欧州型の大種牡馬、サドラーズウェルズのスタミナがそのまま日本の緩急あるスピード競馬に適応しないのと同様、米の大種牡馬ストームキャットの血も本来、日本向きではないといえる。ストームキャット系の最大の良さは圧倒的なスピード能力。それもやや一本調子で、緩急のあるペースを要求されたり、坂は良くない。さらには、ストームキャットが米で断然の評価を受けるのは、2歳戦の1400~1700mあたりまでで文句なしのスピード能力を爆発させる早熟性。米2歳サイアーランキングは6回もトップだ(総合ランキングでの首位は2回だけ)。高額すぎてエース格が輸入されないなど、様々な理由も重なって、日本での評価は決して高くないが、今年のフェブラリーSには、直仔のシーキングザダイヤと、母の父にその血を持つメイショウボーラーが出走する。ストームキャットの血の特性がレースの鍵を握ることになりそうだ。特にメイショウボーラーは、1400mの根岸Sを7馬身差の独走。前半を35秒台で一定スピードのレースに持ち込むと、後半もそのまま35秒台。この脚を使って7馬身差突き放したようにも見えるが、いかにもストームキャットらしい一定スピードを発揮したら、後続がついてこられなかった、とも言える。1400mから1600mの距離延長は気にならない。もっと一定の平均ペースを踏める距離であり、メイショウボーラーは2歳時のマイルをスローでも、ハイペース(朝日杯)でも乗り切って見せ、さらには一定スピードの威力を、皐月賞(前後半ともに59秒台)でさえ発揮している。マイペースの逃げ切りだろう。締まったダート、1分35秒突破も十分可能だ。相手の筆頭もストームキャットを父に持つシーキングザダイヤ。甘いとみえたが、川崎記念でタイムパラドックス(ダートG1馬)と、差のないクビ差はすごい。キャリアを考えれば、能力差断然だろう。