パンフレットの自分の写真を見て、何やらニヤニヤしている石狩。今回のパンフレットには、石狩が前、川田が後ろにいる写真が使われている。
「やっぱり俺が前の方がいいな~、この人、隠れてんじゃん」
と、この日も師匠格である川田を引き篭もり扱いする石狩。するとそこへ、川田が登場。
「何やってんだ、お前。もうすぐ試合だろ?準備運動しなくていいのか?」
と川田。
「初のシングルなんで、また人気出ちゃったら困るんでサインの練習をしてたんですよ~」
と、自分のサインを見せる石狩。当然、川田は
「試合の事を考えろ!」
と怒る!
しばらくして、川田が控え室に戻ってくると、今度は青いTシャツを見ながらニヤニヤとする石狩の姿が。
「何やってんだ?」
と川田が問うと、
「この売店で絶賛発売中の“ハッスルI”Tシャツ、3800円です。カッコいいでしょ~」
と自分のTシャツを嬉しそうに見せびらかす。
「ん?それ、俺のTシャツの真似じゃないか!」
気づく川田。確かに、「K」が「I「俺だけのハッスル」が「ボクだけのハッスル」に変わっているだけだ。
「違いますよ。ほら、僕のはI、川田さんのはKですよ。Iですよ、I!」
と勝ち誇る石狩は、
「どうしよう…試合中にI!I!って言われちゃったら」
と、どうでもいい事を心配。やはり川田に
「そのアイじゃなくプロレスへの愛を持てってんだよ!」
と怒られる。
さらに時間が経過、川田が現れると今度は石狩、「確定申告」の本を読みふけっている。
「試合前に、なに読書なんかしてるんだよ」
と川田。まったくもって、世話の焼ける弟子である。
「いや~、僕のTシャツがバカ売れして、確定申告しなくちゃいけなくなったらどうしようかと思って。いい税理士しりませんか?」
と、あらぬ妄想を繰り広げる石狩。さらには、
「あ、川田さんより、あの人に聞いたほうがいいか」
と、ポスターの小川をチラリ。
「この銭ゲバがぁっ!」
と吐き捨てる川田。
「試合に勝つ事だけ考えろ!」
ここでようやく、試合場へ向かう石狩。川田は心配そうに、
「あいつも勘違いしてるな…」
と呟く。
松山千春の『長い夜』で登場した石狩。花道を歩きながらニコニコ、Tシャツをアピールしたり、コーナーに登ったりと大アピールだ。対するモンスター℃は、手で「C」の字を作ってアピール、観客席には「℃」のプラカードを持っているモンスター℃ファンさえも見える。試合が始まると「C」コールが巻き起こり、「I」コールはなし。しかし、お互いにエルボー合戦が始まると、石狩の目論見どおり、「I!」「C!」の大合唱だ。石狩はローキックを連打するが、℃のローで倒されてしまう。石狩は℃のタックルで倒されるが、ロープに飛んだ℃をレッグシザースで倒すと、自ら「ア~イ!」と気合いを入れながらヘッドロックで締め上げる。さらにドロップキック。 だが、パワー差はいかんともしがたく、簡単に逆転を許してしまう石狩。ハッスルあちちのコピーである顔面ウォッシュを喰らい、「こい、コノヤロー!」と気合いを入れてはみせるが、脆くも℃のキックで吹っ飛ばされてしまう。石狩は℃のラリアットをかわすとフランケン・シュタイナー、コーナーに登ってのDDTと猛攻。だが、℃は石狩の師匠・川田の顔面蹴りを見舞い、ビッグブーツまで繰り出してブレンバスターだ。まるで川田にやれてしまっているかのような石狩。カウントは2.9。℃はストレッチプラムでトドメを刺しに掛かるが、石狩はロープに逃げる。バックの取り合いから石狩が延髄斬り。ここで石狩は、なんと「川田コール」を観客に要求する。そして、川田譲りの顔面蹴りからビッグブーツだ! ℃のブレンバスターは、スモールパッケージホールドで返す大奮闘を見せる石狩。が、カウントは2・9!℃と石狩のエルボー合戦で、「C!」「I!」と再び盛り上がる愛知県体育館。石狩は延髄斬りから「パワーボム!」と宣言して体勢に入るが、簡単にかわされてしまい、逆に延髄斬りを喰らってしまった。今度は℃が「パワーボム!」と宣言。℃は石狩と違い、キッチリとパワーボムを決めて3カウントを奪った。奮闘した石狩だったが、目立ちたがり屋が仇となり健闘虚しく敗北。この敗戦は、Tシャツの売れ行きにも響くだろう。確定申告への道は、まだ遠し…。