父が亡くなってからすぐのことです。
自宅で過ごしていると
父がつけていたポマードの香りがすることがあり
最初は自分の鼻がおかしいのかなと思っていました。
それでも、時々
強烈なポマードの香りがするので
「パパ、パパ来てるの?
ねえ、もし来てるんだったら
音とか出せる?なんかわかるようにできる?」
そんなことを言っていました
しばらくするとポマードの香りは消えますが
私は父は絶対、来ているんだと思いました。
この香りは何年も続き
私は自分に言い聞かせるように
『きょうは、来てくれてるんだ』
そう思うようになりました。
心配してくれてるのかな?
香りは何年も続き、その度に私は安心していました。
香りがなくなってしまったのは
お墓掃除を始めた頃です。
今では香りがすることはありません。
あれは父だったのか、
それとも私が作り出した幻想だったのか
今にしてはわかりませんが
説明がつかない、不思議なことがあるのがこの世
いまはそう思っています。