改めまして、トラトウマです | トラトウマ

トラトウマ

違う、私は自由なんだ

腹の中にいた頃、母は言った


それでも産むしかないじゃない


私の城の外では幾千万の兵士たちが堕ろせ堕ろせと叫んでいた


私は周囲の反対を受けながらも  生まれてきてしまった


そして運悪く生きてしまった


生まれたい命たちを差し置いて  望まれない命ばかりが生まれていく


私は時々コウノトリの夢を見る


夢現になっていると、サンダルを片方だけ履いた中年の女や  薄汚れた女たちが鳥の飛ぶ空へ懸命に手を伸ばし、恵みを恵みをと叫んでいる


コウノトリたちは葉でできた袋を適当な場所に落とす  それをうまく受け取れば女たちは母になれるのだろうか


私は命についての想像をする時、白い海のようなものを思い浮かべる


どこまでも白く波のたたない美しい海だ


そこからは自由に命たちが生まれていく


目を開けたらそこは薄汚い四畳半なので、私はなるべく目を閉じるようにしている


あの白になりたい  最近は毎日そう思う