

 

 

 

 

stone cold♪(挿入曲)

 

 

 


~榎本紀香編~END

 

 

 

♪disclose♪H-el-ical//(小説サブ曲)

 



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