場内は割れんばかりの大ブーイング!ゆっくりとバルコニーに姿を現した、高田総統に向けられたものだ。高田総統はブーイングを満喫すると、
「おい、やれば出来るじゃないか。いいぞ、いいぞ~」
とご満悦。さらにブーイングが続くと、
「喋らせてくれ!相も変わらず平日の夜に、ヒマでヒマでしょうがないプロレスファンの諸君!」
と一喝する。
「この私がここに来ているのに、若干空席が見えるじゃないか。GM、どういう事だ!私に恥をかかせるつもりか?しっかりしたまえ!」
とGMにまで牙を剥く高田総統!
「さて、こうして下々の諸君の前に降りて来るのは、今年は初めてだ。一応、挨拶しておこう。私が高田モンスター軍総統の高田だ!」
と、高い位置から見下ろしているのに、“降りてきた”と言う高田総統。視線はリング上に移った。
「おい、そこにいるのはチキン君じゃないか。チキン君に会うのも今年は初めてだな。キミにも挨拶しておこう。“ご苦労さん”」
と高田総統は皮肉を込めたいいっぷり!小川が
「うるせぇ!」
と反抗すると、
「キミの事だ、挨拶もショッパイな」
とさらに皮肉る。
「チキン君、キミは11日の名古屋でインリン君と闘う事になっているそうだな。こんなところで油を売っていていいのかね?私の見たところ、インリンとキミは同レベル…いや、それ以下だ!」
とバッサリである。
 小川もこれには顔を真っ赤にして怒る。
「何が言いたいんだ、このヤロー!ナメるのもいいかげんにしろ!インリンとかを片付けたら、次はお前の番だ!約束は守ってもらうからな」
と小川。モンスター軍ナンバー2のインリンに勝ったら、次のハッスルでは高田総統にリングへ上がってもらう。それが、今回の『ハッスル・ハウス』のプロデュース権をモンスター軍に譲る条件だった。小川はその条件を確認したところ…。
「約束?私がいつ約束した?」
とシラを切る高田総統。確かに、高田総統とは直接約束はしていないが…また小川は騙されてしまったようだ。そんな小川をあざ笑うかのように、高田総統は
「キミのようにすぐ物事を忘れる生き物をなんと言うか知っているか?ニワトリだ!」
と揶揄する。絶句した小川に代わり、マイクを握ったのは大谷だった。
「おい、高田!」
と威勢よく叫ぶ。試合同様、アツイ言葉をお願いしますよとの期待がかかったが、大谷から出た言葉は
「初めてだから、はじめまして」
礼儀が良すぎるぞ、大谷!
「いつも面白い事ばかりいいやがって!悔しいじゃないか」
と本気で悔しがる大谷。趣旨が違うぞ!しかし、最後は締めてくれた。
「プロレスをねこぞぎぶち壊すだと?やれるもんならやってみろ!」
それを見ていた高田総統、
「なかなか威勢のいいのがいるようだな。キミは確か、オオタ…オオニタ…国会議員の大仁田クンか!国会議員であるキミがこんなところで何をやっているんだ?さっさと永田町に帰りなさい」
と人違い。
大谷は言い返す。
「またまた面白い事をいいやがって!あんな人と一緒にするんじゃない!」
高田総統も
「キミは誰だ?」
と問いただす。とうやら本当に知らないようだ。大谷は吠えた。
「我こそは、ZERO1-MAX代表・大谷晋ニ郎だ!よく覚えておけ!」
と宣戦布告。
「大谷?大仁田クンじゃないのか。まあいい、話を戻そう」
とあくまでもマイペースな高田総統!
「おい、そこにいるケビン!いや、筋肉猿!」
とハッスル軍に助太刀したケビンに毒舌の矛先を向けたのだ。
「貴様、いつの間にハッスル軍に寝返った?この恩知らず猿が!明日のハッスル・ハウスでは制裁マッチを組んでやるからな!」
と、ケビンに裏切りの報酬を与える事を宣言した。そこでケビンが英語でわめき散らすと、高田総統は
「ワッハッハッハッ!」
とアメリカンジョークでも聞いたかのような高笑い!本当に理解しているのだろうか?
