好きな作家のひとり 乃南アサさん

今読み終えた「水曜日の凱歌」は、今まで知らなかった戦後の日本の状況がとてもよくわかった。

終戦の日8月15日から、アメリカの支配下に置かれるということで

RAA(特殊慰安施設協会)を作り、進駐軍兵士からの性の防波堤として女性たちを差し出すことになった。

それが国を挙げての大事業だった。

主人公の14歳の少女が、当時英語が出来るということでその事業の主要な役割を果たす母の変貌を間近でみながら生きていく物語なんだけど、戦後の裏歴史に残る女性たちの在り方、生き延びていくための凄惨な戦いをリアルに思い描けるような描写がぞくぞくしました。

最後のほうで出てくるセリフ

「あたしたちは人間なんだっ、この日本で生まれた、日本の女なんだよっ!おまえら男たちがだらしないばっかりに、こうしてあたしらが後始末をしなけりゃあ、ならないことになったんじゃないかっ」

「覚えておきなっ、日本の男ども!誰もかれも、女のまたの間から生まれたくせに、その恩も忘れやがって、利用するときだけしやがって!戦争中は産めや増やせよで、戦争に負けた途端に、今度は同じまたを白人どもに差し出せとは、何ていう節操のなさなんだっ!・・・・・・・いつか必ず復讐される。報いを受ける。アメリカからじゃなく日本の女からねっ!」

 

いやはやアッパレという感。

いい加減にせえよ、という思いなんでしょうね。

 

現代の日本女性が男性より強くなってきたのもあり、何十年もかけて変わってきたということなんでしょうね。

 

それにしても読み応えがあり、面白かったです。

 

水曜日の凱歌 水曜日の凱歌
 
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