それでも産むしかないじゃない
私の城の外では幾千万の兵士たちが堕ろせ堕ろせと叫んでいた
私は周囲の反対を受けながらも 生まれてきてしまった
そして運悪く生きてしまった
生まれたい命たちを差し置いて 望まれない命ばかりが生まれていく
私は時々コウノトリの夢を見る
夢現になっていると、サンダルを片方だけ履いた中年の女や 薄汚れた女たちが鳥の飛ぶ空へ懸命に手を伸ばし、恵みを恵みをと叫んでいる
コウノトリたちは葉でできた袋を適当な場所に落とす それをうまく受け取れば女たちは母になれるのだろうか
私は命についての想像をする時、白い海のようなものを思い浮かべる
どこまでも白く波のたたない美しい海だ
そこからは自由に命たちが生まれていく
目を開けたらそこは薄汚い四畳半なので、私はなるべく目を閉じるようにしている
あの白になりたい 最近は毎日そう思う