「ケビン、よく聞け。この私を裏切ったらどんな目にあうか、覚えておけ」
と、死の宣告をした高田総統。明日の『ハッスル・ハウス』は血の雨が降りそうだ…。そこで高田総統の話題は明日の『ハッスル・ハウスvol.5』へ。
「明日はいよいよ、インリンナイトだ。どうだ、楽しみだろう?M字ビターンを受けたくて仕方がない諸君よ、どうせ明日もヒマなんだろう?忙しがらずに、明日もここへ来てインリン君のM字ビターンを受けるがよい!」
と、なにやら思わせぶりな言葉を残し、高田総統は去っていった。
 全く無視された形の小川は、
「おい、待てよ!言いたい事だけ言って帰りやがって」
と突っかかるが後の祭り。小川はケビンの方を向き、
「ケビン、お前にハッスル軍できるのかよ?」
と問いただすと、ケビンは
「アリガトー、オガワサン。ヤルッ!」
とどこかで聞いたセリフを日本語で言い、
「オレ、タオス!」
と打倒モンスター軍を宣言したのである。
「お前、片言の日本語で頑張ったんだな」
とこれにはキャプテンも感心。
「分かったよ、今日からハッスル軍の一員として頑張ってくれ。お前は今日から、ハッスル・コングだ!」
と正式にハッスル軍入りを認めた。喜びのハッスル・コングは、天井にまでつかんとするぐらいのドンキーコング・ジャンプで喜びを表現する。
「それと大谷!」
と小川。
「オメェも高田のヤローには腹がたってんだろ?その怒りのアツサとパワーを分けてくれよ」
と、こちらも正式にハッスル軍へ勧誘だ。そして、
「お前も今日から“ハッスル・アチチ”として頑張ってくれ!」
ハッスル・アチチ?大谷も思わずズッコける。
「アチチって何ですか、キャプテン?」
と問うと、小川は
「アツイからアチチだよ。それしかないだろ!」
と答える。
キャプテン・ハッスルにハッスル・キング、ハッスルK、ハッスル・タイタス、ハッスル・コングという名前が並んでいるのに、俺はハッスル・アチチか…大谷の顔に不満と戸惑いが見える。しかし、場内からは壮大な「ア・チ・チコール」が沸き起こる!
「よーし、今日から俺は、ハッスル・アチチだぁっ!」
と、その気になった大谷。ハッスル軍にとっては、心強い味方が一気に二人も増えた事になる。さて、小川。
「2005年はハッスル軍の飛躍の年です。今年中に必ず高田のヤローをリングに上げて、血祭りにする事をお約束します」
とファンへ向けて所信表明だ。では、恒例のハッスルポーズへ行きますか!場内からの熱狂的な「ア・チ・チコール」を受けて、まずは大谷が音頭をとる。
「実を言うとここ1~2年、やりたくてやりたくて仕方がなかった。どうやら僕がハッスル嫌いという噂が立っていて。これからのハッスル・アチチの活躍を、楽しみにしてください!」
と本音を吐露し、すっかり“アチチ”となってしまった大谷が3、2、1、ハッスル!ハッスル!!続いて「コングコール」が巻き起こり、今度はケビンがネイティブな発音で3、2、1、ハッスル!ハッスル!!ハッスル軍にとってはいい形で終わった、『ハッスル・ハウスvol.4』だったが、喜んでばかりいられない。明日は同じ後楽園ホールで、『ハッスル・ハウスvol.5~私をインリン様とお呼び~』があるのだ。この日は姿を見せなかった、モンスター軍のナンバー2、インリン様が姿を現し、あのM字ビターンを炸裂させるに違いない。ケビンへの報復もあるだろう。一体、何が起こるんだ明日の『ハッスル・ハウスvol.5』!!!!!