「はあ、一体この先どなるんですかね…」
島田参謀長は某老舗団体の“Y田クビ”の新聞記事を、神妙な面持ちで見つめている。となりのアン・ジョー司令長官は
「ミーもシンパイで全然スリープ出来ません」
と、目の下には大きなくまが出来ている。高田総統の人事異動宣言以来、二人は神経をすり減らしているようだ。そこに高田総統が登場。
「ちゃんと準備は出来ているのか?」
と島田参謀長に問いかける。
「東京ドーム級の企画を用意しています。日本のプロレス界に新風を吹き込みますよ」
と島田参謀長は自信満々だ。しかし高田総統は険しい表情で島田参謀長&アン・ジョー司令長官を睨みつけている。
「この前の対抗戦で全敗したのは、ずばりどちらのせいなんだ!」
高田総統の声が秘密基地に響いた。お互い指を差す島田参謀長とアン・ジョー司令長官。その姿を見た高田総統は一つ息をついて口を開いた。
「私が最も愛する部下は、自己犠牲をいとわない部下だ。自分の失敗は自分で責任を取る。そんな部下が我がモンスター軍にはふさわしいんだよ!」
責任を擦り付け合う二人の醜い姿が、高田総統は気に入らなかったようだ。すると一転
「ミーのセキニンです」
とアン・ジョー司令長官。思わず島田参謀長は小さい声で
「ずりぃ」
とつぶやく。アン・ジョー司令長官はサングラスを取ると、目に涙を浮かべながら弁明をはじめた。
「自分の責任で、モンスター軍が全敗したわけで、防波堤としての役割を全うできず。あの敗戦から総統と正直な気持ちで面と向かい合うこともできず、また高田総統という男と向かい合えるようになるためには、やはり自分も責任を取ろうかなと、そういう気持ちになりました。」
 しかし敗戦の代償は重かった。
「インリン聞いたか?」
と高田総統が声をかけると、鞭を持ったインリン様が登場。目を吊り上げ、怒りの表情のインリン様は
「このハゼ!ダボハゼ!」
と鞭で容赦なくアン・ジョー司令長官を叩きつける。さらに
「死んで詫びなさい!」
と、アン・ジョー司令長官の右腕を掴んでM十字固め!するとアン・ジョー司令長官の右腕は、バキッという鈍い音を立てた。苦悶の表情を浮かべるアン・ジョー司令長官。高田総統は
「これも一つのSADAMEか…」
とつぶやいた。ここでリングに島田参謀長とアン・ジョー司令長官が登場。アン・ジョー司令長官は右腕を釣って、肩をがっくりと落としている。そんなアン・ジョー司令長官とは対照的に、島田参謀長はいつも以上に威勢がいい。大ブーイングを浴びると
「みなさん、ドゥ・ザ・ハッスルしてますか?」
と叫ぶ。さらにしょんぼりしているアン・ジョー司令長官に
「何で元気ないんですか?司令長官があんな粗相するから悪いんですよ。インリン様のM字固めは痛かったんですか?」
と、アン・ジョー司令長官の気持ちを逆なでするような言葉をかけた。ここで島田参謀長から次のハッスルの日程が発表。次回大会で、遂にハッスルが両国国技館に進出することが告げられた。するとアン・ジョー司令長官は
「そういえば昔、両国に進出した何とか探偵団というプロレス団体はもうなくなってしまいましたネ」
とポツリ。すると
「そんな団体の話やめましょう!また降格させられますよ、俺みたいにこういう大会をビシッと仕切らないと」
と島田参謀長。よほど自分の提案したモンスター・ロワイヤルに自信があるのか、今日の島田参謀長はやけに強気だ。そして島田参謀長が今日の対戦カードを発表。ここでも島田参謀長は
「モンスター・ロワイヤルは血に飢えたモンスターたちが、血で血を洗う死闘になるぞ。お前ら見たいだろ!」
と、ブーイングを浴びながら観客に向けて自信満々に言い切った…