第二ハッスル 石狩太一vsジャイアント・シルバ

控え室。ホワイトボードに富士山の絵を書き、“静岡日本一、石狩世界一”と記す相変わらず訳の分からない石狩。そこへ一本の電話が鳴った。
「もしもし、あ、ビデオ屋さん?忘れてた~。1週間ですか、いま静岡だから返せないですよ~。延滞料金はDSEに請求しておいてください」
と石狩。どうやら、アダルトビデオでも借りて返却するのを忘れていたらしい。その延滞料金をDSEにツケるとは…。
「おい、試合前なのに何やってんだ」
と、何だかんだ言いながらも弟子が心配でしょうがない川田が様子を見に来た。
「また怒られちゃいまして…」
と石狩。
「お前は怒られるような事をするからだよ!いつも挙動不審なんだよ!」
と川田が怒鳴る。しかし石狩、
「はぁ…」
とわかってない様子。
「はぁ、じゃねえよ!いいか、男はな、男はでっかく生きろよ!いいかお前、でっかくだぞ!」
とアドバイス。
フンフンと頷いた石狩、
「でっかくか…たまにはいい事言うじゃん、川田ちゃん!」
と川田の肩を気安く叩く。当然の如く、
「誰が態度をデカくしろと言った!」
と川田のビッグブーツが炸裂!勘違いした石狩はホワイトボードに激突、灰皿を撒き散らして失神するのであった。

石狩は川田に蹴られたアゴをさすりながら登場。かなり痛そうだ。しかし、声援を受けるとお調子者の血が騒ぎ、ハッスルIのTシャツをアピールし、コーナーに登って拍手を煽る。さらに調子に乗って着ていたTシャツを投げようとしたが、ノーコンでTシャツはあらぬ方向へ。ちっとも懲りてない石狩である。そこへ何と、高田総統がスクリーンに登場!
「石狩君、ご機嫌はいかがかな?聞くところによると今日3月19日は、キミの誕生日らしいじゃないか?普段はキミとは敵の立場だが、こういうめでたい日は別だ。そこでだ、私からキミにバースデープレゼントをあげよう。大きい箱と小さい箱、二つの箱を用意した。でっかい箱と小さい箱、でっかい箱と小さい箱」
と、妙に“でっかい”をアピールする高田総統。
「好きなほうを選ぶといい。どっちを選ぶかな?ハーハッハッハッ!」
すると、島田二等兵とアン・ジョー司令長官が二つの箱を持ってきた。
「おい、石狩!高田総統からのプレゼントだ」(島田)
「どっちをチョイスしますか?」(アン・ジョー)
と石狩に選択を迫る!
「うーん…男はでっかく生きろと川田さんに言われたからな。よし、でっかい方!」
と、まんまと策略にハマる石狩!
「でっかい方か?でっかい方って言ったな!」
と喜ぶ島田二等兵。
「ホントに良いですね?ビッグボックスでーす!」
とアン・ジョー司令長官が言うと、でっかい箱がオープン!すると予想通り、そこからはジャイアント・シルバが飛び出してきた!
「小さいほうをくれ!」
と言う石狩だが、時すでに遅し。
シルバが棍棒を振り回して襲い掛かり、逃げ回る石狩。
「プレゼントじゃないよ、コレ!」
と嘆くが、レフェリーまでもが
「自分で選んだんだろうが?」
と突っ込みを入れる。石狩太一、とんでもない25歳の誕生日になってしまった。あまりにも逃げ回る石狩に、シルバは策を弄した。小さいほうのプレゼントを手にし、来い来いと手招き。すると、それにつられて石狩が近寄っていく。本当に単純な男である。ノコノコとやってきた石狩に、シルバはキック、リング上を這いずり回る石狩。シルバはその石狩をヘッドロックに捕らえ、石狩はロープへ飛ばそうとするが、シルバは離してくれずヘッドロックをかけられたままズルズルと引きずられていく。背中にパンチを受け、2階からのボディスラムで投げられ、ストンピングにのた打ち回る石狩。シルバのエルボードロップを自爆させて、背中に飛び乗ってスリーパーホールドを仕掛ける石狩だが、所詮はシルバにとってはランドセルのようなもの。コーナーに叩きつけられ、場外へ転落。すると、シルバがなんとプランチャ!…と思ったが、エプロンに着地したシルバは石狩を踏みつけ、リング内へ戻す。ロープへ飛ばしラリアット。だが、石狩はこれをかわしてローキック、膝へドロップキック! シルバが跪いたところへ再度ドロップキックだ!そして、コーナーへ登ってミサイルキックも見舞う!調子に乗る石狩はフライング・ボディアタックも仕掛けるが、あっさりと受け止められてしまった。シルバのボディプレスはカウント2。セコンドの中村カントクがメガホンでリングを叩き、「石狩コール」を煽るも石狩はハイアングルのワンハンド・チョークスラムでマットに叩き付けれてしまった。そして、シルバはセカンドロープに登ると5メートル50センチの高さからのジャイアントプレス!カウントは3!石狩は力尽きた。だが、石狩の25年間生きてきて最悪のバースデーは、これでは終わらなかった。
アン・ジョー司令長官と島田二等兵がリングに上がり、
「ミーたちから石狩にプレゼントがありマース」
と言うと、島田が石狩にローソクを加えさせて火をつけたのだ!しかも、場内にはハッピバースデートゥーユーの曲が流れ出し、シルバも一緒に歌いだす。さんざん石狩を笑いモノにした挙句、
「キャンドルは自分で消しなサーイ」
と言うアン・ジョー。島田二等兵はあろうことか、失神している石狩にSMショーばりに蝋を垂らす。
崔がこれを救出に入り、惨劇は幕を閉じたが、かわいそ過ぎる石狩であった…。