私は
「あっ!」とその場で声をあげてしまいました。
そして、お経が終わりました。
住職は
「どうしたんや。」
私は
「いま、そこに酒井阿闍梨がいたの。
そこに酒井阿闍梨が立っていた。
はっきり見えたの。」
でも、酒井大阿闍梨はその時には亡くなられていたのです。
住職は
「はっはははー。」と大きな声で笑いだされました。
「そうか、そうか、阿闍梨が来てたんか。
何も不思議なことじゃない。
阿闍梨だからな。」
酒井阿闍梨は住職の兄弟子にあたります。
住職と一緒にお寺で護摩焚きされていました。
住職は
「何も不思議なことはない。
この寺には亡くなった方がお寺に来ることがある。
今までもたくさん見てきた。」
私は、数年前に酒井大阿闍梨に助けていただいていました。
それがこんな形でお会いできるとは夢にも思いませんでした。