箱庭は自身の精神世界を表しているもので、ある時はきらびやか、ある時は地獄のように禍々しく、恐ろしかった
彼は自分の作った箱庭を価値があるものと認める一方、誰にも見せようとはしなかった
なぜなら、見せた箱庭が酷評されては認めてきた価値を下げざるを得ないから
しかしその人には箱庭を作る以外の趣味がなく、彼を認めてくれる人もどこにもいなかった
日に日に承認欲求は募る
ある時彼は欲に負け、箱庭を大勢の前に見せてしまった
彼の世界には彼しかいなかった
だから競争相手も比べる相手もいない
自分の作品の価値は自分で自由に決められた
彼の箱庭は、評価もしてもらえなかった
彼の作品は道端に転がっている石と一緒
石にいちいち難癖をつける人間も、褒め称える人間もいるわけがない
彼はそっと箱庭を鞄にしまい、誰もいないどこかへと消えていった
この箱庭も、その箱庭も
自分の中だけにしまっておけたら!
それに耐えうる精神力が備わっていたなら!