「ガラスの海を渡る舟」寺地はるな

あらすじ
みんなと同じ行動がとれず、
他人から疎まれてしまいがちな兄の道。
落ちこぼれでも優等生でもなく
なんでも平均的にこなせるけれど
「特別ななにか」が見つからない妹の羽衣子。
祖父の遺言をきっかけに
ともにガラス工房を引き継ぐことになった
相容れない二人の絆の行方はーーー。


二人のガラス工房へのそれぞれの思い。
兄と妹の確執。
兄と妹だからこその葛藤が
ヒシヒシと伝わってきた。

そして、寺地さんの綴る言葉が
胸にじーんと落ちてくる。


「脆くて、同じものは一つもない。
人生はまるでガラスみたいだ」

「わたしたちは晴れた日には「天気が良い」
雨が降れば「天気が悪い」
と言うけれども、
それは人間の勝手なのですよね。
わたしたち人間は自分の都合に合わせて
ものごとの良し悪しを決めているのですよね」
(一部抜粋)