ユメミは丸1日眠り続けた。

 

そして、1番始めに出た言葉は・・・。

 

「すみません。ここは何処ですか?」だった。

 

私はナースコールのボタンを押し、医師を呼びつけた。

 

ユメミは一通りの検査と医師の診察を受けた結果、記憶喪失だと診断された。

 

しかも、私達の事だけで無く自分自身の名前すら分らなかった。

 

「ユメミ冗談だろ?オレの事も分らねえのかよ!!ヒロシだよ!ガキの頃からずっと一緒

だったろ?!なあ、ユメミ!!頼むから冗談だって言ってくれよ!!」

 

「ごめんなさい。本当に分らないの・・・。私の名前はユメミと言うのですか?」

 

記憶が無い以外は再検査も異常がみられなかったので、私はユメミを邸に連れて帰ることに

 

し、ラ・ルにも連絡を入れてユメミに刺激を与えないように配慮した。

 

邸に着くと、ユメミは当たりをキョロキョロと見渡しながら不安そうな顔をしていた。

 

リビングのソファーに座らせると、日本で挙げた結婚式の時の写真を見せながら、

 

ユメミの隣に座っているのがお父さんで、双子の弟の天吾君と人吾君だよ。

 

そして、お父さんが持っている写真の人がお母さん・・・。

 

ユメミが中学2年生の時に病気で亡くなられたんだよ。

 

お父さんは今、再婚して名古屋に住んでるよ。

 

私はゆっくりと、ユメミの様子を伺いながら写真の中の人物の説明をした。

 

「これが私・・・?それから・・・家族?・・・そして貴方が・・・」

 

そうだよ。ユメミは私と結婚したんだよ。聖樹と呼んでくれていたよ。

 

私はユメミを自分のほうに向かせて、目を合わせた。

 

「聖樹さん?・・・。ごめんなさい。・・・分らないの!!何も分らない!!」

 

ユメミは首を横に何度も振って、大きな瞳からは涙があふれ出した。

 

焦らなくて良いよ。今は不安だろうけど必ず思い出せるからね。

 

さあ、これを飲んで今日はもう眠った方がいい。

 

私は医師から処方された安定剤をユメミに飲ませて、寝室のベッドに横にした。

 

そして、ユメミが眠ったのを確認すると、多美に任せて執務室へと向かった。