「きのうのオレンジ」藤岡陽子 2020年
あらすじ
33才の遼賀が受けた胃癌宣告。
どうして自分が…
涙が溢れてきて、恐怖で震えが止まらない。
その時故郷の岡山にいる弟の恭平から
荷物が届く。
入っていたのは
15才の頃、恭平と山で遭難した時に履いていた
オレンジ色の登山靴。
それを見た遼賀は思い出す。
あの日の俺は生きるために
吹雪の中を進んでいったのだ。
逃げ出したいなんて、一度たりとも思わなかった。
「お父さんとお母さんは
ぼくの人生が短くてかわいそうですか?」



大好きな作家の藤岡さん。
こちらも胸熱で愛に溢れたお話だった。
親子、兄弟、友人…
本当に苦しいとき
身近な存在にどれだけ励まされ
生きるパワーをもらえるか…


癌宣告され絶望の中

死への恐怖を抱えながらも

もう一度山に登りたいと願った
遼賀の思いが胸に響く。

「誰かがこの道を来た。
自分はその後を追っている。
それは生きることや死ぬことに
似ているような気がする。

人は生を歩き続け
やがてどこかでその歩みを止めるのだ。
なにも特別なことじゃない。
怖れることではない。」

「最期に人はたったひとつの気持ちをもって
逝くのかもしれない。」
(一部抜粋)