三十年ぶりに始めたテニスで右肘を痛めた。
コーヒーカップを持つときですら痛みが走るようになった。
養生が必要なので、しかたなく日常生活のあれこれを
左手で行うことにした。
かなり不便になることを覚悟していたのだが、
歯磨きや食器洗いなどは、むしろ左手のほうが
やりやすいと気づいて我ながら驚いた。
これはどういうことだろうと想いをめぐらせたら、
子どものころの私は、ほぼ両利きだったことを思いだした。
小学校のころ、友だちと
サッカーやバレーボールなどをやっていると、
対戦相手の子がいきなり怒りだし
「お前は、どっち利きなんだ!」と叫ぶのだ。
私は無意識に左右の腕や脚で、
ボールを打ったり蹴ったりしていたようだ。
私は彼らが何を言わんとしているのか理解できずに呆然とした。
スポーツをするときには利き腕や利き脚があるのが
一般的だということを知らなかったのだ。
ふりかえると、私の両親はどちらも両利きだった。
多分そのせいで、場面ごとに使いやすいほうの手や脚を
使うことに違和感を持っていなかったのだろう。
私の四人の子どものうちの一人は両利きだ。
四人いる孫の一人も両利きだ。
あるデータによると左利きは人口の一割くらいいるらしい。
となれば両利きはもっと少ないはず。
利き腕や利き脚は遺伝するのか、あるいは個性であろうか。
そんなことをテーマにて研究している人がいたら、
著書を読んでみたいものである。