はぁ…。
思わずため息がこぼれる。なかなか行動できない自分が情けなくなってくる。

なぁちゃんにおんちゃんにどうやって告白しようか相談してからだいぶ経った。


それなのに、まだおんちゃんに告白できないでいる。


「もぎさーん!!帰ろ〜」
何も知らないおんちゃんは呑気にそんなこと言ってくる。


「ちっとまっち〜。もうちょいで準備終わるから」
おんちゃんのこと考えてたら帰る支度するの忘れてたなんて言えない。でも、もし、本当に口に出したらおんちゃんはどんな反応をするんだろうか。

…また、おんちゃんのこと考えてしまう。


「ちょっと〜!手止まってるよ!早く準備してよね!!」
「ごめんてごめんて」
おんちゃんに叱られる、何気ない会話が嬉しい。



2人で駅に向かって歩いていると、ふいに肩がぶつかる。それだけで、ドキドキしてしまう。
寒いよ〜そんなことを言いながら当たり前のように腕を組んでくるおんちゃんは、天使のようで悪魔だ。心臓がいくつあっても足りない。


でも、他のメンバーとこんな距離で歩いてるところ見たことないんだよな…

これは、期待して良いのか…?


1人でぐるぐる考えを巡らせていると、おんちゃんに手を握られる。しかも恋人繋ぎ。

「え!!なに!どしたん急に」


「もぎさんがぼーっとしてて、全然私のこと見てくれないから。嫌ならやめるけど」


ばかかわいいでないの!!!あんたぁ!!!
大声で叫びそうになったけど必死に堪える。
「かわいいから許す」
そう返して、たかぶる感情を抑えた。でも、恥ずかしくておんちゃんの顔が見れない。きっと私の顔は真っ赤になってるから。

「まだこっちみてくれないの…」
そう言っておんちゃんは私の顔を無理やり覗き込む。
もうほんとに、自分があざといことわかっててやってるんだろうか。かわいいんだってば。


「…もぎさん、顔赤いよ。そんなに寒いの?もっと着込まなくちゃ風邪ひいちゃうよ!気をつけて!」 


そうきたか!鈍感だなぁ。おんちゃん。
なんだか一周回っておもしろくなってくる。

「うん。気をつける。風邪ひいておんちゃんに会えなくなるの嫌だからね!」
寒いから顔が赤いことにして、でも、ちょっとは本当のことを混ぜて返事をする。

2人で手を繋いで歩いていることが嬉しくて、ニコニコしてしまう。嬉しさで、会話が弾む。おんちゃんも、私と一緒に帰るときはいつも楽しそうだ。私の話を聞いてゲラゲラ笑ってくれる。

愛しいなあ。



告白するなら、今かな…
今なら、言える気がする。




続く