あと20分というところで

機体が振られているような感じがしたのです。

なんだろうと思っていると

ガタガタと音がして

急降下し始めたのです。

 

機内はものすごい悲鳴と

ものが落ちてきて

パニックになりました。

 

娘をみるとこんなになっているのに

すやすやと眠っていました。

長旅で相当疲れているのか

まったく起きません。

 

しばらくすると今度は

急上昇をはじめました。

機体は横にも振られ

前の座席につかまっているのが精一杯でした。

 

ガタガタとものすごい音を立てて

上昇と下降を繰り返しているのです。

 

そして、最初の急降下よりも

さらに急降下をした時に

「この飛行機は墜落する」

そう思いました。

 

片手で前の席を掴み

片手で娘を押さえていました。

その時に娘の寝顔を見て

「眠っているのだから眠らせておこう

怖い思いもせずに墜落した方がいい」

 

悲鳴とともに下降をしていたのですが

上昇をはじめました。

しばらくすると、うっすらと空港の明かりが見えました。

滑るように着陸をしたのですが

機体はなかなか止まらず

ガクンという振動とともに止まりました。

 

機内は静まり返っていて

しばらくすると誰かが拍手をしました。

それとともにみんなも拍手をして

立ち上がってハグをしていました。

機長のアナウンスも流れていましたが

何も耳に入ってきませんでした。

 

「助かったんだ」

そう思いましたが、真冬なのに

汗びっしょりになっていました。

体が小刻みに震えていて立ち上がることもできません。

 

客室乗務員の方に支えられて

娘と一緒にパパとママの待つロビーへ行くと

ママが駆け寄ってきて

「大丈夫?怖かったでしょ。

悪天候の中飛んでいたんだものね。

私たちもすごく心配してたの。

何度もアナウンスが流れて

どうなるんだろうと思っていたの。

良かった、無事で顔が見られて。」

ママに抱きしめられてホッとしたのか

私はその場で号泣してしまいました。

 

車に乗ろうと外に出ると

視界が真っ白で何も見えません。

この中を飛んでいたのかと思うと

ゾッとしました。

 

気温はマイナス23度。

身体も心も凍る体験でした。

 

 

 

ゾッとする〇〇

 

 

 

 

 

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