って。

Bridget Jonesに、Markが言ってたことを思い出した。

なぜか。

突然。

アタシも。

アタシは。

好きな人のことを。

そう思った。

と同時に。

何一つ飾ることなく。

「i like you, as i am。」

って思った。


あの人のことを。

あんまり知らないかもしれない。

主に会うのは、仕事でだし。

最近、やっと。

休みの日は何してるのか聞いてみたり。

なんでイギリスに住んでたのか聞いてみたり。

前職は何してたのかとか。


でも。

普通に。

仕事の後に。

出かける機会も多かったから。

口数の少ないあの人から。

色々話してくれたりもした。

アタシのこともいっぱい話した。


なんか。

誰かに色々リサーチ入れるのは。

外堀固めるみたいのは。

アタシらしくない気がして。

自分で。

さりげなく聞いてみた。

だから。

ちょっとづつ。

ちょっとづつだけど。

近づいてきた感じ。


でもね。

やっぱり怖くて。

彼女がいるのかだけは聞けなかった。


でもね。

もうね。

彼女がいてもいなくても。

あの人のことが大好きだから。

アタシが知ってるあの人が。

大好きだから。

あ。

電話、だ。

「はい。」

「どこー?
 どこに隠れてるわけ?」

「隠れてないしー。
 中央口の前だよ?」

「オレもなんだけど。
 見える?」

見えた...。

見えちゃった...。

「おおお。
 こっちこっちー。」

ブツッ。

あ。

走って来ちゃった。


「ごめんね。
 遅くなって。
 どっかcafeでもっていいたいとこだけど。」

「この時間じゃ、ねー。」

「どうする?
 呑み行くか?」

「ううん。
 ちょっとだけ。
 聞いてもらえればいいから。」

「おおお。
 お前、本当に大丈夫?」

「うん。
 あのね。
 アタシ。」

「うん。」

「アタシ。
 まだまだ知らないことの方が多いのはわかってるんだけど。
 それでもね。
 もう。」

「どーした? 
 順序立てて話して。」

「うーん。
 ムリかも。」

「えー?
 なんでー?」

「何も知らなくても。
 彼女がいるのかどうかさえ怖くて聞けなかった。
 それどころか。
 ゲイかストレートかも知らないけど。
 好きだから。
 好きすぎて。
 もう息できないから。
 全然気づいてなさそうだから。
 伝えることから始まってもいいかなって。」

「???
 オレのこと?
 オレはゲイじゃないけど、彼女はいませんが。
 なんてね。」

「アタシね。
 あなたのことが好きなんだよ。」

「え?
 ええ??
 本当にオレのことなの???」

「うん。
 知らなかったでしょ?」

「うん。
 ごめんだけど。
 全然気がつかなかった。
 本当に?」

「あはは。
 知ってたよ。
 いいんだよ、それで。
 アタシはね。
 仕事にこういうことを持ち込むのはルール違反だって思ってたから。
 気づかれないようにしてたわけだし。」

「そっか...。」

「でもね。
 アタシは。
 今すぐ何か答えが欲しいわけじゃないの。
 ここから始まってもいいかなって思うの。
 こんなこと言われて困っちゃうかも知れないけど。
 でも。
 アタシがアナタのことをきっと知らないことが多いのと同じように。
 アナタもきっとアタシのことを知らない。
 だから。
 いいの。」

「うん。
 そっか。
 何て言ったらいいのかわかんないんだけど。
 そんな風に見たことなかったっていうのが。
 本当に正直なとこだから。
 でも。
 正直。
 めちゃめちゃうれしいよ。
 いやー。
 うれしいね。
 ありがとう。
 本当にありがとう。」

って言って。

感情表現がヘタな彼らしく。

めちゃめちゃ照れ笑いしながら。

アタシの頭をくしゃくしゃってした。


何回かした後。

手をつなぐっていうか。

握手みたいな?

いや。

あれは握手だったね。

なんか。

スポーツ選手の。

「いい試合だったね。」

って。

お互いをたたえるみたいな?

カタイ握手を何回もして。

また。

くしゃくしゃされて。


お互いに。

まだ帰るのは早い気がしながらも。

終電と。

明日の仕事が頭の片隅にあって。

どちらともなく。

「おやすみ。」

って。

手を離して。

改札口の前でバイバイして。

アタシは。

振り向くことなく。

自動改札を通過した。