1. ESTAMPIE / Secrets Of The North

独のゴシックなラディカル・トラッド系バンドの9作目。耽美な響きを持つ女性voによる詠唱と、練り込まれた痛快なリズム・アレンジが交錯する音像は極めて非凡。90年代のHector Zazouの叙情性と、HEDNINGARNAの高揚感とが融合したような趣がある。HEDNINGARNAに関してはカヴァーも一曲収録しており、アルバムのハイライトを成す。曼荼羅のように展開される、精巧にして呪術的なリズムが齎す陶酔感が素晴らしい。
2. KORAI OROM / 2013

ハンガリーのスペース・ロック・バンドの9作目。「ハンガリーのOZRIC TENTACLES」と一部で呼ばれているとかいないとか。中近東風のフレーズを軸に、攻撃的なスペース・ロック/人力トランスから、瞑想的なクラウトロックまで横断する作風であり、スペース・ロックやゴア・トランス好きなら間違いなく気に入るだろう。口琴やホーミーを本格的に導入しているのが面白く、Gunter SchickertやManuel Goettschingを彷彿とさせるギターにそれらの絡む様が新鮮だ。
3. MASSACRE / Love Me Tender

初来日公演が凄まじかったマサカーのニュー・リリース。99年及び08年のライヴ音源を纏めた作品。当然全編インプロヴィゼーションながら、音源で聴くに堪えないコンテンポラリーな場面は皆無であり、これまでのリリースのなかで最も音源作品としてのクオリティが高い。荒涼とした音色で迫るフリスと、隙あらば暴走しようとするヘイワードというウルカヌス的な二人を、ラズウェルがメルクリウス的にうねり生成するベースで繋ぎ留める、スリリングなアンサンブルが格好良い。
4. STEPHAN GALLAND / Lobi

AKA MOONのdrによる初のソロ・アルバム。昨年末の作品。新世代のRoland Kirkとも呼ばれるMagic Malik (fl)や、スペインのMaquina!、Musica Urbanaに在籍したCarles Benavent (b)、acc奏者等を迎えての録音。欧州的な感性で調理されたパスコアルといった趣の、ブラジリアン・ジャズ風の楽曲を主に収録している。白眉はアルゼンチン・タンゴを解体・再構築した終盤の大曲。美しい旋律がスピリチュアル・ジャズを通過し、バルカン的な高速ジャズ・ロックへと変貌する様が圧巻だ。
5. PURSON / The Circle And The Blue Door

Rise Aboveからリリースされた、レトロ系プログレッシヴ・ロック・バンドの1st。元IPSO FACTOの女性vo/gを中心としたバンド。Rise Aboveらしい典型的なVertigoレーベルのフォロワーながら、艶っぽいvoとキノコホテルに通じる高いセンスによって、音楽マニアの趣味バンドと片付けられない魅力を放っている。新しさこそ皆無ながら、70年代のロック・マニアならば一聴の価値はある。リーダーが美人。
6. AL ANDALUZ PROJECT / Salam

ESTAMPIEとスペインの古楽/トラッド系バンド、L'HAM DE
HOCの合体プロジェクトによる3作目。中世ヨーロッパを思わせる神秘的な響きや、中近東系の節回しを繰り出す女性voが魅力的。宗教混淆のアンダルース
時代の楽曲並びに精神を現代に再現するという企図通りの、エスニックでありながらも官能的な作品。
7. FLAT EARTH SOCIETY / 13

X-LEGGED SALLY分派の本流、FESによる最新作。どちらかと云えばコンテンポラリーに寄った作風。ショパンの前奏曲を換骨奪胎した本歌取り的な楽曲など、思想面での刺激を与えるものだけでなく、プログレ・ファンが求める痛快なブラス・ロックも勿論収録している。彼らの持つ幅広い作風を全て陳列したような趣の作品。
8. KARENAUTAS / Recreo

アルゼンチンのネオ・フォルクローレ系グループの1st。昨年末の作品。昨年亡くなったスピネッタに奉げられており、カヴァーも一曲収録している。Nora Sarmoriaに通じるコケットな女性voと、格調高い弦楽アンサンブルを活かした作風は高水準のもの。淡く滲んだ叙情性と軽やかに跳ねる愉快なサウンドが並ぶ。
9. STORMY SIX / Benvenuti Nel Getto

ストーミー・シックスの復活作。元GRUPPO FOLK INTERNAZIONALEのMoni Ovadiaのコンセプトに基づいた新曲ライヴを収録したDVD+CDでのリリース。全く期待していなかったが、なんの、地中海風味の芳醇なチェンバー・ロック・サウンドは、表現の強度を持ったもので、現役のバンドの作品だった。往年よりメロディーの魅力にフォーカスしており、いまいち彼らが苦手だった向きは本作を試してみると良いかもしれない。
10. DANIELE SEPE / In Vino Veritas

「イタリアのザッパ」とも呼ばれるダニエレ・セーペの新作。彼の最良の作品という訳ではないが、やはりクオリティは高く、下手なレコメン系を聴くより刺激的な音が詰まっている。ジプシー・ブラス・バンド、MAHALA RAI BANDAのアレンジに準拠したトラッド曲や、イタリアのプロテスト系SSWの楽曲のエレクトロニクス・アレンジなど、彼らしいサウンドの一枚。















